原子力発電などやめてしまえ!

 久々に国会中継をラジオで聞いていたのですが、凡夫の私にはわからないことがありました。それは、原発をどうするか?という議論なんです。脱原発依存、脱原発とか・・・原発なんって、2つの選択肢しかないような気がします。それは原子力の利用は停止、原子炉の廃棄ですね。これを行うには、昭和31年以来培ってきた、原発技術の全ても捨ててしまうことになります。なまじ、研究すれば、当然のことながら使う可能性が出てくるからです。原発を全て廃棄するということは、原発関連の研究は、原発を解体して廃棄する研究だけに限定されることになります。無用なものを研究する必要はないわけですから。
 じゃあ、脱原発依存は・・・原発を残すのであれば、原発に関連する技術をさらに深く追求して、より安全なものへと変えるための研究が行われることになります。

 技術史上の出来事で考えると・・・たとえば、蒸気機関・・・蒸気を発生させるボイラーなどは、初期の段階では爆発する可能性が常に存在していました。安全装置は未発達、安全装置のベントが飛ぶ前にボイラーが破裂したり、配管などの耐久度なども良くわからないために、いつの間にか蒸気で薄くなり破裂、狭い建屋の中での破裂は、作業員の蒸焼などにもつながります。危険だから、危険でないものへ改良するために、非破壊試験や、運用法、安全装置を生み出していって、事故の起こらないものへと改良されていったわけです。

 生身の人間の血で書かれた教訓を踏まえて・・・ニトログリセリンも危険すぎて発破作業での使用は困難でしたが、その性質はダイナマイトという形で飼いならされ、さらなる進歩を遂げていくわけです。

 したがって・・・原発をなくすためには、研究そのものを禁ずる必要が出てきます。原発を存続させたら・・・改良しなければなりません。改良されて、より安全なものへと飼いならされてしまったら、またぞろぞろ原発を作ることになります。当然のことながら、人間の生み出すものですから、ある一定の想定の元で、安全性が宣言され、そして運用が開始されます。

 原発を廃棄して、原発を二度と稼働させるつもりが無いなら・・・原発関連技術研究の予算を全てカット、輸出も禁止、自分のところで使うことができないほどの危険なものを、他の国に渡すなんって道義的にできませんからね。

 つまり、原発を全廃するか、研究をさらに推し進めるかの2つの選択肢しかないと、私は思うわけです。世論は、原子力は危険であり、とても人間の制御できるものではないという方向へ傾いているようです。

 ちょっと、東北地方をうろうろしてきて・・・究極の安全を考えるなら、原子力は全廃が良いのではないかと思うわけです。別に、私にとってはどちらの選択肢でも、実はあまり関係ない・・・重工業に関しては、直接の関係はなく、基本は手工業製品のレベルのものと、農産品と、ちょっとの電力で動くPCと、できればインターネット環境だけが残っていれば、生活そのものに大きな影響がないからです。

 極端な話、所有する土地を利用して農業でも、原動機を使わずに耕作するとなると、PCなどをいじっている余裕はなくなるでしょうから・・・生きるというのは大変なエネルギーを必要とします。

 特に、今の便利な生活に拘泥するつもりもない人間ですから・・・原子発電をやめて、火力発電で電気料金が3割増し、燃料油が高騰して、ガソリンが1リットル当たり200円になっても、それに合わせた生活をすれば良いわけですから。

 しかし、産業はどうなる?人々の生活はどうなる?現在の生活を維持するためにどれだけの電力が必要か?そして、デフレ脱却のためには・・・あ!電力料金を上げたら・・・全てのモノの値段が上がれば、仕方なしに購入するものも値上がり・・・デフレは脱却?ものの価値に、紙幣の価値が追いつかなくなると・・・ハイパーインフレに突入か?

 まあ、それも良いでしょう・・・このところ、ぬるい生活ばかりしていますからね。オイルショックのころの、XXがない!買占め売り惜しみなど、なかなか興味深い現象が再び見られるかもしれませんね。この前の地震の時も、地方ではコンビニやスーパーの棚が空になりましたからね。電気も、食料もなく・・・そういった日々が続くとか・・・そのとき政府は何ができるのか?興味深いと思われます。

 日本の国土の上には、原発を作って安全な土地ってあるの?という単純な問いを考えると・・・海岸部は、津波の恐れがあるので多分無理、内陸部は?火山が噴火する可能性があるので、ほとんど無理・・・隕石が落ちる可能性は?どこにもある・・・じゃあ、どこに作れる?作る場所はない・・・したがって、原発は全廃しか、選択肢は残されない・・・

 論理的な帰結として、日本では原発は無理・・・したがって、昭和31年以来営々と積み上げてきた、原発関連の全ての技術を廃棄、他の分野に転用・・・これが良いのでは?資金の流れも変わるし、エネルギー政策も大きな転換ができるし・・・

 再生可能なエネルギー・・・すなわち、太陽からの放射を利用したエネルギー・・・バイオマスも太陽光発電も、水力発電も全て太陽からの放射を利用することになります。地熱は太陽とは無関係ですが・・・地熱を除くと・・・太陽定数で利用できるエネルギーは決まる・・・地球は1740PW程度をうけるのか?このうちの1%でも大したものですね。

 太陽光発電って、単純に熱力学第一法則・・・おお!懐かしい響き、じゃなくてエネルギー保存の法則によれば・・・太陽光発電を行っている場所では、発電したエネルギーを発電所から持ち出すわけですから、発電所のまわりの温度は下がるのでしょう・・・効率の良い太陽電池パネルであればあるほど・・・うまくいくと、家庭では屋根で太陽光発電を行うと太陽電池パネルの温度が下がって、冷房は不要になるのか?電気を売ってしまえば・・・太陽電池パネルの表側は真空の中に、裏側は熱交換機にして・・・電気を売ると温度が下がるのか?自家消費なら変わらないが・・・これって、すごいことでは?環境制御が・・・

 じゃあ巨大な太陽光発電所を需要地と離れた場所に建設すると、需要地の温度が上がり、供給地の温度が下がる、すると、供給地と需要地の間で熱のやり取りが新たにできる・・・環境はどの程度変化するのか?当然、風という形で熱は移動するのだから、太陽光発電所と需要地との位置関係をうまく設定すると、その間で風力発電もできるかもしれない、風力発電のエネルギーも需要地へ送ると、エネルギー傾斜はさらに大きくなるので、強い風が吹くことになる・・・地球の自転の影響も考えると需要地と太陽光発電所の位置関係は決まってくるのか?

 需要地の西に発電所・・・需要地は大都市ですから、地面はコンクリートやアスファルトで覆われているから、エネルギーを大量に消費すると、乾いた上昇気流ができる・・・乾いているからほとんど雲はできない、たとえば東京・・・丹沢・富士山の界隈の土地を太陽電池パネルで覆って、東京へ電力を送る、丹沢・富士山界隈の温度が下がる。

 東京では大きな乾いた上昇気流、かなり大きければ、台風の目のように、中央には弱い下降気流で、晴天が続く・・・太陽光発電所は温度が低いので、下降気流ができるから、晴れる・・・しわ寄せは?東京の南の海上か?海の上に張り出した上昇気流が雄大積雲を作り出す?鎌倉とか木更津から南の房総半島は、ちょくちょく大雨の被害を受ける?

 赤城山とかのあたりで発生する雷雲も、強い乾燥した上昇気流に進路を阻まれ、その途中で強い雷雨となって果てる?東京の周りには、大気の対流の関係で不思議な局地気象が発生することになるのか?とちょっと変な妄想が・・・

 太陽光発電も、はたして環境に優しいのか?バイオマスはそれほど影響は与えないと思うけど・・・穀物というより、単純に光合成の効率の良い植物の開発・・・炭素を燃料とすることになるのだろうから?石炭紀のすごい植物などの復活は?

 原子力や化石燃料は、確実に地球の温度上昇につながるし・・・たとえば、宇宙空間で発電して地上に電気を送ると、地球の温度が上昇する・・・使用済みとなった熱を宇宙空間に効率的に捨てる手立てを考える時代が来るのかも?

 日本だと、太陽光発電を行う土地の問題も出るでしょう、海洋・・・海洋から送電するには?どのような送電線を引く必要があるか?海洋の環境を考えると、海上の巨大発電所は回遊させるとかしないと、海洋への影響は大きいのでは?

 ああ、キーデバイスがいくつかあるぞ、1つは導線を使わないエネルギー伝送システムの開発、2つ目は高効率の太陽電池、3つ目は、温度差を利用した発電・・・太陽光パネルは送電すれば温度が下がるはず、熱傾斜ができるのなら、そこでペルティエ素子のようまものが持つゼーベック効果を利用した発電ですかね。そして、高効率の風力発電装置だな。

 永久機関に近づける工夫・・・太陽からのエネルギーも限られていますからね。そして、熱の問題が・・・地球を暖めることになりますから・・・特に、導線を使わないエネルギー伝送が実現したら、宇宙空間に原子炉を持っていくか、巨大な太陽光発電所を地球の公転軌道に展開して、地球に莫大なエネルギーを伝送するようになるでしょう。何らかの形で、宇宙空間に熱を捨てる方法を見出さねばならなくなります。

 ああ、これじゃSFだ、しかし、糸口が見いだせれば、原子炉研究と製造メンテナンスの費用をつぎ込めば・・・不可能なものは不可能だけど、何かができるかも知れません。

 しかし・・・先人の築いてきた技術を捨てるのは・・・気が引ける部分があります。技術開発って、基本的にはトライ&エラーの中で培われますから・・・原子力発電の夜明け・・・こういったものを見ると、大勢の人の集約された労働の成果であることが見えますから・・・日本ってすごいって・・・1960年代の、この技術が何になるのか?とにかく、この技術を手に入れるためにやるぞ!って、そういった意気込みを感じさせる映画が、この原子力発電の夜明け以外にも、沢山あります。科学映像館 工業、産業アーカイブここに並べられている動画は、確かに企業のCMのようなものですが、このぐらいの技術に対する気概を感じさせる映像が近頃ありましたっけ?

 世界の最先端を!そのためには血のにじむような努力をしています。この時代の日本人は良い顔をしている!なんってふと思ってしまいました。映画だから・・・しかし、ここに出てくる人たちは役者じゃないですからね。

 この映画を何本か見て、今の日本の街を歩くと・・・日本の行く末が、ちょっと心配になってしまいます。原子力発電をやめてしまうのも1つの選択肢、飼いならすのも1つの選択肢、そのどちらかしかないのですが・・・国会ではいい加減な話をしているようにしか思えませんがね。

 1つの技術って、どんな努力の末に開発されたのか・・・送電も然り

(2012.07.24)

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