アンティークな銀製品で・・・

このところ、食器などに関心があって・・・なんと、分不相応な銀器などに興味があって・・・先日も大枚2000円を投じて、バターナイフを買い込んでしまいました。今のちょっと洒落た現役商品だって、このくらいのお値段のものがあります。

まあ、100円程度からありますけど・・・それでも、なんとなくわくわくするじゃありませんか。スターリングシルバー製なんで、磨けば輝くというわけです。

どこかに、きさげなどもあるはずですから探し出して鏡面仕上げにしてやるのも良いかもしれません。しばらく彫金などしていませんから、道具だって、どこか押し入れの奥深くなんでしょうが・・・とにかく面白いものです。

今、手元にあるシルバーのシュガートングなどはホールマークから1817年〜18年にかけて製造されたものとわかるわけですが。ナポレオンなんって1821年まで生きていますから、ナポレオンのセントヘレナに流されていた時代のものですから・・・

イギリス銀器のホールマーク・・・こいつは興味深いものです。貴金属の品位を示すマーク・・・なんでこんなものが?なんって気になるわけです。私などはちょっといいかげんな人間なので、あまり銀の品位などは考えず、値段の安いドイツ銀器のほうが好きなんです・・・92.5%と83%の品位の銀ではやはり、微妙に違うような気がしますが・・・デザインがよければ、この程度の品位の差などは気にならない・・・

さて、わが国の銀などの貴金属の品位の認証団体は・・・独立行政法人造幣局でしたっけ?ここのホールマークの紹介文を掲げておきましょう。

ホールマークの由来
 14世紀頃、英国の貴金属細工業者(Gold Smith)の組合が、ロンドンに会館(Gold Smith's Hall)を建て、組合に加入している業者の製造した貴金属製品を検査、これに合格したものに証明印を打って販売することにより製品の信用を保持した、つまり、ホールでマークを打ったことが語源となっております。
 なお、諸外国では、この制度は任意であったり強制であったり、また造幣局をはじめ国の機関が行ったり、指定を受けた業者が行ったりと様々であります。

とのこと・・・そうだ、日本には類似のものとして極印なんてのがありましたね。16世紀後期には、各地の都市に金銀の両替、吹き替えや秤量などを行う、金屋・銀屋・天秤屋が現れてきます。ここでは、独自に検定して、自分のところの極印を打って保証した判金、極印銀とかを作っていました。徳川氏は1601年(慶長6)その中の、大黒常是の極印銀を使って、銀貨を作らせます。これ以降、大黒常是が銀座の吹人になって、慶長の丁銀,豆板銀を作ることになります。

銀座といえば、東京の銀座ですが、この大黒常是がいたのは伏見ですね。慶長六年(1601年)伏見に銀座を設立する時に、堺の町で南鐐座という、灰吹き銀をやっていた人々の一人、湯浅作兵衛が、徳川氏のお召しで、大黒常是と改名させ、幕府御用の銀座の銀吹手なったとのこと。

そして、京都銀座の銀吹所は初代常是の長男の作右衛門家が仕切り、江戸銀座の銀吹所は次男の長左衛門家が仕切っていたとのこと、しかし、江戸の銀座の方は寛政十二年(1800年)に)8代目の長左衛門のとき断絶、代わって京都の10代目作右衛門が江戸に召され、江戸・京両所を仕切ることになります。ああ、それで日本橋蠣殻町へ銀座が移ったのか・・・それまでは今の銀座2丁目あたりに銀座はあったなんていうのかな?

金座も気になりますが、こちらはあまり面白くない・・・慶長の幣制(1601)成立の当時からずーっと、日本橋本町一丁目、今の日本銀行本店の位置に置かれていました。日銀の本店て、その基礎は1601年に置かれたのか・・・まあ、明治政府だって初期は、江戸時代の貨幣をそのまま使っています。現在の円が制定されても、1両は1円ということのようでしたから。青銭もそのまま明治の半ばごろまで通用していたみたいですし・・・

ふと、徳川の埋蔵金なんって気になりますが・・・案外、金座に管理させて自らは金の管理をしていなかったのでは?なんって思えるわけです。だって・・・武家の通貨は米のような気がしますから・・・徳川幕府が、庄屋仕立てなんって言われますが・・・案外、財政基盤や、通商の基盤が古来のものを利用しただけの安普請の政府だったからなのかもしれませんね。


何しろ、文明開化の明治時代の役所の様子を文献で見ると・・・なんと、養老律令の精神が残っていますから・・・鎌倉時代以降の武家社会が出張る中を、大宝律令、いや、天智朝の近江令そして、天武朝の飛鳥浄御原令、まあ、唐律を准用した物でしょうが、真打の大宝律令、その改訂版の養老律令となり、これが明治時代に至って、新たな法体系の継受まで生き残っていたと思われます。

あれあれ、またまた変な方へ話が流れたぞ・・・

極印銀か・・・案外、ホールマークの打たれた銀器というのは、通貨のように流通することがあったのかもしれませんね。ああ、ポンドって通貨単位そのものがそうですね。通貨のポンドは、1トロイオンスの品位の高い銀を通貨の単位として使っていた名残ですね。1トロイオンス、およそ31g、480グレーン・・・イギリスの銀貨は昔はスターリングシルバーで作られていた・・・じゃあ、やっぱりスプーンなども通貨と同じように流通していたのかもしれません。

貴金属は、このトロイオンスで計測するのはなぜ?ちょっと気になりますね。常用オンスは1トロイオンスの91%程度ですから案外、トロイオンスは銀などの純量換算のために考えられたものなのかと思うわけです。

英国銀器の場合、スターリングシルバーが純銀表記になりますから・・・そういえば、グレーンといえば日本のグレーン表記があったものがあります。昔々の貿易銀や1円銀貨です420グレーンとか416グレーンとか入っています。

重量1トロイポンド=5760グレーン=12トロイオンスの銀から240枚の1ペニー貨、1ペニー硬貨は24グレーンか・・・ペニー貨12枚、12ペンスで1シリング、そういえばどこかに6ペンス硬貨があったな・・・後で探さなきゃ!

しかし、このトロイオンスという単位はちょっと面白いかも?ふと出目なんって言葉を思い出しちゃいました。

通貨の改鋳などで貴金属の含有率を下げると、お金が増えるなんって・・・出目米なんて、年貢米を俵詰めするときの目減りを考慮して一定の割合で余計に入れさせた米とかありましたね。元和2年(1616年)江戸幕府は1俵に3斗5升の年貢米に対し,3斗7升詰めとすることを定め、この差2升を延米なんって言ったやつ。

そうだ、今昔物語にも似たような話がありますね。米などの穀物を貸すときには小さな枡を、返してもらうときには大きな枡を使って量るというもの・・・利息計算など面倒なことをしなくてすむようにした知恵かもしれません。

しかし、2000円のバターナイフで結構遊べるものです。ホールマークなんって物に興味を持ったために、洋書も買っちゃったし・・・ホールマークの本を3冊で2093円・・・なかなか奥が深い・・・ネットの中でもずいぶん実物写真があって興味深いものです。本と銀製品とネット内の情報・・・どれが最も安価か?ふと考えてしまいました。

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