原発事故とその対応と・・・

原子炉建屋の中の放射線の話って・・・3月25日ごろでしたね・・・3月12日に出た水蒸気が、復水して、10日もすると、どんな量になるか?1立方センチメートルあたり390万ベクレル、普通の炉内の水は数百ベクレル・・・もし、同じ水なら、1万倍に濃縮されたと言うことですね。

濃縮されるとどのようなことが起こるか?そりゃ、通常の分析では現れないものが、濃縮によって計測器に引っかかってくるとか様々なことがあります。

そういえば、福島県って結構鉱山がありましたね。かつては、光学ガラス用だったかな?閃ウラン鉱とかモナザイト、ジルコン、コルンブ・・・などが雲母やら長石の間に挟まるように存在しているとか・・・福島県の石川町や川俣町などが良く知られていましたっけ・・・このあたりの、ペグマタイとが見られるような場所ではかなり一般的な感じがしますが・・・福島県石川町猫啼地区ペグマタイト鉱床調査報告こういった報告書がありますね。

以前は、よく福島へ鉱物採集をかねてドライブしたものですが・・・飯舘村にも、ペグマタイト鉱山があったような?

ちょっと気になるのが・・・
福島第一原発3号機タービン建屋地下で見つかった問題の水のガンマ線核種分析の結果として、9つの放射性核種の濃度が列挙されている。それぞれ1立方センチあたりの放射能の量がベクレルの単位で示されている。
 コバルト60    約7.0×10の2乗
 テクネチウム99m 約2.5×10の3乗
 ヨウ素131    約1.2×10の6乗
 セシウム134   約1.8×10の5乗
 セシウム136   約2.3×10の4乗
 セシウム137   約1.8×10の5乗
 バリウム140   約5・2×10の4乗
 ランタン140   約9.4×10の3乗
 セリウム144   約2.2×10の6乗
 合計        約3.9×10の6乗
 合計すると、1立方センチあたり390万ベクレル。



海水1立方センチ当たりヨウ素131が180ベクレル(濃度限度の4385倍)・・・これも不思議な数値・・・180ベクレル÷4385≒0.04ベクレルが基準値か・・・どのように測定するのか?まあ、何リットルかの10分かそこらの平均でしょうが・・・0.04ベクレル以下って簡易計測で計測できるのか?

さて、放射線の測定に関する一般的な注意事項って何なのか?「全ベータ放射能測定法」の序論を引用してみましょう。

 環境放射能測定の目的は,人の被曝を評価することにある。外部被曝は主としてガンマー線の測定により評価されるので,ここでは内部被曝との関連だけに限る。
内部被曝は,環境物質中の特定の放射性核種の濃度を判定しない限り,定量的な評価はできない。しかし,個々の放射性核種の環境中濃度の測定には時間と労力を必要とするために,環境への放射性物質の放出状況や測定の目的によっては,これを簡略化して迅速に概略の情報を得る必要が生ずる。この目的に従来よく使われてきた方法が全ベータ放射能の測定である。
 天然および人工放射性核種の多くはβ線を放出する。全ベータ放射能測定は,試料からのβ線をエネルギー区分なしに測定し,カリウム,ウランなどの放射能との比較により,試料中の放射能をキューリ単位で示す方法である。すなわち,核種は同定されなくとも崩壊数が一応求められることになる。
本来,穆種が不明であれば,崩壊数を厳密に求めることはできない。しかし,β線の測定においてはα線,軌道電子捕獲からくる放射線,ならびにγ線を計り込むことは少ないので,著るしく妥当性を欠くことはない。

 全ベータ放射能の測定値に影響する因子として,試料のβ線の放出割合,β線のスペクトルが連続であること,校正線源の選択,勘定器の選択とその特性,試料の自己吸収などがある。このうち一部は補正によって改善できる。しかし,
人工放射能を検知するのに妨害となる最大の原因は,試料に含まれる自然放射能(カリウム-40,ウラン.トリウム系放射性核種)の寄与である。従来の全放射能測定法(1963)に示されている全ベータ放射能測定結果はカリウムの化学分析値から推算した。

カリウム-40による寄与を差し引いて表示していたが,この推算には大きを誤差が含まれ,手数がかかるわりには有効とは思われないので,このような差し引きを行わず,自然放射能による寄与も含めて表示することにした。

 本法の結果を不確定にする要素はこのように多いが,全ベータ放射能測定はその使用目的さえ選べば,充分有用を結果を供し得るものである。
ただし,トリチウムや炭素−14などの軟β線の核種が多く含まれる試料を測定する場合には不適当であるので,その点は充分注意する必要がある。
 考えられる目的としては,(1)核種分析などの精密を測定をすべきかどうかの判断のための材料の提供,(2)法令などに規定された基準レベルを越えたかどうか判断のための材料の提供,(3)測定対象の放射能レベルの時間的ならびに空間的な変動傾向の監視,例えば放射性廃棄物による汚染レベルがどう変動しているかを見ること,(4)環境などの放射能の推移状況などの概略に関し,公衆への情報の提供などが挙げられる。

 しかし,
本法は線量推定及び施設寄与分の低レベル放射能を検出するものについては適当でない。測定対象が地理的ならびに種類上限られた範囲のものであれば,上記の目的での全ベータ放射能測定の有用さが増してくる。そのような制限が測定の比較の際,不確定要素をへらすことになるからである。
 本法は簡易であることから,手順の少ないという意味で再現性または安定性の良好きが期待できる。
対象物によっては得られた結果そのままが,正確を値を示さなくとも規則的な偏りが存在するならば,ある傾向を把握するととができる。
 本法による結果が相互に比較できるものであるかどうかは状況によって異なるが,同種類の試料の放射能レベルの大まかを相互比戟に用いるととはできる。しかし,一股にはある一つの目的のための全ベータ放射能測定の結果を他の目的に使用する場合には注意が必要である。なお,今回の主な改訂内容を付録1に示した。


ふむ、かなり気合を入れて測定しないといけないようです。原発事故の前の放射線の計測データがあるところではそれと比較して多くなったか、少なくなったのか?そういった比較ができますが、飯舘村にはそういったデータがあったのか?

まあ、こんなことを考えていると、日本には、様々なデータを集約している機関ってないのかもしれません。情報を集め整理して未来の要求に対して備える・・・これだって危機管理の一種と思うのですが・・・

今回の原発事故で、しばらくの間は熱心に放射線が計測され、その地域の標準値と言うものが集められていくのでしょうが・・・しばらくすると、ぽつぽつと歯抜け状態になって調査結果も、散逸していくのではないかと思われます。

近頃は、電子化されコンパクトになったので、保管は簡単になりましたが・・・膨大な資料の中から探し出す作業となると結構大変です。放射性セシウムの測定は結構大変そうですから・・・

これを機に、そういった地震災害の被害がどのように発表されてきたか?どのように復興したのか?どのような二次被害・・・生産活動にとってどのような影響が出たのか?報道はどのようになされたのか?そういった資料を集積する必要があると思うわけです。

そういえば、第二次大戦で米国は、ずいぶんと産業活動について研究して、精密爆撃を行ったような・・・確か、航空機の製造を困難にするためには?という命題に対して・・・ベアリング工場を破壊するとか・・・現在でも、東北のかなりの工場がまともな生産体制に入っていないものがあるようです。

災害の評価と防災にはそういった、一見重要ではなさそうで重要なキーデバイスを扱っている工場がどこにあるかとかの把握も必要だと思われます。

ああ、サイゼリヤの野菜の大きな産地が白河にあったなんって気がつかなかったし・・・いや・・・知っていたが、関連に気づかなかったですからね。知っていても、それがどのような意味があったのかを理解することはきわめて困難であると言うことのようです。

経験と言うのは、どうやら、経験したものでないとなかなか理解できないものと言えるかもしれません。私は、ソフィストなんで、生徒が経験していないことを、あたかも経験したかのように授業で感じさせなければならないのがなかなか難しい・・・

どうやら、私はちょっと偏屈で、ただ、ニュースに踊らされるような生き方はしたくないということのようです。しかし・・・株のような大衆的なトレンドを追うようなものでは、ちゃんとそれに沿って行動しなければならないので、それにも乗れるようになっていますが・・・それにしても、原発事故がレベル7とされるやいなや・・・投資家たちは539円まで上昇した東電株価を500円ほどまで下げ、さらに、終値は440円まで下げています。

報道によれば、『放射性のヨウ素131とセシウム137が広い範囲に放出されている。これまでに放出された放射性のヨウ素は、原子力安全・保安院の試算では37万テラベクレル、内閣府の原子力安全委員会の試算では63万テラベクレルだという。』ちなみに、スリーマイル島の事故では放射性希ガス約250万キュリー(9.25×1016ベクレル)とのこと。福島原発の事故当時、どれだけ炉水を放出しているのかわかっていたのでは?なんって思うのですが・・・原子炉の発熱量と、温度変化から比較的簡単な計算で出そうな物だと思うのですが・・・

あと、気になるのはなんといっても、ベント指示は正しかったのか?です。スリーマイル島の原発事故を受けて、原子力安全委員は昭和55年に「わが国の安全確保に反映させるべき事項について」というやつで『プラントの運転管理体制 原子炉主任技術者の位置づけ及びその権限と責任に関し、特に緊急時について検討する必要がある。また、運転直長を技術的に援助する体制を検討する必要がある。』としていますが・・・首相のベント!って掛け声に対する対応は・・・技術的に正しい判断だったのか?

首相が騒いだのが問題だと思うのだが・・・どうせ、怒鳴りつけ、騒ぎまくったのでしょうから・・・政治的パフォーマンスには絶対にならないのにね。さて、株価はどうなるか?まあ、今日は日経平均が下がった方が、私にとって都合の良い日でしたからね。しかし・・・5だって7だって評価したって、事故はすでに起きてしまったのですから、何か意味があるのか?ちょっと気になります。

そんなことより、復興について国は何ができるのか、政治家諸氏は気合を入れて考えてくれないといけないと思うのですが・・・人間は生きていかなければなりません。そのために、日々努力しています。まさか・・・時間が経って、人々が自立的に復興していくのを眺めているつもりではないでしょうか?避難命令も、そろそろ反故になる時期ではないかと・・・あと二週間で被災地以外では、完全に気分も平時に戻ってしまうでしょう。

次にやってくるのは・・・そうだな・・・5月末から6月初頭の大停電かな?まだ、節電ムードが残っていて、過ごしやすくなっていますからね。何か、私も停電対策を考えねば・・・
(2011.04.12)

inserted by FC2 system