報道と現実と・・・

報道と言うのは、論理的整合性というものを考えていないのか?なんって、思える部分があります。ちょっと気になった記事・・・

「電源喪失で容器破損」東電報告書検討せず
読売新聞 4月4日(月)3時8分配信

 東京電力福島第一原子力発電所2、3号機で使われている型の原発は、電源が全て失われて原子炉を冷却できない状態が約3時間半続くと、原子炉圧力容器が破損するという研究報告を、原子力安全基盤機構が昨年10月にまとめていたことがわかった。

 東電は報告書の内容を知りながら、電源喪失対策を検討していなかったことを認めている。

 国は2006年に「原発耐震設計審査指針」を改定し、地震の想定規模を引き上げた。これを受け、国の委託で原発の安全研究に取り組む基盤機構が、09年度から様々な地震被害を想定した研究を始めた。

 1970年前後に開発された、2、3号機の型の沸騰水型原発(出力80万キロ・ワット)については、地震で電源喪失した場合、原子炉内の温度や水位、圧力などがどう変化するかを計算した。

 その結果、3時間40分後には圧力容器内の圧力が上がって容器が破損し、炉心の核燃料棒も損傷。格納容器も高圧に耐えきれず、6時間50分後に破損して、燃料棒から溶け出した放射性物質が外部へ漏れるとした。 .

という記事です。内容は原子力安全基盤機構が昨年10月、もし電源がすべて失われて原子炉を冷却できなければ3時間半で圧力容器が破損するという研究報告をしていたのに、東電はこういった研究報告書を検討せず・・・無視したと言うことでしょう。

でも、これって、最悪のシナリオの場合では?そして、設計時点で組み込まれている予測・・・この予測に対して、たくさんの手段を使って、原子炉を安定した状態にすることができるようになっているはずです。

さて、海外の動きは?これが気になります。おおMITのサイトに今回の事故関連情報を流しているサイトがあります。

MIT NSE Nuclear Information Hub (http://web.mit.edu/nse/)

色々な解説が出ています。 150 ポンドの人にプルトニウムを 47. 7-68. 2 mg注入すると、1ヶ月以内に半数の人が死ぬとか・・・そりゃ重金属は化学的な毒性がつよいですからね。プルトニウムの放射線は主にα線だから、紙や皮膚でも止めることができる、水に対する溶解度が低いので、体内から短時間で出てしまう。それでも、肺胞や消化管の上皮などを放射線によって傷つけられる可能性もあるか・・・

どうも、英語は苦手だ・・・興味深い内容ですが・・・脳みそが・・・疲れます。時間を忘れちゃうので、あっという間に時間が過ぎていきます。しかし、日本の大学で、こういったサイトを開いているのでしょうか?あまり活動していないような?

ベントについても説明があります。どうやら、私が推測した内容と同じようなものです。やっぱりなぁ・・・

そうなると、国のベント判断は早すぎたか、必要なかったか・・・適切か?と言うのが問題です。

国がベント判断をしつこく発していたらしいことが報道されていました。ベントしないから直談判しに現場まで首相が出かけたような調子で・・・さて、

<福島第一原子力発電所プラント状況等のお知らせ>
     (3月12日 午前11時現在)
福島第一原子力発電所は全号機(1〜6号機)停止しております。
1号機(停止中)
・原子炉は停止し、非常用復水器で原子炉蒸気を冷やしておりましたが、現在は停止しています。原子炉格納容器内の圧力が上昇していることから、安全に万全を期すため、原子炉格納容器内の圧力を降下させる操作を現在実施しております。現在、原子炉水位は低くなってきており、注水を順次実施しております。
2号機(停止中)
・原子炉は停止し、原子炉隔離時冷却系で原子炉に注水を行っております。現在、原子炉水位は通常より低いものの安定しております。なお、安全に万全を期すため、原子炉格納容器内の圧力を降下させる操作の準備を行っています。
3号機(停止中)
・原子炉は停止し、原子炉隔離時冷却系で原子炉に注水をしております。なお、安全に万全を期すため、原子炉格納容器内の圧力を降下させる操作の準備を行っています。現時点において、原子炉格納容器内での冷却材漏洩はないと考えております。

これが、東電の発表内容、あまり嘘はないと思われます。実際には技術陣は超緊張状態で、このまま温度・圧力があがったら、ベントもする必要があるが、まだ何かできることは無いのか?もし、ベントしなければならない状態になるとすれば、それまでにあとどれくらいの時間が残されているか?ベントした場合には、その後はどのような操作をしなければならないか?そういった事柄を、マニュアル、図表などを引っ張り出して検討していたはずです。

MITの解説の中に、原子炉の出力の話題がありました。

日付/時刻 (福島) 福島第一
1号炉崩壊熱
(MW)
福島第一
2 & 3号炉 崩壊熱
(MW)
原子炉出力の%
3/11 8:00 PM 12.8 21.9 0.92%
3/12 8:00 AM 10.1 17.3 0.73%
3/12 8:00 PM 9.1 15.5 0.65%
3/13 8.5 14.5 0.61%
一応、抜粋・・・わからん・・・ベントの効果が・・・1年後までの予測値も出ていますが・・・1年後でも、3月12日午前8時の出力の4分の1程度になるということのようなので・・・核分裂はあまり変わらない・・・すでに12日の朝の段階では完全に停止したと考えられるようです。ただ、残存する高圧の水蒸気や水の持っているエネルギーが問題になっているわけです。

ベントは気化熱を利用して温度を下げる手法です。水の気化熱は中学入試では540cal/gを使っていますから・・・300℃の水1gを100℃まで下げるには・・・300-100=200、200calの熱を気化熱にすればよいのだから・・・200÷540=0.37・・・0.4gぐらい蒸発させればよいことになります。実際には圧力だってエネルギーだし、水の持つ熱量は温度によっても変わりますから詳細は不明・・・私の手には負えない領域かな?とにかく4割の水が水蒸気となって失われることを意味します。

核燃料を冷却するのに十分な水位が保てるためには・・・4割の水を失うことがどういうことか?ちょっと気になります。そもそも、原子炉の圧力容器の容量がわからんのです。100万kW級で高さが約22m、内径が約6.4mある。とか記述があったのでこいつを使うと・・・3×3×3.14×22=621.72・・・およそ600トン、まあこの6割と見て350トンくらいの水があって、そのうちの150トンくらいが水蒸気として、圧力抑制室だっけ?圧力容器の下の方のドーナツ状の部屋に導かれて水に戻されます。

ふむ、電力が十分でない中で、ベントによって炉内温度と圧力を下げるのは、この失われた水が十分に補給できるかどうか?その問題ですかね。そのあても無いままに、ベントしたのかな?

どうやら、責任の所在は明確です。報道によれば(毎日新聞 4月4日(月)4時0分配信)

官邸は東電役員を呼びつけた。原子炉の圧力が上がってきたことを説明され、ベントを要請した。しかし東電は動かない。マニュアルにはあるが、日本の原発で前例はない。放射性物質が一定程度、外部へまき散らされる可能性がある。

 「一企業には重すぎる決断だ」。東電側からそんな声が官邸にも聞こえてきた。
復旧し、冷却機能が安定すればベントの必要もなくなる。

 翌12日午前1時30分、官邸は
海江田万里経産相名で正式にベントの指示を出した。だが、保安院は実際に行うかどうかについて「一義的には東電が決めること」という姿勢を変えない。国が電力各社に文書で提出させている重大事故対策は「事業者の自主的な措置」と位置づけられている。

 「東電はなぜ指示を聞かないのか」。官邸は困惑するばかりだった。首相は「東電の現地と直接、話をさせろ」といら立った。「ここにいても何も分からないじゃないか。
行って原発の話ができるのは、おれ以外に誰がいるんだ」。午前2時、視察はこうして決まった。

ほらね。さて、補償の問題はどうなるか?

今度は、石層の水漏れ対策か・・・コンクリートには地震でできたとみられるひびなどの損傷がある可能性が高いことが分かったためだと・・・水ガラスを使って硬化させて不透水層を作るのかな?・・・私だとどうするかな?貧乏だから、ベントナイトを水に混ぜるか・・・旧北浦町の池を作るとき、山砂の上に池を掘り、そこに水をためようとしたときに、ベントナイトを使いました。水の流れがなければ、こいつで十分でした。ベントナイトは、猫砂って、猫のトイレ用の砂として販売されていましたからね。そのほかには、井戸を掘るときに、管璧保護のために、水に混ぜて試したりと、色々な用途が考えられるものです。

水ガラスというと、私の頭の中では・・・かちかち山とつながっちゃうんです。かちかち山の狸が兎によるしつこい追求の中で、いじめの素材に、囲炉裏の中の栗バージョンと囲炉裏の中の卵バージョンがあって、この違いについて考えたときに出くわしたのが卵の保存法でした。

卵を長期保存するため、たとえば、ニュージーランドからイギリスへかなり長期間の船旅で卵を腐敗させない方法として水ガラスで卵の表面の呼吸のための穴を塞ぐ処置がなされて船で出荷されていました。このような卵では、卵をゆでる等の加熱処理を行うときに、殻を少し割る必要があったとか・・・まあ、そんなやつですね。

それと、ピットから水が流出する部分に鉄の板を押し当て、流水をせき止めることも試みるとのこと、やっと始まったか・・・あれ?違った、外側の柵に鉄板を立てかけて海中に囲いを作る作業を5日から始める方針と・・・資材やお金があると、大掛かりなことをするんですね。ちょっと、不思議・・・

(2011.04.05)

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