歯切れが悪いと何だろう?ってね

原発関連の報道の中でちょっと気になることがあります。それは・・・東電は「現場に任せているので詳細は分からない」(広報)と歯切れが悪い。などと、東電のことを述べている部分です。東電は当事者ですから、積極的に現状を述べて信頼を回復するために努力するはずです。しかし、歯切れが悪いとは・・・

一般的に、このような事態で歯切れが悪くなるのはどのような状況ででしょうか?たぶん、何かに配慮しなければならない場合に歯切れが悪くなるのでしょう。東電の場合、すでにメルトダウンのうわさが流れていて、チェルノブイリ以上の最悪の事故と評判が確立している状況ですから、このあと何を言おうが、これ以上悪くなることはない状態です。

まあ、この先圧力容器がばらばらになって、燃料や分裂物質がこれ以上に飛散すれば別ですが・・・

もうひとつ気になるのは、東電の社長の入院です。会社と言う組織は、責任の連鎖の中に存在し、最高責任者というのは、下から上がってきた事案に対しての決定権と言うよりは、承認を与えるかどうかの機関です。当然、何段階にもわたる精査を経ての事案が最高責任者のところに回ってきますから、大抵のものは承認されるはずです。したがって、判断と言うのはあまりしなくて良いということになります。

しかし、この地位にたどり着くためには、判断の能力が高い、ストレスに強いと言う前提があります。今回の事案では、地震という天災が前提にありますから、判断も何もない・・・地震が来たからだ・・・と言う単純な説明が可能で、それで思い煩うことを回避することも可能です。それでも体調を崩したのはなぜか?

責任感が著しく高いのか?現状に対応する能力がないのか?現状に対応する能力がなければ、社長なんって地位にたどりつけないはずです。たぶん、最優秀な人間でしょう。責任感ってやつは?高度な判断をする人間は、責任感で動くのではなく、事実の積み重ねで判断するのですから、責任感とは違ったものです。

今回のものは想定を越えた地震による災害ですから・・・普通にいう責任感の範疇には入らないと思われます。しかし、一般に人の上に立つ人間は責任感が強くなければ立てないことになっていますから・・・じゃあ、何に対する責任を感じたかです。

こんなことを考え始めた理由は・・・報道で以下のようなものを見かけたからです。

現地には原子力災害に対応できるロボットが投入されているが、十分に活用できていない。事故を想定したロボット運用のノウハウが日本にないためで、専門家からは、政府や東電が「原子力災害に備えたロボット政策を怠ったつけ」との批判が上がっている。

米社のロボットは、100キロ以上の物体を運ぶ能力があり、高い放射線量が検出されている場所で、消防ホースを運ぶ役割などが期待される。ただ、ロボット操縦用に派遣された社員6人は待機している状況だ。

この1つの記事の中から抽出した内容です。ロボットが来ている。しかし、それが活用されていない、運用のノウハウがないから使えない・・・しかし、ロボットともに、運用できる人間がちゃんと来ている・・・・と言うことです。

これって、やれという指示が出ていないだけでは?ロボットの操縦者は、ロボットを操縦して内部の様子を確認できるぐらいはやれるでしょう。それさえ、させられていない状態と言う意味です。

この理由は?何かを隠している=見せたくないか、それとも、見たくないかでしょう。事故の終息の対策としては見なければいけませんから、見たくないはないでしょうから・・・見せたくないと言うことかな?

直接の関連はなさそうですが、こんな報道もあります。

 2001年の米同時テロの際、ニューヨークで陣頭指揮を執ったルドルフ・ジュリアーニ前市長(66)は1日、読売新聞と会見し、東日本大震災への対処について、「指揮官が1人必要だ。すべての指令はその人が出し、情報も1か所に集まるべきだ」と述べ、国家的危機を乗り切る強力な指導力が重要だとの考えを強調した。

 指揮官については、「首相でもいいが、首相が任命してもいい。有能な人材をすぐ集められる官僚機構から選ぶべきだ」と指摘。その上で、「私なら、『被災者対応』と『(放射能汚染などの)被害拡大防止』を担う二つの指揮系統を作る」と語った。

首相でもいいが・・・これは配慮だな・・・首相が有能な人材を任命せよ、と言うことでしょうから・・・首相よお前では駄目だと言っているのか?なんってちょっと考えてしまうわけです。

さて、総理の動きを眺めてみると・・・ネットだと、ニュース検索で総理大臣なんって引くとすぐに出てくるから素敵です!産経新聞の3月29日11時41分配信のものです長文ですがちょっと引用しましょう。

 
−−震災前は毎日のように菅直人首相の声を聞いていたが、震災後は数回しかなく国民は違和感を覚えている。国民にどうメッセージを出すのか

 「ここは震災に対する対応、そして原子力発電所に対する対応、最高責任者としてしっかりとその対応に万全を期しなければならないという、これが最優先課題であると思います。同時に内閣総理大臣として国民のみなさんにしっかりとしたメッセージを発信していくこともそれに次いで重要な役割であることは間違いないと思っております。できるだけ国民のみなさんへの発信については関係大臣、あるいは私が代われるところはこの間代わって、そのことによって最高指揮官としての首相の業務をできるだけ優先できるようにとやってきているところだが、今ご指摘のように長期にわたっているという状況の中で、どう首相としての国民へのメッセージというものの時間というかエネルギーを確保するかということは、この間も検討をしてきているところですし、今の指揮官としての判断と指揮の兼ね合いの中である程度の時間とエネルギーを国民へのメッセージに注がなければならない必要性は日々高まっているとは認識しています」

 −−海外からいろんな支援やメッセージがあると思うが国際社会に対しても首相がメッセージを発信する必要があるのではないか

 「これについてはこの間もオバマ米大統領はじめ、いくつかの国の首脳とは電話会談などで直接支援への感謝などを含めてコミュニケーションをとっているところだが、さらに外相と役割分担もしながら国際社会とのコミュニケーションもしっかりとっていかなければならないと思っている」

 −−一部報道で東京電力の一時国有化を検討しているとがあるがその可能性は

 「現時点でそういった検討を政府の機関で行っていることはないと認識している。まずは東京電力としてこの事故を収束に全力をあげると、その上でしっかりと事故の影響を受けているみなさんに対する対応をしっかりと行っていただくと。まずはそのことに全力を尽くしていただくということについて、政府としてしっかりと指揮をする段階だと思っている」

 −−内閣官房参与に選ばれた田坂広志多摩大大学院教授だが大学では原子力を現在やっていない。なぜ選ばれたのか。内閣官房参与全体をどういう基準で誰が選んでいるのか

 「原子力工学の分野の識見を持たれた上で、さまざまなこういったリスクコントロールなどについての知見もお持ちであるという総合的なところで、お願いをしたということだと聞いている。原子力に関する分野というのは非常に専門性が分かれて幅広いものですから、炉の専門家であるとか、放射線の専門家であるとか、さまざまな分野の専門家と、それと横断的に一定の知見を持ってらっしゃる方と両面が必要だと私も思っている」

 「それからどなたをどうお願いするかという基準はなかなかあの、一言で申し上げれば抽象的に申し上げるのは難しいですけれども、民間の方含めてさまざまな方にこの間ご意見ご助言はいただいているところでございますが、政府の立場をしっかりともっていただくことで、公務員としてさまざまな責任と、同時に公務員だからできる部分というところがありますので、そういう身分を持っていただいた方が、そのご助言などをいただく上でプラスであるという状況であれば、そうした参与などの立場をもっていただいて助言いただくと。それ以外の立場のみなさんからも、純粋民間の方からもご助言はたくさんいただいている。そういうところに違いがある」

 −−被災者の被害認定の基準について、現場では半壊状態で避難所に入れない状況が見られる。どう対応すべきか。被害認定基準の弾力的な運用はどう考えるか

 「被害認定基準がそもそも直接避難所で受け入れサポートする、しない、できる、できないということにダイレクトでつながっているとは私は認識していない。つまり、例えばその家屋の損壊による事実上の補償のような話がありますが、そういうところは全壊と半壊で従来から制度はありますが、それについての全壊の認定については、昨日申し上げましたがかなり柔軟にやっていこうなどという措置はとっている。避難所に避難をいただくうんぬんということについては、その全壊か半壊かということが直接の基準にはなっていないとは理解しているが、その点が現場の市町村などで誤解、あるいは徹底がされていない、あるいはもしこの間のいろいろと大きな動きがある中でもしどこかの部局から誤った指示がなされているとすればいけませんので、それは確認して全壊、半壊にかかわらず当面の避難のことについては事実上、それぞれの自宅で生活ができないという事情に基づいて対応すべきと思っているので、確認をした上で指示徹底したいと思います」

 −−現場ではヒアリングの段階で被災状況を見て重い方を優先するという運用がされている

 「それはそれぞれの地域ごとの避難所のキャパシティーとの問題で現場のみなさんのご判断でそういったことはあり得るだろうと思います。ただ、それについてはできるだけ避難所のキャパシティーのそのものについて、国の方の支援でより広範に必要な方が受けられるようにこういう支援はさらに強化しなければいけないだろうと思っている」

 −−池田元久経済産業副大臣が原発事故の行方について「神のみぞ知る」と発言した。発言は撤回したが受け止めは

 「私はとにかく菅首相を先頭に全力を挙げてこれ以上悪化させないための努力を最大限、努めていくのが政府の役割だと思っている」


東電以上に歯切れが悪い状態になっているようです。なんで、こんなに歯切れが悪いの?責任の追及に話を持っていけば回避できる内容なのに・・・自民党がちょっと面白い動きをしているし・・・大連立の動き・・・たぶん、何かつかんでいるのでは?と思われます。

世の中には賢い人がたくさんいます。私など足元に及ばぬ賢さを備えた人たちが・・・私が、公開されているデータを元に、もしかしたら、今回の原発災害が、初期のベント指示にあったとしたら・・・なんって、仮定に思い当たる人がいるに違いません。事実そうであったら?政府は簡単に転覆できるような気がします。私だって、事実とはあまり思いたくはないですが、経過を見ているとなんとなく、事実に見えてくるし・・・東電の株をちょっと持っている都合で・・・国有化を避けるには?なんってものを中心に考えているのは事実ですが・・・

しかし、多くの専門家たちの手助けを事実上断っているのが・・・何か大きなものを隠しているように思えてならないわけです。
そう・・・こんな報道もあります。

安全委が造血幹細胞の事前採取を「不要」と判断したことについて、事前採取の必要性を訴えてきた野党若手議員は「被曝を前提とするほど危険な場所で作業していることになれば、国民の不安感や諸外国の不信感をあおることになりかねないという政治的配慮があるのではないか」との見方を示している。

被爆のおそれ・・・政治的配慮・・・わからん?安全のために様々な方策を採ることは不信感ではなく、安心につながる、万全の備えに関するものです。それを蔑ろにすることこそ、不信感につながる・・・こうは考えられないのか?「不要」だから不要なのでは?なら、放射線は大したことはなく・・・メルトダウンした原子炉なら・・・圧力容器が破損しているのなら・・・それをなんとかするためには?ロボットの投入でしょう?

どうも、こういったことから判断すると・・・東電の社長の不調は・・・何かを隠したことによる不調ということになりそうです。人間、特に合理的な判断を行う人間が最も弱いこと・・・非合理なことに屈して指示を出して損害を与えることですから・・・

現場からの情報によれば、原子炉は停止して、温度が多少高いものの、機能も完全ではないが・・・問題ないというのが12日午前6時の報告書の内容です。

特記事項としては
現在、1号機の原子炉格納容器の圧力を降下させる操作を実施しておりますが、原子炉
建屋内で作業していた当社社員1名の線量が100mSvを超過しております(106.3mSv)。現在、産業医が不在のため、後日診断することとします。
・モニタリングカーにより発電所構内(屋外)の放射性物質(ヨウ素等)の測定の値が通常値より上昇しております。また、モニタリングポストの測定値も通常値より上昇しております。
引き続き、排気筒や放水口等からの放射性物質の放出の可能性について詳細に監視してまいります。
 なお、放射性物質が放出される恐れがあるため、国から、半径10km以内の地域住民に対して避難指示が出されています。
・発電所構内においてけが人(協力企業)2名が発生しており、そのうち1名(骨折)は救急車、もう1名については業務車にて病院に搬送いたしました。
また、当社社員の1名は左胸を押さえて立てない状態であったため、救急車にて病院に搬送いたしました。
また、当社社員のうち2名が現場において、所在の確認ができておりません。
 さらに免震重要棟近傍にいた協力企業作業員1名が意識がないため、救急車で病院へ搬送しました。
・プラントの復旧に向け全力を尽くしてまいるとともに、引き続き周辺環境のモニタリングを継続・監視してまいります


だから、12日に出かけて視察したんでしょう・・・しかし、その頃・・・首相が視察にたつ約3時間前には、海江田経済産業相らが弁を通じて高圧の蒸気を放出するベント作業を急ぐよう指示。だが、実際の作業着手は、首相が視察を終えた1時間後だった・・・

あれ、何これ?火中の栗を拾いに行かせようとしたのかな?物事は、何かの関連を見出そうとすると、それなりの面白い事象に出くわしてくれます。私も、もう少し文才があれば、今回の事故を元に、何か素敵な小説が書けそうな気がするのですが・・・残念ながらチンケなソフィストなんで・・・
(2011.04.03)

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