アスペルガー症候群

 このところ、アスペルガー症候群について調べています。どうも、近所にこの気のある人間がいるのでどのようなものかが気になるわけです。

 さて、アスペルガー症候群と呼ばれるものは、オーストリア、ウイーン生まれの小児科医であるハンス・アスペルガー(Hans Asperger、1906年2月18日 - 1980年10月21日)によって報告された症例についての名称です。

 アスペルガーが報告した4例の最初のものでもチェックしておきましょう。

 オーストリア人の二子中第一子、男児。母はオーストリアの大詩人の一人の家に生まれた。家系全般に知的な者が多く、「皆どこか常軌を逸していた、そのうち多くの者は美しい詩を書いた」という。

 母方の祖父の妹は天才的な教育者といわれたが、気紛れで一匹狼だった。この家系では皆この調子であったから、公立学校では問題を起こし、私立学校に行くことになった。患者当人はこの祖父に非常に似ていたという。祖父は学者で閉じ篭りがちで「変わり者」であった。母自身も患者に非常に似ていた。母は、その動き、話し方、行動全体で奇妙で不適切で一匹狼的である。いつもだらしがなくて、家事に無頓着で、服装も垢抜けない。母は患者の性格や問題はすべて承知している。

 自分や祖先、血縁に同じような特徴を見つけ、その全てを述べることができる。家庭内で問題があり、我慢できなくなると全てをほったらかして一週間かそれ以上、山に出かけていく。父は特に目立った性格が見られない農家出身で、結婚は遅く55歳児に初めての子をもうけている。物静かで内向的、自分自身のことや重要なことについては語りたがらない。非常に凡帳面で、細部にこだわり、周囲とは距離を置いていた。

・・・インターネット上での情報というのはちょっと断片的で困るんですが、色々なソースから集めてくると全体像が見えてきます。

 さて、アスペルガー症候群・・・アスペルガー症候群 Asperger syndrome: AS というやつは、社会性・興味・コミュニケーションについて、ちょっと普通の人とは違った行動がみられる広汎性発達障害であるとされています。一応、知的障害域でないことが多くて、「知的障害がない自閉症」として扱われることが多いようです。一応、自閉症とは区別して取り扱われています。
 まあ、自閉症ってやつがわからないと違いが分かりませんけど・・・一応、チェックしておくと・・・
 自閉症症候群ってのは、生後30ヵ月以前に症状が現れて、言語発達の遅れがあり,尋ねられたときにオウム返しの言葉がみられるなどの言語発達の異常で疑いが濃厚になり、他人と目が合わないとか、幼稚園や学校で集団行動に参加しないなどの人間関係成立の遅れで顕在し、特定の事物への強い執着や物事の変化に強い抵抗を示したりして集団の中ではっきりと違った人間だと思われ、さらに、手かざし、物を目に近づけて見るなどのパターンの決まったちょっと変な行為、その結果、こいつは異常!って判断されるやつです。まあ、先天的なものです。
 アスペルガー症候群も大差ないですが、違いは言語障害がみられないというのが大きな違いなんでしょう。

 ちょっと、別な角度からアスペルガー症候群を眺めてみると・・・
発達障害者支援法 (平成十六年十二月十日法律第百六十七号)
 第一条  この法律は、発達障害者の心理機能の適正な発達及び円滑な社会生活の促進のために発達障害の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うことが特に重要であることにかんがみ、発達障害を早期に発見し、発達支援を行うことに関する国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、学校教育における発達障害者への支援、発達障害者の就労の支援、発達障害者支援センターの指定等について定めることにより、発達障害者の自立及び社会参加に資するようその生活全般にわたる支援を図り、もってその福祉の増進に寄与することを目的とする。

第二条  この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
2  この法律において「発達障害者」とは、発達障害を有するために日常生活又は社会生活に制限を受ける者をいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう。
3  この法律において「発達支援」とは、発達障害者に対し、その心理機能の適正な発達を支援し、及び円滑な社会生活を促進するため行う発達障害の特性に対応した医療的、福祉的及び教育的援助をいう。

平成17年以降は学校などでチェックが入るようになったようです。とにかく、早期に発見できるから、そこで何とかして、社会生活が送れるようにしてやろうという法律ですね。ただし、独り立ちした時には知らないよ!的なものですね。

 さて、どうも精神医学関係の定義って曖昧・・・まあ、人間というのが曖昧なもので、その曖昧なものをパターン化する作業ですから仕方ないのかもしれません。法律にもきちんとした定義はなく、「通常低年齢において発現するもの」としているだけです。小さいうちからちょっと変わった奴ってわけです。

 アスペルガー症候群・・・文献を眺めると、普通の人に比べて、「強く感情の反応をする」 「他人の情緒を理解することが困難」 「自分の感情の状態をボディランゲージや表情のニュアンス等で他人に伝えることでできない」 「自分の周りの世界から、乖離した感覚を持っている」 これって、そういった環境に居なかったというような気がします。小さな頃に、あまり人からかまってもらえなくて、言葉と行動との関係を理解していない。したがって、何かするとき、その様式から外れることが多い、生活経験を重ねることである程度、そのギャップは埋められるのかもしれないが・・・

 私も、ソフィストで知識の切り売りを商売としています。いかに効率的に教え込むか?こいつを常に考えています。基本的に算数や理科などは、特定の言い回しというやつが認識できるか?ってやつです。言葉で言われたことを額面通りに受け取って実行できれば、問題はない・・・そのため、勉強というやつには感情の入り込む余裕があまりないから、問題はない。しかし。国語の文学的表現というやつは問題なんでしょう。

 さて、先ほどあげた「強く感情の反応をする」 「他人の情緒を理解することが困難」 「自分の感情の状態をボディランゲージや表情のニュアンス等で他人に伝えることでできない」 「自分の周りの世界から、乖離した感覚を持っている」

 こういったことからどのような問題が起こるか?他人の情緒を理解できない、自分の感情を他人に上手く伝えられない・・・自分はまわりの人とは違う・・・こういった状況が普通の健常な人の上に覆いかぶさってきたら?

 普通にいわれるアスペルガー症候群の「興味の対象に対する、きわめて強い、偏執的ともいえる水準での集中」というやつに落ち込むのではないかと思われるわけです。得意なことにはトコトン打ち込んで、それ以外のものから逃げる。これって、普通の人間のパターン・・・大抵は、時が解決してくれて、まあ、なんとかなるぞ!って状態になるはずなんですが・・・

 そう、一芸に秀でた人間というのは、それ以外の領域で多少の馬鹿をやってもお目こぼしに与れるというわけですから、そういったことに集中するのは・・・そのことが社会的に有用なものであれば、まったく問題はありませんからね。

 結局のところ、上手く解決できなければ、「興味対象に関する大量の情報を記憶することで、充実感をもつ」ことになるのでしょう・・・自分の世界だけで生きる方法ですね。

 もう一つのアスペルガー症候群についていわれることとして、「順序だったもの、規則的なものを好む」 「予測不可能なもの、不合理なものは嫌う」というやつも、普通の人間も嫌うと思うんですが・・・毎日、規則が変わる、その規則の変化が予測不可能な場合・・・先生の機嫌で、先日はこれだけ騒いでも怒られなかった、今日は怒られた、どうしたらよいだろう・・・予見不能だから騒がないのが良いのだろう・・・この先生ならここまでは許してくれる、その範囲内ならOK・・・予見不能なら動かないに越したことはない・・・ある種の思考停止が入るわけです。

 さてさて、健常者とそれから外れるものって・・・こいつは難しい・・・他人とのかかわりというのは・・・結局のところ、何か根本的に脳に障害があるのであれば別ですが・・・普通に話をすることができ、新しい知識を得る能力があるのなら・・・

 新しいことを知り、それを理解する能力があるのなら・・・教育的手法で改善されるはずですね。音、匂いに過敏であっても、その音や匂いについて別の位置づけ・・・不快と思われていたものが、心地よい匂いであるとか、心地よい音に感じられる・・・そう、感覚というのは後天的なものですから。ものの見方が変わるだけで一変するものです。

 まあ、価値観というやつですかね。健常者に見えるが・・・ちょっと違うよな・・・これもまた一つの価値判断ですね。知的障害とは違う、世の中に大きな貢献をする変人は認められるが、世の中に貢献もせずやりたい事だけをやり、他人の感情や財産に対して敬意を払わず、文句だけをつける人間では、こいつは排除しなければならないとなるのでしょう。

 変な人間には、あまり近づかずに、好奇の対象として観察するなら、面白いか・・・しかし、こちらの行動が制限されるのも面白くないし・・・と、現実的な価値判断というのも、普通の人間は持つことになるのでしょう。

 さて、人間という曖昧な代物は、どんなのが正常なのやら?このところ考えさせられているものです。生徒もどれが発達の上で正常領域にあるのか?とかね。結局のところ、精神の多様性というのが、我が人類の繁栄の基本にあるような気もします。小児科医アスペルガーも、なんだかアスペルガー症候群の範疇に入りそうな感じだし、ナチス時代を生き、価値観が大きく揺れ動いた中で生きた人間です。

 たぶん、人間というのは、一人一人に何らかの才能が与えられていて、何らかの形で社会に貢献するようにできているのでしょう。自然というものは無駄なものを生み出すことは少ないようですから・・・しかし、時々おかしなものを自然は生み出し、別な安定へと移行させる気まぐれな力も持っています。偏見を持つなという考えもありますが、これまたある意味の偏見とも考えられるし・・・

でも、社会に適応できないって・・・こいつは問題ですね。だって、人間って人間の社会の中にいて人間なんですから。その中に生きられないとなると、人間ではないのですから。人の皮をかぶった、得体のしれないものになっちゃいますからね。

さてさて、私も少し変なにんげんかもしれないなぁ〜 困った困った・・・

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