現在をうろうろ(417) 平安南道北部の工業とそのインフラ(23) 楽元機械連合企業所(1)・・・ さて、次はどこをチェックするか?新義州の周辺を色々と見ているのですが・・・戦前の資料も多い様で少ない・・・どうも、昭和12年ごろからあわてて軍需主導で整備された工場が沢山あるようですが、それがどこにあるのかが不明ですね。新義州の朝鮮無水酒精工場などもどこだかよくわからない・・・製材の際に出る大鋸屑などを硫酸で処理して糖化し発酵させるなどの技術的な物は分かるのですが、具体的な場所が不明・・・営林廠の製材工場の近辺だとは予想が付きますが、確定できない・・・新義州の街中を流れていた川も川筋が変えられ、営林廠の貯木場もかなり変わっているし・・・可能性があるのは、現在はストレプトマイシンなどの製造を行っているとされる製薬工場か?こりゃ、色々と資料を集めてみないと駄目ですね。このあたりで確実な工場は・・・楽元機械連合企業所とか北中機械連合企業所は明確ですね。先ずは、製造物もある程度分かっている楽元機械連合工場あたりを眺める事にしましょう。 平義線楽元駅あたりに広がる工場群が楽元機械連合企業所のようですが・・・楽元駅の座標は・・・ 40°02'37.45" N 124°26'05.67" E ここです。右の写真のような茶色の屋根の工場群が広がっています。 ここの生産品は酸素分離機と言われています・・・つまり、空気の液化装置と液体空気の分留装置、液化ガスタンクを生産しているという事のようです。 液体空気の製造は、高圧ポンプで圧縮されて高温になった空気を一旦冷却して、多孔質の壁を越えさせるとジュール・トムソン効果・・・分子間距離を増大させると分子間力に対して仕事をする事になるのでエネルギーが使われるから・・・エンタルピーは下がり温度が下がるというやつですか?・・・近代デジタルライブラリー - 液体空気爆薬 この本は面白いですね。清水トンネルでは液体空気爆薬の実験が行われたようです・・・近代デジタルライブラリー - 液体空気爆薬 45コマ リンデの液体空気製造機が紹介されています。現在は、原理的には同じでしょうが・・・このリンデの液体空気を改良したリンデ=ハンプソン型空気液化機が基本になっていると思われます。原理が分かれば、それほど複雑な装置でないから製造する事はそれほど困難ではないですね。 空気圧縮機がレシプロ圧縮機なのかスクリュー式なのか・・・鉱山の削岩機などを動かすコンプレッサーの系譜の製造メーカーなのか?北朝鮮は鉱山が多いですから、鉱山用のコンプレッサーや削岩機などの需要は大きそうですが・・・鉱山用のコンプレッサーだと7気圧程度ですかね? この工場の生産品は・・・一応、良く見かける紹介文によると・・・掘削機類と酸素および窒素分離器、鑿井機、溶解炉、乾燥炉、揚水機、起重機などを生産するとなっています。 エアツールとショベルカー・起重機など履帯を持ったものを製造していると考えれば良さそうな気がします。さて、衛星写真と宣伝映画を使ってこの工場をチェックして行きましょう。 先ずは、駅の東側には燃料タンクらしきものがあります。写真左下には地下タンクもあるようです。囲いのある区画と、その外の地下タンクの管理者の関係はどうなっているのか気になります。 主力工場は燃料区画と線路を挟んで反対側に、右の写真のような場所であると思われます。 正門は・・・右の写真の右中央にあり・・・宣伝映画によれば・・・ 左の写真のようなものであるようです。 そして、右の写真の左上のかまぼこ型の屋根の部分が大型建機の組み立て工場であるようです。 右の写真は、この工場の建屋で建物の右上の内部と思われます。かまぼこ型の屋根から山形の屋根に変わるあたりに、右の写真の赤い大型の油圧ショベルが置かれています。 左の写真がその様子です。右が壁、手前が出入り口、左に工場が続いていることから・・・多分、間違いないと思います。 この建屋の正面の写真は・・・ 右のようなものでしょう。正面の屋根は普通の切妻で後ろ半分はかまぼこ型で明り取りのあるものですから、間違いないと思われます。 大型の油圧ショベルが、この工場の主力生産品のようですね。この建屋の中には、右上の写真の奥には黄色い大型のフライス盤が置かれているようです。それから・・・ 縦旋盤がありますね。これもCNC機器です。何かを切削加工しているようです。他に加工機は・・・ 右のような旋盤もあります。 これらの工作機械が数セットあるような感じです。かまぼこ屋根が3つ連なった部分と広場に面した区画はこんな感じですね。大物の加工機械が置かれている場所という事になります。この宣伝映画では、他に小物の加工を行っている区画も紹介されています。 履帯の製造ラインとかもこの工場の周辺に有りそうな気がしますね。他には、油圧装置や・・・ディーゼルエンジンの工場はどこにあるのか気になります。もしかして、ディーゼルエンジンは中国やロシアから基本的には購入しているのか?近頃購入されているのは・・・中国製D6114 350馬力か・・・ 2014.09.08 |
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