現在をうろうろ(341)

 北朝鮮の海岸防衛・・・軍事境界線から北へ・・・北朝鮮のプルトニウム製造は?

 共産圏の工場ってのは、同じ機能なら建屋も同じになるような気がします。そこで、2つの工場の比較をしようというわけです。前回、燃料加工の手順をチェックしました。この中で、再処理と重なる部分がある事に気付きました、そこで、この硝酸で溶かして灯油にリン酸トリトリブチル溶かした液でウランなどの核分裂物質を分離する工程は同じなので、同じ建屋で行われているのだろうと推測したわけです。どうやら、この工程に関してはどちらも、正方形の建屋を使っていそうな気配です。こうなると、燃料棒の再処理と、プルトニウムの抽出についての知識も仕入れたくなるわけです。・・・方針変更・・・前回で燃料棒まで完成しましたから、原子炉に戻ってプルトニウムの生成から、知識の確認をしてしまいましょう・・・しかし、なんか、変な隘路に迷い込んでしまったか?

 原子炉内でのプルトニウムの生成に関して基礎知識を確認して・・・

 核燃料の中のウラン235が核分裂を起こすと、中性子が飛び出し、核分裂を起こさないウラン238がこの中性子を吸収すると、ウラン239が生成します。このウラン239は不安定なので、半減期23.4分のウラン239の中の中性子の1つが電子を放出して陽子になってネプツニウム239になり、ネプツニウム239も不安定なので、半減期2.4日のネプツニウム239の中の中性子の1つが電子を放出して陽子になって、半減期2.4万年のプルトニウム239に化けて概ねおとなしくなります。このように、原子炉の中でウラン235から放出された中性子が、ウラン238を・・・核分裂物質のプルトニウム239へ転換していくわけです。

 ここで問題になるのは、一般的な軽水炉原子炉では、困った事にプルトニウム239が中性子を取りこむ性質が強いので、一部がプルトニウム240などがかなりの割合で含まれてしまいます。核爆弾を作るとなると、分裂性の高いプルトニウム240が邪魔をします。爆発させようとすると、この少量のプルトニウム240が先に爆発して核爆弾を壊してしまう早期爆発が起きてしまいます。軽水炉ではこのプルトニウム240が20%ぐらい含まれるようになるので不適なんです・・・そこで、核兵器用のプルトニウム・・・プルトニウム240を7%以下の生成に押さえられる黒鉛炉や重水炉や高速増殖炉が用いられます。世界初の原子炉は黒鉛炉でシカゴ・パイル・ワンで、これは核兵器用のプルトニウムを作るための炉でした。

 すると、日本は高速増殖炉のもんじゅの再稼働は急がれなければならないという事ですかね?国策としての核兵器の製造などを妄想すると・・・何しろ中国に対抗するには多量の核兵器が必要になるから・・・もんじゅは稼働期間が短いからそれほどウラン238がプルトニウムに転換していない?それとも、現在停止中の原子炉のうち、燃料をそれほど長期間使っていない発電所の燃料棒を取り出して再処理するとか・・・我が国の政治屋が、核・ミサイル恐怖症で、本当に核兵器が欲しいのならやりかねない・・・

 こんなわけで、北朝鮮の黒鉛炉を閉鎖させて、軽水炉の導入を進めていったわけです。北朝鮮の原子炉は、まさに核兵器用のプルトニウムを製造する原子炉として認知されてしまったからですね。

 北朝鮮の黒鉛炉では、核兵器用のプルトニウムが、使用済み核燃料として生産されるわけです。そして、これを再処理して、プルトニウムを分離する事になります。さて、これで核燃料再処理工場=プルトニウム爆弾原料抽出工場の話へと持って行けるわけです。

 長崎に落とされたプルトニウム原爆のプルトニウムの精製は、次のようなものであるようです・・・知識の限界と理解力の限界に挑戦・・・

 核燃料の再処理の第一段階目は、切り刻まれた燃料棒を硝酸で処理してプルトニウムやウランを含む水溶液にすることから始まります。これはイエローケーキからウランを取り出す際の処理と変わらないわけです。ここで得られた硝酸溶解液に、還元剤を加え六価のプルトニウムを四価のプルトニウムへ還元し、硫酸塩を加える事で、ウランの錯イオンを生成して、この水溶液中にリン酸ビスマスの沈殿が生じるように薬剤を投入すると、なぜか溶解度以下にも関わらず四価のプルトニウムが沈殿します。沈殿したものをまとめて硝酸で溶かして、酸化剤を加えると、リン酸ビスマスは沈殿し、溶液中に六価のプルトニウムが残ります。ここで一度還元剤を加えて、四価のプルトニウムに戻し、さらに酸化剤を加える事で溶液中のリン酸ビスマスを沈殿させます。ここで得られた、四価のプルトニウムの溶液に含まれている核分裂生成物を取り除いて精製するためにプルトニウムの価数を調整する事でフッ化ランタンとともに沈殿させる操作を繰り返します。これによってできた四価のプルトニウムを含むフッ化ランタンを水酸化カリウム溶液に溶かし。プルトニウムの水酸化物とし、これを硝酸に溶かし、過酸化水を加えて、プルトニウムの過酸化物にして精製を終了します。

 この方法は、とにかく熟練した操作者がコストを無視してプルトニウムを分離するために行ったようです。現在主力で行われている方法は・・・何の事は無い、ウラン鉱石の前処理とほぼ同じですね。・・・私は、馬鹿でした・・・歴史を無視して考えていたことが間違いでした。

 マンハッタン計画を考えなかったのが敗因ですね。ちょっと、マンハッタン計画へ戻ります・・・どうせ、妄想研究の備忘録ですから・・・そもそも、原子力は平和利用から始まったものではなく、平和利用は・・・軍事技術の民間転用?から始まったものと言えば良さそうです・・・

 マンハッタン計画の目的は、とにかく早く原爆を作る!これですね。ここで考えられたのが2つの爆弾でした。1つはウラン原子爆弾で、もう一つが後から可能性として現れてきたプルトニウム原子爆弾です。

 ウラン原子爆弾は、濃縮ウランを作ることが前提となり、濃縮ウラン工場をオークリッジに建設する事になります。これが後にオークリッジ国立研究所として知られるようになります。つまり、ここで開発された濃縮ウランの精製工程が、後のウラン濃縮工場の原型となるわけです。ここの座標は・・・

 35°55'44.28" N 84°18'44.33" W ここですね。左の写真のような場所です。

 さて、もう一つのプルトニウム原子爆弾はオークリッジの施設では広さが十分でなかったようで、プルトニウム生産工場にはハンフォードが選ばれます。現在のハンフォード・サイトとして知られる場所です。座標は・・・

 46°33'04.64" N 119°30'01.01" W ここですね。こちらは、広大な敷地を用意しています。

 つまり、ウラン濃縮と、プルトニウム精製は別の技術として出発していた事を忘れていました。技術というのは、ある程度過去の伝統の上に成り立っていますから、時々重複する工場が別々に建てられたりするわけです。私の誤解は・・・知っていたんですが・・・平和利用の部分しか考えていなかったのが問題でした・・・そもそも核利用が戦時の兵器研究として始まった事を忘れていました・・・そのように見たくなかったのかもしれませんが・・・人殺しは嫌いなんでね。

 この2つの核兵器の爆発物となる物質の製造工場があり、その核分裂物質を本気の兵器に仕上げる場所が、ロスアラモスに作られます。現在のロスアラモス国立研究所ですね。座標は・・・

 35°51'24.61" N 106°17'37.60" W このあたりです。広い敷地に施設が散在していて良くわかりませんが、このあたりですね。

 つまり、北朝鮮のウラン濃縮工場はオークリッジの成果の系譜にあり、再処理工場はハンフォードの技術の成果の系譜にあるという事なんです。

 違いは、その出発点になる物質の扱いですね。オークリッジではウラン鉱石からウラン235を抽出する事で、ハンフォードの施設は、天然ウランから精製した二酸化ウランを燃料とした原子炉、ウラン238をプルトニウム239に転換するための炉の開発と、プルトニウムの精製です。このための実験炉はシカゴ大学のフットボール場の観客席の下の空間に作られた、シカゴ・パイル・ワンとして知られているものです。ここでの成功により、ハンフォードB炉に始まるプルトニウム製造炉が建設され、ウラン238のプルトニウムへの転換が行われ、プルトニウムの精製が行われる事になります。・・・前提の読みなおしが終わったので、再度、北朝鮮の施設の理解のために、妄想を続けましょう・・・しかし、資料は散在し、齟齬もあるし・・・時間がかかりそう・・・

2014.07.29

  

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