現在をうろうろ(340)

 北朝鮮の海岸防衛・・・軍事境界線から北へ・・・北朝鮮の核燃料再処理施設は?

 北朝鮮は核兵器開発を行っているわけですから、ウランやプルトニウムを核兵器に仕立てるための研究開発も行っているとのことです。高濃縮ウランを使った核兵器は原理はあまりにも簡単ですから、高濃縮ウランを作り出す技術の開発に尽きるという感じですね。核爆発に必要な量の高濃縮ウランを1か所に集めるだけで、絶対確実に爆発するのでね・・・実験の必要すらない・・・そのまま、実戦投入ですから・・・ウラン鉱石からウランを抽出して金属ウランを作っても、それでは爆発もしません・・・理由は、核分裂や核爆発に寄与するのはウランの同位体であるウラン235で、自然界には0.7%程度しか含まれていないためです。残りはウラン238で、これは核分裂に寄与しないのでね。

 さて、原子炉に使う核燃料にするには、ウラン235の割合を3%程度まで多くしなければならないわけです。しかし、ウラン235と238は化学的な性質はほぼ同じなので、化学反応などを利用してこの2つを分ける事はほとんどできないのが難点です。違いは、含まれる中性子の3個の差による質量の違いぐらいしかないわけです。このわずかな質量の違いで分ける手法としてガス拡散法や遠心分離法を始めとした方法が考案され、行われています。

 北朝鮮でのウラン濃縮施設は、前回投げ出していた右の写真の施設ですね。座標は・・・

 39°46'08.95" N 125°44'59.91" E ここにあるものです。凍結されていた工場で、増強して再稼働の噂があったために、屋根が張りかえられた部分と増築された部分・・・右の写真の青い屋根の所ですね。ここに、ウランの化合物で気体になりやすい六フッ化ウランを遠心分離機にかけていると考えられているようです。

 ウラン鉱石から六フッ化ウランを作りだすには・・・どうするんだ?というわけで・・・

 鉱山でウラン鉱石を掘り出します。鉱石には、閃ウラン鉱・ピッチブレンド・カルノー石・燐灰ウラン石・人形石・・・などがありますが・・・そういえば、放射能汚染で有名になった飯館村のあたりにもウランの試掘が行われた場所がありますね。猫啼温泉のあたりですが・・・燐灰ウラン鉱の産出があったようです。福島県石川町猫啼地区ペグマタイト鉱床調査報告 リンク情報からPDFファイルが開きますね。このサイトを猫啼で検索すると、色々な情報が出てきますね。人形で検索すると、これまた色々と・・・

 こういった鉱物を、粉砕して酸やアルカリを作用させて液体にして、濾過し、ウラン含有率の多い液を更に化学沈殿によって重ウラン酸塩を経て八三酸化ウランなどに精製してウラン含有率60%にしたものが、イエローケーキと呼ばれる六価のウラン化合物の黄色い色をしたものになります。・・・私の手元にも、この色がついたものがあります。ウランガラスってやつですね。ガイガーカウンターで放射線が出ている事は確認できますし、多分高々1万ベクレルぐらいですかね?

 紫外線を受けて怪しく光るガラスです。私の所にある、放射性物質・・・左の写真のようなものですね。普通の光の中では、うっすらと黄緑色を帯びたガラスです。

 さて、このイエローケーキを硝酸に溶かして、更に灯油などにリン酸トリブチルを溶かした液にウラン化合物を取りこませます。

このようにウラン抽出剤で溶媒抽出をおこない、更に水で逆抽出・・・水で洗い出して硝酸ウラニル溶液を作り、加熱して三酸化ウランを作ります・・・この粉末を水素の中で加熱して還元し二酸化ウランにします。

 次に、二酸化ウランにフッ化水素ガス吹き込むと勝手に発熱反応を起こして四フッ化ウランに化けます。四フッ化ウランは緑色をしていて、グリーンソルトと呼ばれます。これに、フッ素を吹き込んでやると六フッ化ウランの出来上がりです。これが、一般的な方法のようですね。

 次がウラン濃縮ですが、北朝鮮では遠心分離法による濃縮が行われているようです。遠心分離法は、六フッ化ウランを温めて気体にしてやります。この気体を遠心分離器にかけると、質量の大きなウラン238は遠心分離機の外側の方へ集まって行きます、また、回転軸に近い所に質量の小さなウラン235が集まってきます。遠心分離機でちょっとだけウラン235が多くなった六フッ化ウランの気体を、何度も遠心分離機にかけて、ちょっとずつ濃縮して行くことになります。

 できた六フッ化ウランは普通は鉄鋼製ボンベに入れて保管して置くようです。このボンベを温めると気体の六フッ化ウランが出てきます。これを水に通すと、フッ化ウラニル水溶液ができます。この水溶液にアンモニア水を加えると、重ウラン酸アンモニウムの沈殿が生じ、これを濾過して重ウラン酸アンモニウムを水素の中で500度以上に熱してやると還元されて、二酸化ウランの粉末ができます。

 あとは、できた二酸化ウランを、ペレットの形に圧縮形成して、水素の雰囲気の中で焼結して、さらに形を整えてペレットの完成です。次に、ジルカロイというジルコニウムを主成分とする合金の管の中にペレットを詰め込みヘリウムを充填して密閉します。これで燃料棒の完成です。この燃料棒を原子炉に合わせて、燃料棒集合体にするなどの加工をして製品として出荷されます。・・・ああ、疲れた・・・一応は、ネット上の資料をいじるとこんな具合になります。

 どうやら、この遠心分離機が納められている建物が、上の工場の写真の青い屋根の建物という事のようです。

 ふむ・・・再処理とウラン濃縮の工程で同じ部分がありますね。硝酸と灯油とリン酸トリブチル・・・共産圏の工場って同じ機能の建物は同じ建物とすることが多いですから・・・工場について、もうちょっと分かるかも・・・続きは次回ですね。

2014.07.28

  

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