東北をうろうろ(13)
 えさし藤原の郷から、えさし郷土文化館へ・・・・

 えさし藤原の郷の展示物はなかなか興味深いものです。非常に気になったのは・・・暫定的な展示物というか・・・ロケで使用してまだ壊していないというやつですかね?「やぶれ門」と呼ばれている山門などはなかなか良くできております。

 これが、一番印象深いものだったかもしれません。平清盛で使われたセット・・・この門の前に庶民の生活が繰り広げられ、庶民のバイタリティーを表現するシーンに使われたとか・・・

 大河ドラマは見ないので、わかりませんが・・・これがどのような映像に化けるのか?それは興味があるのですがね・・・あれ、平清盛は、今やっているやつか・・・というぐらいテレビは見ないのでね。

 あとは、義経館というのがありますね。義経の一代記がパネルで示され・・・


 いました・・・弁慶が・・・なかなか立派なものであります。人形の写真を撮るのはなかなか難しい・・・

 後知恵になってしまいましたが・・・視線の先から撮れば良かったかな?とか思うわけです。

 この手の、人形・・・いつ頃からリアルになってきたのやら?昔々、宗吾霊堂で見たものはずいぶんとしょぼくて・・・代官の贅沢三昧という生活が、贅沢三昧に見えなくて・・・

 まあ、パネル展示よりはインパクトはあるのですがね。

 この手の感じの展示は・・・やはり、昔々・・・博物館 網走監獄で見たような?多分、今もほぼ同じような展示をやっているようですね。ネット上の情報では・・・

 しかし・・・監獄へ行こう!とか、体験!「監獄食」とか・・・現在の網走刑務所の昼食として出された食事メニューを再現したものです。って?刑務所の食事か・・・明治時代の監獄食ではないようです。内容はかなりヘルシー?

 えさし藤原の郷はなかなか興味深いものでありました。ドラマや映画の展示館もあり、どのようなものに、この場所が使われたかが分かるようになっていました。

 えさし藤原の郷を出て、今度は えさし郷土文化館へ行きました。右の写真のような、何やらガラス張りの建物?共通券では+100円ですから大したことはないのかな?

 しかし、このガラス張りの建物は・・・単なる連絡通路でした。二重の螺旋階段とエレベーターが設置されています。ついつい、螺旋階段を上って、降りて、エレベーターで上がって、通路を進むと郷土文化館というわけです。

 通路を進むと、幅の広い通路のような・・・ウナギの寝床のような展示ホールへ、えさしの農業関連の展示がありました。格別に興味深いものはないのですが・・・このあたりは豊かな農作物で奥州藤原氏の穀倉だったのかな?なんってね。

 そして、奥の院と呼ばれる場所に、正徳元年、宝暦2年に作られた観音像が大量に展示されていました。

 江戸中期の京都で作られた観音像で、西国・坂東・秩父の観音霊場の観音像のセットなんです。それぞれある仏師の工房でまとめて造られ納入されたものとのこと・・・ふと、高村光雲の幕末維新懐古談の一節を思い出してしまいました。

 京都には、由来寺々の各本山がありますので、浄土とか真宗とか、地方の末寺の坊さんが京の本山へ法会の節上って行く。その時、地方で、上等ものを望む人は、その坊さんに頼み、これこれのものを注文して来て下さいと依頼する。坊さんは、法会の間、十日、半月位滞在しているが、その短期間にこれこれのものをと注文する。一週とか、十日間とかの間に、仏師はその注文品を仕上げるのであるが、たとえば、厨子に入れて、丈五寸の観音を注文するとすれば、仏師屋では見本を出して示す。七円、十円と価格が分れているのを、十円のに決めて日限を切って約束をする。そこで仏師屋では、小仏を作る方の人が観音を作り始める。と、その五寸の観音の台坐を持って来い、と、それぞれ分業の店から、五寸という寸法で附属品を取って来る。それから、また、厨子を持って来い、何を持って来いとやる。まだ本尊が悉皆出来上がらない中に、附属品も、納まるものもチャンと揃っている。日限の日になって観音が出来上がると万事用意が整っているのだから、五寸の立像の観音は、辷ように厨子に納まり、そのまま注文主の手に渡る。ほんの半月以内の短日月でこう手早く揃うのは、分業の便利であって、繁昌すればするほど、それが激しくなり、そうしてその余弊は仏師の堕落となり、彫刻界の衰退となりました。
 で、京都では段々と仏師に名人もなくなり、したがって仏師屋も少なくなり、今日では、寺町通りへ行っても、昔日の俤はありますまい。これは彫刻というような特殊の芸術を需要の多いのに任せて濫作する弊……拙速を尚んで、間に合せをして、代金を唯一目的にする……すなわち余りに商品的に彫刻物を取り扱い過ぎるところの悪習ともいえましょう。

 というやつです。光雲先生にとっては面白くないのでしょうが、これだけのセットはなかなか立派であります。何しろ、信仰の対象ですから作者より、拝む側の心の問題ですから・・・それに百体余りのセットですから、それがそろっていること自体が大したものだと思えるわけです。

 観音は、さまざまに姿を変えて衆生を救うのであります。なかなか、良いものを見た気がします。学芸員の人もなかなか素敵でした・・・今回の旅行では、かなり色々な人と話をしている気がしますね。大抵は黙々と旅をしているんですがね。

 さて、えさし郷土文化館をあとにして・・・どこへ行くか?珍しく生き先が決まってるんです。次は南部鉄器のふるさと「キューポラの館」って所です。
 

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