ネットの中をうろうろ(3)
  中朝国境に何が・・・(3)

 収容所探しはなかなか面倒でした・・・その中で貨車の話が出て来たので・・・北朝鮮の貨車はどんなものなのか?というものです。一応、国境の街の操車場に台車ならぬ車軸にセットされた車輪がごろごろしているのを見かけていました。これって・・・見た感じ錆びていますから、今は使われていない?ということでしょうか?もし、これが現役だとすると、この国の貨車は平軸受で、低速輸送にしか対応しない20トン前後?

 まさかね・・・こんなのもちょっと気にして鉄道を眺めるとしましょう。

 さて、木材の加工場のあたりまで見たんでしたっけ・・・このまま、国境の川に沿って眺めて行くと、Honguiの集落で南に向かう線と川沿いの線に分かれます。南に行く線はUngsangで海港への引き込み線を何本か出し、さらに南下していきます。この海港への引き込み線はどうやら、港の計画が変わって、既存部を廃線にして、新たな港の方へ引き込みなおしたようです。どんな港に成長していくのかちょっと楽しみです。42°20'30.06" N 130°27'45.38" E ここです。

 さて、国境の川沿いの線を眺めて行きましょう。

 よく見かける風景が右のようなものです。上の方は多分、小学校ではないかと思うのですが・・・校舎の屋根の長さは95mです。収容人員はどのくらいなのでしょうか?屋根の幅が15m程度ありますから・・・教室って・・・20坪程度、縦横8m×7m程度?20教室か?煙突のようなものが並んでいますからどんな構造やら?

 学校制度を見ると、どうやら5歳から16歳までの無料義務教育制度に移行するとのこと・・・韓国と同じ、小学校6年、中学校3年、高校3年の12年制を敷くのかな?

 ちょっと前の制度では、人民学校が4年、高等中学校が6年の合わせて10年の義務教育だったようです。

 そして、11年制に変わると、小学校が1年早くなって5年の中学校が6年の11年・・・となった・・・

 学年は7月1日生まれから翌6月30日生まれが同学年だったが・・・2004年から同じ年度に生まれたものは同じ学年になった・・・って1月1日から?ということかな?

 7歳で入学17歳で兵役・・・農村部の学校は小学校と中学校が同じ校舎にある・・・したがって12教室ぐらいはあって1教室に25〜34人教師は20人程度、幹部教師は校長と副校長、青年同盟秘書、党秘書などの役職がある・・・兼務可・・・小さな学校だと校長が党秘書を兼務・・・

 教師は4年制の師範大学または3年制の教員大学を卒業しているものが多いらしい、各道に師範大学が2校、教員大学は1校か2校あるらしい。

 中学から大学へ進学するには第1中学校に進学する必要がある・・・一般中学からの大学入試は不可能?各直轄市、各道毎に自然科学系の進学校の第1中学校と、外国語学校、芸術学校の秀才養成校がある。これは中学の後期課程に相当して、中学3年で入試試験で選抜する。ふむ・・・農村の中学の後期は実科学校かな?なんとなくわかったような?

 さて学校の脇の平らな地面を持った建物・・・これって、農業倉庫兼作業場のような物みたいです・・・10月ごろの写真だと収穫物が積み上げられていますから、脱穀作業とか俵詰め作業とかそういった事をする場所のようです。小屋は多分倉庫なんでしょうね。気になるのは、商店のようなものが見られないことです。配給制なんですかね?それとも移動スーパーのようなものがやってくるのかな?気になるところです。

 この集落を過ぎると、駅のあるSahwaという集落に着きます。

 この駅はプラットフォームがあるようです。駅舎も立派そう・・・しかし、駅前があまり駅前らしくありません。商業が未発達?ということなのでしょうか?案外、駅舎がコンビニのような役割をしているとか?それとも、昼間はみなさん働いているので、一般的な意味の買い物客は存在しないとか?

 生活の様子はあまりよくわかりません。計画経済ですし、夜間照明はほとんどない国ですから、夜はおとなしくしているのでしょうか?

 国境防衛なども気になります。脱北者などの言葉が気になるわけです。

 こういったちょっと大きな集落だと、それなりの対策を行っているのか?国境線が気になります。そして・・・誰が誰を監視するのか?というやつ・・・

 川のあたりを眺めると・・・高台の上に面白い模様が・・・

 どうやら銃座の類でしょうね。そして塹壕が掘られているようです。

 とりあえず防衛線が存在している・・・野砲などの重火器はなさそうです。近くを眺めても、弾薬庫は見当たりませんし、

 祖国を防衛する人、祖国を捨てる人・・・国境の街って複雑なものです。

 先へ進みましょう・・・中朝国境紛争ってあるのか?それもちょっと気になりますね。砲弾の跡はなさそうですが・・・

 この集落を抜けると、しばらくしてトンネルを抜けます。およそ400mほどのものです。

 トンネルを出ても景色はあまり変わりません。

 しかし、ちょっと気になる風景が・・・道の付け替えが行われています。踏切のところでなぜか妙な形に・・

 その理由は、それほど複雑ではなく・・・単に踏切を渡る際のハンドル切れ角の問題です。つまり、この道路は以前に比べてはるかに大型の車両が通過するようになっているということを意味します。

 交通路としての重要性が増した・・・ということを意味します。そうなると、この道のつながる先が気になります。

 右の写真・・・変でしょ!大型のトレーラ・・・多分、船に積むようなコンテナを積んだ車でも走るのでは?

 この道は、中朝国境にかかる図們江大橋(ともんこうおおはし)につながる道です。この橋の中国側は近頃投資が行われて改修工事が行われたとのこと。それでもこの橋は古くて・・・1938年の建設とのこと新図們江大橋の建設も予定されているようです。

 そして中国の琿春市へとつながっています。確か・・・太陽政策で、この地に北朝鮮の商人の進出があったような?そして、現在は先鋒と呼ばれる港町、かつてはウンギ雄基って呼ばれた地ですかね?

 事実上・・・琿春市は日本海につながったということになりますね。ここから琿春市の石炭が上海へ運ばれていくことになるのでしょう・・・

 なんだか、着々と中国と北朝鮮の経済的な統合が進んでいるとか?そんな感じです。一応、道路をチェックすると、カーブの改修工事は終わっているようです。

 しかし・・・朝鮮側には、ガソリンスタンドはあるのだろうか?中国側には、それらしきものがありますが・・・朝鮮側にはそれらしきものはない・・・これも、今後の探査の対象にしないと・・・

 次の大きな駅で、面白いものを見ました。駅前の大きな空き地・・・駅前の一列にそれなりの建物があって、その後が大きな空間?広場になっています。まさか、ここに伝統的な市場が立つのではないか?なんってね。ところが・・・そうではなくて・・・駅前の再開発のようです。数年前まではびっしりと複雑な町割りになっていて、家々があったものが・・・それがきれいになっています。

 ここは多分・・・慶源邑

 右の写真の上にカーソルを持っていくと数年前の状況が映し出されます。

 どうやら、北朝鮮はものすごい速度で動いているような感じです。しかし、この場所は何になるのでしょうか?

 日本なら、都市計画などすぐにチェックできるのに・・・この町の名前はSongnae-riのようです。

 駅前の再開発・・・理由があるはずです。この近くに何があるのか?ちょっとズームアウトすると道路が・・・なんと中国吉林省琿春市への通商路があるじゃないですか・・・どうやら、中国側の褌春市が東の方の中朝国境のキーワードになるようです。褌春市の日本語版サイトがあって・・・褌春市ここですね。ここで、国際通商路に関する解説があります。それによると、褌春市からは4つの通商路が伸びているとのこと・・・対ロシア貿易には琿春道路通商口と 琿春鉄道通商口があるようです。そして北朝鮮に対しては、圏河通商口と通商口があるとのこと・・・ 琿春から11kmと近いのがこの通商口となるようです。

 こういった中朝国境の通商路の強化の目的は・・・どうやら、ロシアのザルビノ港ってどこだ?と韓国束草(ソクチョ)港と新潟港を結ぶフェリー・・・北東アジアフェリーでの日本と朝鮮との貿易か・・・ロシアのザルビノZarubinoねえ・・・琿春とバス路線で結ばれている・・・なるほど、地理的なつながりは見えてきましたね。

 気になるのは、北東アジアフェリーです。情報はないかな?調べればすぐに出てくる・・・

北東アジアアジアフェリー梶@(Northeast Asia Ferry Co.,Ltd.)
 本  社: 韓国江原道束草(ソクチョ)市
 資本金: 300万ドル
        韓国 51% 153万ドル<汎韓商船(31% 93万ドル)・江原道(10% 30万ドル)・束草市(10%
                         30万ドル)> 東春フェリーは汎韓商船の子会社
        日本 16%  48万ドル <北東アジアフェリージャパン梶
        中国 16%  48万ドル <琿春泛海国際航運有限責任公司(琿春市政府全額出資)>
        ロシア17%  51万ドル <プリモリエアブトトランス>

 なるほど・・・韓国企業が中心となっているわけか・・・この調子だと、日本海の商業は韓国の貿易船が担うことになるのか?まあ、古臭い言葉・・・地政学的に見た場合、朝鮮半島が日本海・東シナ海に突き出しているわけですから・・・朝鮮半島の海かもしれない・・・そして、日本海沿岸工業地帯が出来上がるのか?南北朝鮮と、中国の朝鮮自治区が経済統合したら、ウォンサンあたりが中心地になるか?白頭山の南、広大な高原地帯を背負い・・・風水をやってるわけじゃないですが・・・津軽海峡はチョークポイントか・・・青森・函館にも花が咲くか?なんってね。

 なんだか、新しい定期航路が開かれ物の流れが変化しそうな感じです。琿春、ちょっと注目すべき都市でありますね。とにかく、サプライチェーンがどうなるか?誰が物資を押さえるかということになると・・・リスクが大きいが・・・北東アジアフェリーにもう少し投資してもよさそうな気が・・・まあ、日本は独自の海運会社でも起こすかもしれませんが・・・日本の商船はどうなっているのか?それも気になりますね。物流の大きな転換点が近づいているような?ちょっと、注目しておかねば・・・

(2012.11.07)

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