日本国憲法は・・・?(7)

 続いて第三章 国民の権利及び義務 なんですが、こいつは長いですね。まだまだ続きますが・・・どうしよう・・・日米開戦のあたりの史料を色々眺めていますから、そっちの続きにしちゃいましょうかね。

 戦争は多額の資金が必要です。日本政府は戦争遂行のために、公債を乱発して資金をひねり出します。そして多額の紙幣が市中に流れだして悪性のインフレを起こす可能性が高くなるので、市中に流れた現金を貯金という形で回収して市中の現金の量を制限しようと図ります。

 ですから、国民には貯金を奨励します。貯金をすると、それが弾丸などになって戦争遂行のお役に立つという素敵なスローガン・・・ちょっと不思議な感じ、まるで貯金した金が武器弾薬に変わって無くなってしまうんじゃないのか?なんって、考えなかったのでしょうか?銀行の取り付け騒ぎなんか・・・XX銀行の金庫には金が無い!銀行の連中が使ってしまった!なんって騒いでいた時代ですから・・・

 まあ、貯金に関しても積立貯金が昭和16年の12月1日から始まったりもしますが、明治政府が禁じた賭博・富くじでしたが・・・富くじのような物もやがて行われるようになります。右の弾丸切手って言うやつですね

 この弾丸切手って、1枚2円で買って、当選金が出ればそれは貰えるが購入金は5年間凍結で無利子という事のようです。そして、当選確率は11枚に1枚であったのが8枚に1枚の割合へと変わっていきます。

 仕組みは簡単でこの切手を買って、売り出し期間終了後5日目に抽選があって、当選金の支払いは抽せん日の翌日から11日目に支払い開始し、この券を5枚以上まとめて郵便貯金に預け入れする事ができて、預け入れは発行の月から5年経過までで、それを越えると無効になるというわけです。当選金は1等1000円、2等100円、3等5円、4等2円のようですから、8枚買って16円で2円の利息に相当するってわけですかね。ちょっと分からないのは・・・これは債権で利息は付かないが、郵貯に切り替えると利息は付くことになるのか・・・どうやら、違うようで特別据置貯金証券という、定期貯金のような形態になって5年間は無利子払い戻しなしという事になるようです。現金の流通を制限して、ハイパーインフレを予防する手段を必死に考えているのでしょうが・・・長期的に見るとどうなのやら?

 ふと、昭和17年の秋あたりで、戦前の領土で講和したとしたらその後の日本はどうなったのでしょうか?我が国の政府はどのような手段で、国民の莫大な預貯金と公債を処分したのか?なんってね。文献資料を当たってるのですが、終戦後の経済政策に触れているような物は見かけせんね。米国は開戦と同時に、戦後経済の研究もやっていますが・・・

 どうも、我が国の政府は、刹那的な政策へ走る傾向があるようです。

 ちょっと戦前の本を読んでいて、第三国からの輸入なんって言葉があるんです。第三国って・・・戦後の言葉と思っていましたがなんだか違うような?意味的には戦後の第三国とは違うような・・・戦勝国・敗戦国・その他に相当する第三国・・・日本の植民地だった地域・・・戦前の文章では、綿製品の統制に関する文書の中で、原料となる綿花は第三国からの輸入に仰いでいましたが、今後は支那綿の増産及び品質改善等によって極力東亜共栄圏内に於いて原料綿の自給を図らなければ・・・で東亜共栄圏への輸出は今まで通り、第三国に対しての輸出は無くなります・・・・なんって・・・

 ふむ、支那は東亜共栄圏内か・・・戦前の綿花の輸入先は・・・1895年ころまでは中国綿が中心で、これ以降はインド綿の輸入が急増、1896年にインド綿が支那綿を抜いて1920年ごろまでは輸入の半数がインド綿、1898年ごろからアメリカ綿が入ってくるようになり、1920年代には3割程度、1920年代末には4割を占めるようになる・・・ふむ、第三国・・・当事国以外の国という意味か・・・近頃は意味が狭くなって差別用語に近くなっているのか・・・

 とにかく、綿製品の統制が早い時期から行われた理由はこれなんですね。東亜共栄圏というブロック経済を構築する中で、東亜共栄圏内に十分な量の産出が見られない物品に関しては、統制を強く推し進めないといけないという事になるようです。東亜共栄圏・・・円ブロックね・・・

 どうも、国家総動員法についての知識が必要なりますね。 近代デジタルライブラリー - 改正国家総動員法の解説 これは昭和16年の本ですが、なかなか良いです。昭和16年時点での体制がどのように整えられてきたのかが良くわかりますね。沢山の勅令と、国家総動員法という白紙委任法がどのようなものであるかが・・・ドイツではどのようになっているのか・・・なるほど、この時期のアメリカでは、こんなに細かな統制経済の枠組みなんか考えていませんから、枢軸国の窮状は分かっていなかったのでは?なんって・・・そして、公定価格なら 近代デジタルライブラリー - 大阪府公定価格表 これは昭和14年や、当時どんな商品が大阪で製造されていたのかが良くわかりますね。さて・・・近代デジタルライブラリー - 公定価格年鑑. 昭和16年版 こういった本を眺めると公定価格ってのが分かるんですが、価格の変動などが気になります。近代デジタルライブラリー - 酒類公定価格関係法令告示集 昭和19年4月施行こんなのと比較すると・・・昭和16年の上等酒は1円95銭、昭和19年には一級酒は12円が上限価格・・・昭和16年の飲み屋価格では上等酒1合45銭・・・1升の飲むと4円50銭、2.3倍付が標準?ウィルキンソンの炭酸水なんってありますね。製造所で15銭、小売値は18銭、2割増しの価格か・・・

 近代デジタルライブラリー - 薬品関係公定価格年鑑. 昭和17年版 これを眺めると、松根油が出てますね。航空燃料に使えそうなテレピン油は18リットルで16円ぐらいしています。航空機用揮発油92号で36リットル16円程度ですから、松根油で航空機を飛ばそうというのはかなり困難な計画だったような気がします。ちなみに自動車用の揮発油は36リットルで約8円ですね。

 経済政策って厄介・・・需要と供給によって決まる価格を、無理やり固定してしまうわけですから・・・価格を固定するとどこに歪が出るのかね?貨幣に対して、物の値段や賃金が上昇しているにも関わらず・・・じゃないな、物の価値や、労働の価値は変わっていないのだが、貨幣が過剰に供給されているために貨幣価値が下がっている。それにもかかわらず、物の価値や騒動の価値に対して安くなってしまっている貨幣を、それだけの価値があるのだと言い張っている・・・でも、前とは違うんだよ・・・一応、表向きは通用しているけど・・・裏ではもうその価値では通用しないんだよ!そうなると、表向きの経済活動と、裏での経済活動のどちらが本筋になっていくのか?もちろん・・・裏ですね。真っ当に働いても評価は低く、統制化の強制労働に近いですから・・・

 ふと、グレシャムの法則はどうなるのか?金本位制を終わらせ、紙幣だけの世界に・・・まあ、ただの紙切れが金貨を駆逐したのは、まさに悪貨は良貨を駆逐したんですから問題ないのですが・・・表の価格と、裏の価格の関係はどうなる?2つの経済を1つの通貨が担っているわけですから・・・そのうち、研究してみましょう。

 軍事大国って経済的にかなり問題がある・・・軍備なんて本来使う事が無いはずの物に対して巨額な富を要求するわけですから。経済に歪が出るわな・・・貧乏なのに、金持ちの振りをするのに似ている・・・国家に威厳を与える荘厳具のようなものですから・・・確かに、ナチの宣伝の威力なのかもしれません。

 まあ、戦争をカッコいいものにすり替えて行くわけですから・・・驕れる権力者ってどうも暴力の装置の持つ力と言うやつにあこがれるような?

 しかし、今の日本に軍という荘厳具を持つだけの余力があるとは思えないのですけどね。第二次世界大戦がその事を証明しているような気がするのですが・・・でも、なんとなく日本で軍事力って物がもてはやされる下地というのがある気がします。

 それは・・・馬鹿にされないために!ってやつですかね?地域対抗意識ってやつ・・・近代デジタルライブラリー - 勤労報国隊に関する報告書 この本の中に面白いことが書かれています。地方と都市の住民の確執・・・報国隊があまり能率を上げ過ぎると、古い職工が迷惑する・・・報国隊の隊長が良いと悪いで能率が違ってくる・・・報国隊を構成する地域の問題もあって・・・いくつかの町村を統括する指導所を中心に隊員を集めるか、一つの町村を中心に集めるかによっても違う。一つの町村を中心としていく場合には旨く行くのですが、競争心が無い。だから全体として能率が落ちる。二町村から来ると対抗心があるから能率は良いのですが、非常に仲が悪いことがある。って具合です。

 どうも、日本人っていうのはかなり厄介な民族なのではないかと・・・だから、天皇を中心とした緩い支配体制、末端の邑の強い意識・・・きわめて排他的・・・ああ、人間の集合原理が求心によるものでなく排他によって成り立っている?まあ、排他も求心も同じですが・・・ヤマアラシのジレンマ・・・

 どう言ったらよいかな?人間の集団がヤマアラシの皮を被っているとでもしますか・・・日本人の仲間意識って、悪いことも良いことも互いに庇うという儒教的な精神があります。葉公語孔子曰、吾黨有直躬者。其父攘羊。而子證之。孔子曰、吾黨之直者異於是。父爲子隱。子爲父隱。直在其中矣。孔子はあまり好きではないのです・・・社会性の公正というものより、私情を強く説きますから・・・社会的な正義より、感覚的な個人的なつながりを強調しますからね。私は・・・どちらかというと社会派何かな?西洋かぶれと言われますが・・・イエスの母と兄弟が外で待って中のイエスを呼ばせました。イエスの周りに大勢の人たちが取り巻いてい座っています。この中の一人が「ご覧なさい。貴方の母と兄弟が外で貴方を捜している」と知らせると、イエスは「私の母、私の兄弟とは誰か」と答えました。イエスは周りに座っている人々を見渡し「見なさい。ここに私の母、私の兄弟がいる」「神の御心を行う人こそ、私の兄弟、姉妹、また母なのだ」・・・

 共同体の意識の違いってやつですかね?日本は排他的な共同体を如何にまとめ上げるか?それが上に立つ人に課せられる問題なのでしょう。一番簡単な解決方法は・・・より大きなヤマアラシの皮を持ってきてそれで包むことで、下位のヤマアラシの皮を脱がせることかな・・・だから、左の写真のような壮麗さというやつを簡単に手に入れられる、軍事力という素敵に巨大なヤマアラシの皮を手に入れたがるのかな?なんって思うわけです。

 しかし、軍事力などというものは平時には何の役にも立たない荘厳具です。経済の伸長期には良いのでしょうが・・経済の衰退期になると・・・軍は余剰人口の受け入れ先と、さまざまな物資の納入先になって肥大化してしまうのかも?そして、それが困難になると軍縮・・・高級軍人の不満が現れるのでしょう。使う事を禁じられた荘厳具であるはずの物が、勝手に動き出す状況が醸成され・・・さあ!戦争だ!ってなるような?

 そして、国のため聖戦完遂という美名は、美名で・・・その実は、戦争によって国自体が擂り潰されていくことになる・・・そうならずに、日本が軍事大国になるためにはまず何をする?それは・・・武器輸出の三原則の撤廃ですね。これが一番簡単・・・何しろ、法律で制限されているわけではないですから・・・たとえば、小火器用の5.56x45mm NATO弾でも大量生産して安価に全世界に向かって輸出したら・・・小銃弾の生産ラインを沢山持ち、常に生産体制にあるわけです。当然のことながら、沢山の在庫を持つことが可能になる。外貨も稼げるし・・・戦車だって、機関銃だって・・・なんでも最先端の物を量産していれば、当然のことながら戦争をするのに十分な在庫が民間に蓄積されます。

 国が保有している兵器は多くなくたって平気・・・だって、輸出用の在庫を常に一定水準に保つように行政指導して、補助金を与えればよいわけですから。有事になったら・・・簡単、輸出禁止とすれば、それが、そのまま日本の軍隊の兵器へと転用されます。原材料に関しても、補助金でも出して蓄積させておけばOKでしょう。全世界の武器市場の3割程度を日本が供給することって・・・がんばれば可能では?なんってね。世界中に武器を売り、日本製の武器が世界中で装備され、他国の兵器産業を零細なものにすることができれば・・・日本に対して攻撃をする国は出るだろうか?なんってね。M16なんってのは800万丁ぐらい作られたようですから・・・まあ50年ぐらいの間の生産ですから年間16万丁って計算?我が国の生産量の8〜16倍の受注が舞い込む・・・多分・・・戦車なども量産ラインを作って・・・自動車の輸出のように港には大量の戦車が出荷を待つ風景とか・・・

 国民のほとんどは何らかの形で兵器産業とのかかわりを持ち、戦車の操縦と互換の重機や飛行機の操縦資格を持つものが山ほど、レジャーは射撃とか・・・時には重砲の試射会とか・・・兵器の生産に携わる人間は、自分の生産しているものを理解するために、きちんと講習を受けて、その兵器のエキスパートになっていなければならないとか・・・中学校を卒業するまでには、小銃の扱いに熟知していなければならないとか・・・300m先の蚤の目玉を打ちぬけるような射手は、この中学校に1ダースぐらいいますとか・・・富士総合火力演習なんかも、今回は自衛隊から5000人、武装した個人や兵器産業の従業員から成る部隊が25万人の参加があった・・・とかにならないと、日本のような狭い国土の中に大量の兵器を抱えることは不可能でしょう。

 海上兵力も・・・そうですね。日本で造った艦船は・・・日本で基礎訓練をしてから輸出の体制なら良いかもしれませんね。造船労働者はみな、兵器のエキスパートで、一般商船の海員たちが、イージス艦とか自由に乗り回す技量を持って、兵器を発注した国々の海兵に対して指導して、運用可能な状態へと鍛え上げるとか・・・捕鯨船団は鯨の保護育成を行い、餌の豊富な海域へ鯨を放牧するように誘導しつつ、艦隊運用の演習を行い、鯨のおならも聞き分けるソナー員がぞろぞろいるとか・・・艦隊運用までも行える民間人がぞろぞろいたりするとか・・・そこまでやれば・・・

 航空兵力も同様に、常備兵力は大したことはないが・・・工員や学生がジェット戦闘機を休みの日に飛ばしているとか・・・大学にはスタントを行うチームがあるとか・・・完成検査を行うラインの従業員は皆ジェット戦闘機をフルに駆る技量を持っているとか・・・対潜哨戒機は通常任務では魚群の探査も行うとか・・・イルカだって識別するほどの連中がぞろぞろとか・・・

 日本の漁船に積んでる魚群探知から逃れられる潜水艦はないとか・・・日本の漁船は無線で魚探からの情報を共有していて有事の際にはソナー網が展開される・・・大型漁船では魚探には特別な端子がついていて、有事の際には小型魚雷と連動する発射装置が搭載されるのを待っているとか・・・日本人が標準化とパッケージを開発すると・・・魚槽は統一規格で有事の際には兵器パックが積まれ漁船が一夜で巡視船に化け、海上輸送路を守るんだ・・・兵器パックは対空射撃用、対空ミサイル用、魚雷用とかあって洋上換装も可能でそれ専用の船まである・・・遠洋漁船はレーダーピケット艦並みの装備が為されていて・・・バッチリ補助金が使われているけど、装備は量産品だからそれほど高くないのだとか・・・なんといっても、35万隻の艦隊を擁しているようなものだから・・・日本の水上兵力は侮れないとかね。

 冗談で書いてみましたが・・・日本人って、これを実際にやってしまいそうですから怖いです。勤勉ですから・・・民間の実力が異常に高くなると・・・日本は常備兵力は小さいが、動員をかけると最新兵器を扱えるよく訓練された兵士から成る600万の軍隊だ・・・なんって言われてしまうかもしれません。

 しかし、現実問題としてスイスレベルの防衛能力を持つためには、兵器産業を大きく育て上げるしかないのでは?大東亜戦争までは、海外領土や共栄圏の外れまで、日本が兵器を出したのでしょから、あれだけの軍隊を維持する理由があったのでしょうがね。Swiss Arms Home こういった会社が日本に沢山出来たら・・・ちょっと考えてしまうかな?・・・それもまた一つの選択肢であり、民間ベースなら特に問題はなしと思うが・・・

 兵器産業は大きな利益を生むとは思いますが・・・日本はあまり武装すべきではないと思います。平和な方が良いですから、それから・・・悪い政治家が出たときに歯止めが利きにくい国民性と思われるからです。その意味では・・・現行憲法は良い歯止めになっていると思われますね。

 結局のところ・・・私は現在の世界が国家総力戦によってそこそこ戦える国って、それほどないと思うわけです。大きな国だって、全面戦争を長期間戦えるとは思いませんから。いかに、小さな戦争を上手く戦うか?ゲリラ戦に持ち込んで、長期持久戦をするとか・・・そういえば、タリバンなんってなんで戦い続けられるのか?気になりますね。近代戦ではないのは確かだし・・・パキスタンであるが、パキスタン中央政府の実効的な支配が行われていない地域で・・・そこに、武装した部族社会が多数存在し・・・どうやら、事実上放置されている辺境地帯という事のようです。ここでは、正義は銃の裏付けが必要であるような・・・それでも、人が300万人ほど暮らす地域のようですから、それなりの社会秩序があるのか?ああ、忘れていました秩序の基本はコーランでしたね。主要な外貨獲得のための産業はケシの栽培と人身売買及び密輸ですかね?

 アヘンが問題ですね。少量で大きな価値を持ちますから・・・密輸の類は多分、小さくて高額な商品となりますから・・・昭和15年の公定価格ではアヘンチンキは500mlで11円、アヘンチンキ500mlにはアヘン末が140gほど入ってる?そんなに高くない?モルヒネって80ドルくらいって聞いたことが・・・Price and Purity of Illicit Drugs The White House 最新の情報はホワイトハウスに・・・とにかく価格が下がっているようです。国際価格が低下?それで、問題の地域の経済が不活発になっているとか?

 武装して暴れるには金がかかりますからね・・・十分な弾薬があれば面白い・・・しかも、自分の部族のためという意識が強く・・・アラーアクバルって祈りに通じますし・・・戦士には素敵な天国があるようですし・・・イスラム教徒は寄付とか好きですね。そういえば、仏教の極楽って・・・往生要集の極楽・・・あまり極楽っぽくない?金の心配が無ければ現世でも極楽に近いような?何か、新しい宗教が凄い極楽を考案しないものか?なんって・・・物質的にはかなり豊かになっているような気がします。コーランの極楽か・・・

 しかし・・・戦争好きの極楽ってどんななのだろう?核兵器好きの極楽だと面白くないかも?目の前に1つのスイッチ、指揮系統が切れ、毎日最終判断が求められ、毎日夕刻には誰かが決定してこのボタンを押し、無情の幸福感と、そのあとの報復兵器による焼灼によって明け暮れる・・・そして生きよ生きよと涼しい風が吹くと起き上がって・・・今日の戦いはなかなか良かった、核兵器を使うタイミングは絶妙だね。あれで報復兵器を上手く迎撃していれば完璧だが・・・敵もなかなかやるものだね。祝電でも打つか・・・さて、これは地獄か極楽か?やりたいことをして日がな一日を緊張感に浸って、現世ではできなかったことを行う・・・価値観の問題か・・・ふと、核兵器好きの極楽だか地獄って・・・なんとなく面白そう・・・死人は死ねないから・・・

 檄剣なんかも絶対に面白そう・・・檄剣興行師の興行が廃れるのは、剣術の試合は面白いが・・・乱立して勝負のレベルが下がり、勝敗の判定が分かりにくくなった・・・けが人も死人も出ない・・・大昔の仇討のような物や剣豪の他流試合のような物とは違うからでしょう・・・しかし、剣劇興行師の天国だか地獄では、間違いなく派手なショーとなるでしょう。あの剣士、ちょっと前はずたずたに切られて鱠になってなのに、近頃はなかなかやるねとか・・・ここでも、生きよ生きよと涼しい風が吹けば・・・先ほどは不覚であった。あれほど高く首が切られて飛ぶとは思わなかった。飛ぶ首からの眺めはなかなかのものであった。次回の立ち会いでは・・・とかね。

 ふむ・・・もしかして、軍備だとか叫んでいる人たち・・・改憲して戦争ができるように、軍備ができるようにしようとしている人たちって・・・自分は戦争に駆り出されることはなく、他人事のように戦争を考えているとか?でも、これって・・・平和に対する罪では?なんって思えます。死を考えなければ何でもできる・・・戦争は死人を作ることなのに・・・

 例によって、国連憲章の前文・・・

 われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し、正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること並びに、このために、寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互いに平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、 これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。

 我が国の憲法の基本的な精神は、国連憲章の精神と同じものですね。どうやら、この間検討した憲法案は、この精神からは著しく外れるような気がします。つまり、戦争を容認することは・・・「われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害」をもう一度引き起こしたい人たちだってね。そう考えてもよさそうです。平和に退屈して、自分の生きている時代には惨劇が無いことを残念に思っている人たち・・・しかし、戦争の狂気は起こるときには起きる・・・そんなものなのかもしれません。でも、「一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること並びに、このために、寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互いに平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ」ることが面白くなくて・・・共同の利益のためではなく、自己の利益だけのために「国益」というものを掲げて戦争への道を開こうとしているようにしか思えません。世界の中で名誉ある地位ではなく、世界に恐怖される地位に就きたいのですかね?

 世界に恐怖される地位に就くと、戦争が無ければ毎日はスリリングなものになるでしょう・・・

 軍備か・・・何のための軍備?周辺諸国への恐怖か?・・・そのために、侵略戦争あるいは国際条約、協定、誓約に違反する戦争の計画、準備、開始、あるいは遂行、またこれらの各行為のいずれかの達成を目的とする共通の計画あるいは共同謀議への関与をしようとしているのか?日本の再軍備を考える人たちは、こういった事を考えてるんですかね?

 他への軍による干渉を行うと・・・多くの場合戦争の法規または慣例の違反や、占領地所属あるいは占領地内の一般人民の殺害、虐待、奴隷労働その他の目的のための移送、俘虜または海上における人民の殺害あるいは虐待、人質の殺害、公私の財産の略奪、都市町村の恣意的な破壊または軍事的必要により正当化されない荒廃化が予想されますね。こういった事も許せるんでしょうね。これが起こらない保証なんって戦時ではありませんから。

 占領地で起こる事柄・・・犯行地の国内法の違反であると否とを問わず、裁判所の管轄に属する犯罪の遂行として、あるいはこれに関連して行われた、戦争前あるいは戦争中にすべての一般人民に対して行われた殺害、せん滅、奴隷化、移送及びその他の非人道的行為、もしくは政治的、人種的または宗教的理由にもとづく迫害行為なんって・・・国益の美名の下に行われるにきまってますから・・・・だから、戦争はしてはいけないと思うわけです。

 結局戦争は・・・戦争の開始は既得権に対する侵略ですから・・・侵略戦争の開始は犯罪であり、いかなる政治的または経済的事情もこれを正当化できないとされるのです。例外は・・・現に侵略を受けて反撃する場合ですかね?挑発されても軽々しく、その挑発に乗ってはいけない・・・どうであれ先に手を出したものが分が悪くなる・・・という事のようです。この点アメリカは上手ですね。ハル・ノートか・・・これが来る前に、既に御前会議で開戦は決しているし・・・既定路線の中の1つの出来事に過ぎないか・・・走り出したら止まれないのが日本人の弱みでもあるわけです。

 日本の報道って面白い・・・昭和18年の週報を眺めていたら・・・「アメリカは第一線の敗北を生産力によって隠蔽し、消耗戦によってやがて趨勢を挽回するであろうという宣伝を開始した。これはアメリカの損害発表の手際を見れば明らかである。アメリカは自国艦艇の喪失を数カ月後に小出しに発表する一方、これと同時に数隻の艦艇の進水を発表して、撃沈による打撃を欺瞞している。」と来たものだ・・・歴史が教えるところによれば・・・これは日本がやっていた手法では?日本の場合は・・日本は第一線の敗北を生産力によって隠蔽し切れないにもかかわらず、消耗戦によってやがて趨勢を挽回するであろうという宣伝を開始した。これは日本の損害発表の手際を見れば明らかである。日本は自国艦艇の喪失を数カ月後に小出しに発表する一方、これと同時にありもしない数隻の艦艇の進水を発表して、撃沈による打撃を欺瞞している。・・・に近いような。

 この週報で、アメリカは月に5・6千機の航空機を製造している・・・と書いてあって・・・別の所では、開戦後1年間における敵機撃墜3798機とあり、これに対して、我が方もまた自爆及び未帰還556機という多数の犠牲を出した・・・消耗戦をやってますから・・・このレートだと、日本の航空機なんってどのくらいで無くなってしまう?なんって気にしてしまいます。そして・・・今や戦いは前線銃後の別なく、全てにわたって第一線の硝煙を身近に感ずる時機に到達した。全国民が米英徹底撃滅のために悉く戦闘に直接参加して戦い抜く機会が来たのである。今年こそ総てが一層の決意を以て戦う決戦の年である。・・・こんな具合ですから・・・負けてる事を遠回しに表現していたりします。

 資源を持たない国は、長期戦は無理・・・だから、最後は竹槍になってしまう・・・日本刀でも小銃には絶対に勝ち目はないですから・・・機銃に対抗するなんって無理、精神主義は物量の前にひれ伏すしかないわけです。その上、大和魂と言っても、その具体性の無さのせいか・・・逆境になると、すぐに挫けて・・・あの世へ逃げて行く傾向があるようです。徹底抗戦なんって言っても・・・すぐに諦めて玉砕してしまいます。

 まあ、ゲリラ戦の連続を戦うようには日本人はできていないのかもしれません。ゲリラ戦のような戦闘でも、すぐ華々しい場面を演出して消耗していき・・・結局は戦力が消えて行ってしまいます。闘いの駆け引きが下手なのかもしれません。案外、近代戦は無理なのかもしれない・・・「遠からん者は音にも聞け,近くば寄って目にも見よ!」とかの世界から進歩していないとか?戦争などは、自軍を温存しつつ敵を消耗させれば勝てるわけですから・・・やってはいけないことは、玉砕・・・言葉は美しいですが・・・破れて逃ぐるは国の耻 進みて死ぬるは身の誉れ 瓦となりて残るより 玉となりつつ砕けよや 畳の上にて死ぬことは 武士の為すべき道ならず 骸を馬蹄にかけられつ 身を野晒になしてこそ 世に武士の義といわめ などて恐るる事やある などてたゆとう事やある ってのが好きらしいですが・・・瓦全の方がよほど難しいと思います。

 君死にたまふことなかれ、 すめらみことは、戰ひに おほみづからは出でまさね、 かたみに人の血を流し、 獸の道に死ねよとは、 死ぬるを人のほまれとは、 大みこゝろの深ければ もとよりいかで思されむ。

 生き恥をさらす事の方が勇気が要りますから・・・だから、すぐ死にたがる・・・自殺者の割合の多い国は?韓国 リトアニア カザフスタン ベラルーシ 日本 ロシア ガイアナ ウクライナ スリランカ ハンガリーと10位まで・・・まあ、私も面倒くさいと死にたくなりますから・・・演歌なども、死ぬ死ぬやってますから。死へのあこがれがあるのかも?それとも、地獄の概念が希薄なのか?極楽往生する自信があるのか?それとも、あの世などは信じてないのかも?

 死後の世界・・・日本人の標準的な概念は?私自身は、宗教教育を受けていないので・・・宗教は知識の中のもの、伝統的な死生観も特に持たないし・・・後生で善処するから、お願いします・・・この世の借りはあの世で返すから、今の願いを聞いてほしい、というむしのよい願いが・・・多くは死んでお詫びだから・・・ここで生前のゴタゴタが清算される?

 死ぬこと、美辞麗句に騙される・・・日本語は難しい言語です・・・ちょっと週報を読んでいると・・・「昭和14年末頃までは、主として技術者と熟練工員の払底に対する対策であり、昭和15年から大東亜戦争勃発までは、労務需要の激増に伴う青少年や青壮年を目的とする対策でした。ところが大東亜戦争の勃発によって、戦争遂行能力を飛躍的に増強するために、労務に関する対策を一段と高度化し、国民全体を対象とせねばならなくなって来たのです。・・・ ・・・労務の供給源には一定の限度があり、労務の需給が次第に逼迫してくることは、まことにやむを得ないことです。この労務を克服し、生産増強の目的を達するには、労働者の質を向し、その生産能率を増進するほかありません。」理路整然とした文章なんですが・・・昭和14年の時点で熟練工や技術者は払底している。次は粗製乱造、それでも人は足りない・・・だから、労働者の質の向上を図るしかない!え?それって・・・既に無理になってるのでは?前提が崩れた事だってできることになってしまう立派な文章になるわけです。

 案外、この週報が出されたときには、民間にはこういった文章を精読して隠された意味を読み取れる人がいなかったのか、それとも・・・読み方が決まっていて、戦いに負けていても負けていないように読み取るのが正しい読み方であると考えていたのかのどちらかではないかと思われます。・・・国語の時間にやられたことがある・・・自分で読みとった事を言いなさい・・・XXXX・・・違うでしょ!こうなのよ!・・・え?自分の読みとったことを言ったのに・・・正しくないって?私は、正しく読めない人間のようです・・・言いたいことは最後にまとめて書かれているから、それを抜き出せ・・・労働者の質を向し、その生産能率を増進するほかありません。 OK!ってね。でも、それは既に無理なんでしょ・・・なんって言うと丸が貰えない・・・

 私は・・・スリリングな戦争より、退屈な平和が好きなんです。平和なら、こういった過去の起こってしまった悪い状況を眺めて楽しめますから。戦争映画も好きですが・・・戦争は断固反対です。既に起きてしまった事は仕方ないが、これから起こることに対しては神経質なんでね。ちょっと、長くなってしまったので、続きは次の稿へとしましょう。わ!月末じゃん、家賃を払わねば・・・

(2013.05.31)

  

inserted by FC2 system