ナチスの目指した国家は・・・?

 久々に、私の中の亡霊がよみがえってきたかもしれません・・・ナチス政権、その昔研究しましたね。どのように権力を奪取していくか?日本の現行憲法は、このナチが民主的な手段を通じて政権を奪取するプロセスを良く除いていると感じたものでね。

 その昔、気付かなかったことが・・・今回、比較憲法のようなアプローチの中で気付いてきました・・・国連憲章も久しぶりに読んだし・・・人権がいかに大切なのか?人権を停止することが何につながるか・・・人権を停止しようとするものが何を望むのか?

 何しろ、わが国にも、再びそういった時代が訪れそうな気配を感じてしまいましたから・・・確かに、自由や人権は空気のような希薄な、普段意識しない物なのかもしれませんが・・・大日本帝国憲法が定める臣下としての自由権でも、私は別に何不自由なく生活できたと思います・・・何しろ、日本人ですし、無産政党は支持しませんから・・・しかし、挙国一致内閣、翼賛政治、隣組による相互監視の中では馬脚を現しそうですから・・・欲しがりません勝つまでは!贅沢は敵だ!この非常時に!等で縛られるには・・・ちょっと、色々と工夫をしますからね。こういう状況下になると、他の人と何か違った事をすることは全て悪になってしまうので・・・

 たとえば・・・砂糖の配給が止まり、甘いものが欲しくなったら?澱粉の糖化ですね・・・なんで奴は甘いものを食べてる?疑わしい・・・酒が飲みたい・・・密造酒ぐらい作れますから・・・この非常時にけしからん!俺にもよこせ・・・戦時下には皆が同じでなければならないのです。不正であっても・・・それが個人の独占でなく、その地区という範囲で行われ、他の地区から羨望の目で見られない程度に薄まっていればOK・・・これが、島国根性の基本では?その地区で共有していればOK・・・よそ者のやることは信じられないし、共有できるものではないから・・・出る杭は打たれる・・・

 島国根性の島はある意味・・・やくざのシマと同じで、特定の権利義務関係で縛られた秩序だった範囲とでも言ったら良いかな?・・・その秩序=根性なのでしょう。

 かつて、やくざ者と言われた者たちが、警察権も握っていたりして・・・平気で二足のわらじを・・・ってものがありました。天保水滸伝なども面白い読み物なのですが・・・東庄町: 天保水滸伝 笹川繁蔵 - Wikipedia 飯岡助五郎 - Wikipedia 近頃は忘れられつつあるのか?近代デジタルライブラリー - 新編天保水滸伝 講談の速記本ってのは、戦前の庶民の価値観を知る上での重要な史料のような・・・というのは言い過ぎかな・・・面白いので・・・そして、多くの人が感銘したから興行として成り立ったのですから・・・

 おっと、天保水滸伝の話じゃなかった・・・

 そう、非常時ってのが問題なんです。ナチは、国家の危機を捏造します・・・

 まあ、その前に、世界恐慌とそれに続いた深刻な不況と失業率の急増に議会は対応できませんでした。そこで、ヒンデンブルク大統領は国民の不満を解消できない議会を重視せず、ワイマール共和国憲法第48条の大統領緊急令を乱発することで政局を乗り切ろうとします。

 簡単に言えば、議会の議決なしに、さまざまなことを行う権利を手に入れて行きます。そりゃ、信任の厚いヒンデンブルク大統領ですから許されるわけです・・・ヒンデンブルクなら安心・・・こうなる理由は・・・大衆が議会制民主主義に失望しているからなのですね・・・ほら、伝統的支配の形が現れた・・・

 「国民の憲法」ってのが現れた理由は・・・我が国の国民が、議会制民主主義について失望しつつある・・・いや、不信感を持ち始めたということなのでしょう。歴史は、ちゃんと色々なことを教えてくれるのです・・・

 アベノミクス・・・しばらくその効果が続けば・・・大衆は、強力な指導者を求めるようになる・・・さあ、私の出番だって人が動き出すはずですね・・・キーワードは「伝統的支配」・・・社会が大きく変化するとき、変化を照らす光の届かない闇の中に、伝統的支配を望む者が蠢く・・・

 多分、近頃の失業者の増加は・・・IT技術によるものでしょう・・・それから、重機の発達ですかね?近頃は、コンピュータ上で多くの事が一人の手で行われるようになってきましたから・・・多くの人が必要だった業務が・・・データベースによって管理されるようになって・・・私のいた会社でも・・・情報処理部の8人程度の仕事+外注していたものを、事実上、私一人でこなすようになっていった・・・重機オペレーターはどれだけの仕事がこなせるか・・・かつては、失業者の吸収先であった土木建設業が・・・人を必要としなくなりつつある・・・ユンボに装着するアタッチメントの数が増えると・・・人間の仕事が減る・・・

人型汎用ロボットが、知能指数60ぐらいでプログラム通りの作業をミリメートル精度で行うようになったら・・・・そして、ロボットの価格が1体500万円で、5年間24時間動くなら・・・メンテナンス及び動力用のエネルギーが年間200万円で済むのなら・・・

 人間の役割は・・・ずいぶんと変わるのでは?予想はできますが・・・ちょっと、書く気は出ません・・・賤業が消滅し、代わりに醜業・・・これで良いでしょう。文明の絶頂期に現れる不思議なもの・・・世紀末・・・歴史の教えるキーワードは色々あります。人間の英知が、これを越えられれば良いのですが・・・かの世紀末のムーランルージュを見てみたい!なんって・・・

 さて、ヒトラーは・・・自らの独裁を求めて・・・ナチ党は第一党にのし上がります。そして、安定した政権こそが、この難局を乗り越える唯一の手段であることを唱えます・・・要は、全権委任法を成立させようとします・・・

 そこで、引き起こされたか?起こったかは知りませんが・・・国会議事堂放火事件が起こります・・・国家の一大事が発生します。

 結果、ドイツの理性の最後の堤防が崩れました・・・ヒンデンブルク大統領の大統領緊急勅令によって・・・ヒンデンブルク大統領が恐れたのは、共産主義暴動の発生でした。その恐怖の火種として、ナチは国会議事堂の放火事件を利用、または策動?します。これにより、2つの大統領緊急令を手にします・・・結果・・・ナチに靡かない国会議員を含む人々を逮捕・予防拘禁するというわけです。

 予防拘禁は怖いね・・・

 そして、州政府にも命令を発し・・・ついに「民族および国家の危難を除去するための法律案」で・・・政府が制定した法律は大統領権限を除けば憲法に背反しても有効とするという素晴らしい法律を生み出します。

 私も、一応は・・・恥ずかしながら法律に関する称号を持ってます・・・「法学士」単に法学部を卒業したというだけですが・・・それでも、憲法は「
人権の保障を目的とする。」ぐらいは覚えています・・・従って人権を制限する「国民の憲法」は容認できないというだけなんですね。しかし・・・「国民の憲法」が出たのは学説が変わった?のかと気になって・・・でも変わってなさそう・・・日本はどうなるの?って・・・憂国の士になりそう・・・場合によっては予防拘禁・・・実質的な終身刑が待っている・・・

 とにかく、ナチスは法に則って国民の生殺与奪の権限を握ってしまったわけなのです。現行の憲法では、こういった事ができないようにさまざまな条文に阻止条項が組み込まれているのです。だから・・・変な日本語になる・・・翻訳によるものではなく・・・普通の日本語では厳密な表現が困難だからということのような気がします。

 少なくとも、現行の憲法は、ナチが政権をとったことなどを踏まえて、当時の英知を集めて・・・戦争の惨禍が起ることのないやうにすることと、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国との対等関係に立とうとする各国の責務であるとして押し付けられたものであると思うわけです。

 そう考えると・・・我が国の憲法の原本は「世界の記憶」に登録すべきであると思うのですが・・・もし・・「国民の憲法」の時代になったら、焚書の対象になるでしょうから。大日本帝国憲法の復権であるなら、私は全然気にしませんが・・・・まあ、「世界の記憶」の登録申請は、国のバックアップが無くても可能ですからね・・・ユネスコはなかなか良く考えているものだ・・・焚書を避けて後世に残すための装置を作ってますからね。

(2013.05.06)

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