国の形・・・? 国民の憲法(4)

 国民の権利に入っていきますね。

第一節 総則
 第一七条(基本的人権の保障) すべての国民は、この憲法が保障する基本的人権を享有する。
  2 この憲法が保障する自由および権利は、国の緊急事態の場合を除き、国政上、最大限尊重されなければならない。


 凄く嫌な憲法だ・・・今後、わが国では国の緊急事態が多発するのではないかと思われますね。でも、この憲法の保障する自由及び人権は何?私が大好きな条文は・・・「第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。」これですね。好きな理由は、簡単!
幸福追求に対する国民の権利ってやつですね。残念ながら、幸福を追求する権利は失われることになるようです。共産圏に見られる、休息権も欲しいし・・・どうも、この憲法は、人権を制限することに重きを置いているようです。

 解説に面白いことが書かれてるな・・・

無秩序な「自由」偏重歯止め
 基本的人権を国民の権利として尊重しつつも「義務を軽視し、
自由や権利を偏重する現行憲法の規定や解釈が、公共心や規範意識の喪失、社会秩序の混乱を招いた」との問題意識から、自由や権利に対する制限や、法令遵守(じゅんしゅ)(第19条)などの義務条項・規定を設け、権利と義務のバランスを取った。

 ふむ、どうやら、これを考えた人間は「第12条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」この条文の意味が分かってないのかもしれない・・・

 いま認められている権利は、義務を守ることで権利として定着してきた・・・だから、この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。不断の努力は義務を守ること、そして濫用してはいけない・・・ああ、分かった、どうやら・・・この解説を書いた人にとっては、すでに低能な日本国民は権利を守るための不断の努力を放棄し、濫用しているので、責任を負えなくなった国民から、現行憲法が定める権利を取り上げる気になったと考えるのがよさそうです。自分の義務も果たせないゴミのような民衆に、高邁な理想の元にある自由や権利など不要である!国に従え!今こそ国の緊急事態である。この憲法が保障する人権も停止する!という道を着けたいのか・・・なんとなく納得。私が権力者であるのなら、この条文は大賛成・・・支配される側ならNO!

 そもそも、人権を制限する文言を憲法に入れるなんって、そんなカッコ悪いことするなんって考えられない・・・何?あの国、何するか分からないじゃない・・・って言われちゃう・・・そもそも、人権の制限なんって、法律の中に沢山出てきますからね・・・災害対策基本法なんって憲法違反か?所謂、物資動員命令の類を規定して、財産権や自由を奪える規定を設けていますからね。刑法に新しいカテゴリーでも作ったら?権利の乱用に対する罪・・・最高刑は死刑とか・・・その方が良いと思うけどね。憲法に国家による人権制限規定を入れるなんって・・・何時代の国家だ?「国の緊急事態である、人権及び自由は停止する、各人は行政の命に従って労働する、居住地を離れてはいけない、本日より国民は国家の奴隷となる。」って宣言できちゃうのか?このようにならないようにするために、多くの人が命を賭して、権利と自由を勝ち取ってきたのに・・・まあ、日本の場合はすでに誰かが頑張って勝ち取った権利や自由を、何もしないで、現行の押し付け憲法でもらったのだから、要らない貰いもののような物は国家へ返納しても良いのかな?

 もし、これに類似の条文を持つ憲法が国会で通りそうだったら、人権が停止される前に、出国して外国籍を取るのが良いかも?遅れると、面倒な亡命ってやつをしなくちゃいけなくなるのでね。こういった試案が出るようなら・・・いつでも出国できるように、パスポートの準備を怠らないようにしなきゃ!

 この条文が出た時点で、ここから先を読む必要はないのでは?おいしい話があっても、それは国家の都合で停止することが可能な権利なんって・・・だから、現行憲法の「第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、
侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」は重いのに・・・だから制限できるのは・・・唯一、国家や私的なものではなく「公共の福祉」という明確な形は持たないが、雰囲気としては・・・その事柄にかかわる人々のほとんどが是と認める状況下で・・・つまり、権利をはく奪される人間も強制されることなく是と言わざる得ない状況の下でぐらいの意味合いですかね。その場の空気・・・だな。・・・もっと簡単に言えば・・・ヤダヤダ絶対ヤダ・・・ウ〜、皆のためだ仕方ない・・・という状況下では制限できる。犠牲的精神を要求されるような状況下ではとでもすればOKかな・・・お前にやってもらわないと皆が死んじゃう、お前がやればお前は死ぬだろうけど・・・それでも、頼む。という状況下でしょうね。「公共の福祉」実は、凄く重い言葉なのだと思います。生きる事をも剥奪する力を持った言葉・・・

 まあ、人命軽視の国家だった日本では軽いのかも?お国のために死んでこい!と命ずるのですから。ボランティアではなく・・・そういえば、ボランティアって、本来的な意味が失われつつあるような?非常勤の無給奉仕活動に近くなってる・・・

 そして、次の条文も、人権の制限です・・・うんざり・・・

 
第一八条(基本的人権の制限) 権利は義務を伴う。国民は、互いに自由および権利を尊重し、これを濫用してはならない。
  2 自由および権利の行使については、国の安全、公共の利益または公の秩序の維持のため、法律により制限することができる。


 これは、まさに、国家の要求によって、生きることも否定できる条文ですね。国のために死んでこい、お前の考えはよくない、公正な裁判に付すなどもったいない、生存権どころか生きる権利もないこの場で国家の要求により叩き殺す!ってね。

 公の秩序の維持のための法律も作らねば・・・というより、治安維持法を復活させるための条文ですね。そして、特別高等警察も置かれるのでしょう。私は・・・何かの団体に属していないので、治安維持法の対象外かな?そして、扇動するつもりもないし・・・でも、粛清されるべき人間のリストに入ることは間違いない・・・

 どんな法律を作ると良いかな?国の安全、公共の利益または公の秩序の維持のため、死刑を最高刑とする行政処分を行うことができる。てどうだろう?司法裁判所は基本的に統治行為について判断を下せないから・・・行政処分にすれば・・・そこでおしまい。この法律が通ったら?違憲立法審査は成り立たない・・・憲法の条文に、法律で制限することができるとあるから。素晴らしい憲法だ・・・海外移住にさらに一歩・・・さて、次の条文は・・・

 
第一九条(国民の義務) 国民は、国を守り、社会公共に奉仕する義務を負う。
  2 国民は、法令を遵守する義務を負う。
  3 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。


 凄い!この条文は・・・「国を守り、社会公共に奉仕する義務を負う。」か・・・国を守るための奉仕・・・つまり、徴兵条項か帝国憲法のようにストレートに書いても良いのでは?「第20条 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ兵役ノ義務ヲ有ス」困るのは、法律の定めがなくて「国を守り、社会公共に奉仕する義務を負う。」なのだから・・・お前は生涯、国を守る義務を負うのだ!とか、社会公共に死ぬまで誠実に奉仕せよ!とか言えちゃうわけか・・・もしかして内閣が起草して、詔勅の形で出せば何でもOKってことか?陛下、これが国民の選んだ代表者である内閣総理大臣の指示で、憲法に基づいて出される布告です。詔勅の形で下付されたい・・・現下の情勢により、わが国は20歳以上の男女全てに対して徴兵を行う、兵役期間が過ぎた後は生涯、予備役とする。 御名御璽・・・国の統治行為に歯止めをかけるための条項が無いから危険ですね?

 ついでに・・・米国の憲法と比較するか・・・前文は・・・

 われら合衆国の国民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に 備え、一般の福祉を増進し、われらとわれらの子孫のために
自由の恵沢を確保する目的をもって、ここに アメリカ合衆国のためにこの憲法を制定し、確定する。

 目的は「自由の恵沢を確保する」ことですね。西暦1787 年、アメリカ合衆国独立第12年、9月17日に定められた憲法の基本精神です。権利に関しては・・・権利章典と呼ばれる修正条項の中に入っています。

 修正第1条[信教・言論・出版・集会の自由、請願権][1791 年成立]
 連邦議会は、国教を定めまたは自由な宗教活動を禁止する法律、言論または出版の自由を制限する法律、 ならびに国民が平穏に集会する権利および苦痛の救済を求めて政府に請願する権利を制限する法律は、これを制定してはならない。

 試案と比較してみましょう・・・自由および権利の行使については、国の安全、公共の利益または公の秩序の維持のため、法律により制限することができる。・・・私には言葉はありません。

 修正第9条[国民が保有する他の権利] [1791 年成立]
 この憲法の中に特定の権利を列挙したことをもって、国民の保有する他の権利を否定しまたは軽視したものと解釈してはならない。

 1791年の人権規定です。そして、遠い将来、得るかもしれない国民の権利についても考えています。アメリカ合衆国憲法 アメリカ合衆国憲法本文第5章にもとづく修正する条項

 さて・・・この憲法試案は、検討に値するのか?私は・・・このあたりで、検討する価値もないのでは?と考えちゃうわけです。今の憲法が、超硬性憲法で良かった・・・多分、良識的な人間がわずかでも残っている限りは、多分改憲は不可能でしょうから・・・あとは・・・革命だな・・・ある日、革命政府は憲法を停止した。新たに、「国民の憲法」を制定する!革命万歳!となるときですかね。

 さて・・・この憲法試案だったら・・・帝国憲法の方がいいかな?なんって・・・・
 第4条 天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ
 第5条 天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ
 第8条 天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ由リ帝国議会閉会ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ発ス
  2 此ノ勅令ハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出スヘシ若議会ニ於テ承諾セサルトキハ政府ハ将来ニ向テ其ノ効力ヲ失フコトヲ公布スヘシ

 帝国議会がしっかりしていれば何とかなるはずですからね。人権はどのように勝ち取られてきたのか?こちらの方が調査としては面白い気がしてきました。あとは、国際法の交戦規定ですかね。しかし・・・「国民の憲法」って、いつ完成したの?まさか4月1日にまとめ、4月26日に発表したとか・・・そうであることを祈ります。そのうち、誰かが英文その他の言語に訳されて広まるかもしれない?・・・どんな反応が出るのか、こちらにも興味がありますね。

 もうひとつ気になるのは・・・この試案は、ヒトラーを生み出す素地があるのでは?ワイマール憲法48条が前例ですから・・・日本は人権意識が低いのか?この憲法試案で喜べる人はどういった立場にある人?多分、一つは、ヒトラーのような権力を得たい人、もうひとつは・・・国産なら良いものだと信じている人ですかね?あとはなにかあるか?

(2013.05.05)

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