原発事故のシナリオは?

原発事故関連では政府は相変わらずベントの遅れというやつを述べているようですが・・・やはり、私にはあのベントは不要ではなかったかと思われるのです。だって、高圧容器には自動でベントするための安全弁がついていますから・・・ベントを行った結果は・・・放射性物質を撒き散らしたということになったのですから・・・

報道によれば、25日に行われた事故対策統合本部の会見によれば・・・

政府と東京電力による事故対策統合本部の25日の会見で、細野豪志首相補佐官は、放射性水蒸気を格納容器内から大気中に放出するベント作業の決定過程で「政府と東電との間で十分なコミュニケーションがとれなかった」と述べ、事故初期段階での意思疎通に問題があったことを認めた。

 福島第1原発の事故対応をめぐり、ベント作業の遅れが事故拡大を招いたとの指摘がある。細野補佐官は「3月11日深夜時点で、政府と東電は腹を決めてベントするという認識だったがなかなか行われず、(同12日)朝方に命令に切り替えた。東電は、大きな判断はやりにくい社風があると感じた」と話した。


技術というのは社風の問題ではないと思うのですが・・・ベントは何をやっても駄目なときの最後の手段という認識が政府にあったのか?東電にはまだやれることがあったのか?このあたりが問題だと思われます。

どうせ、ベントは最後は安全弁が飛ぶ形で行われるわけですから・・・そのために圧力容器を取り巻く格納容器があるのですから・・・

統合本部事務局長の細野豪志首相補佐官は、福島第一原発1号機で3月12日に行われた放射性物質を含む蒸気を放出するベントを巡り、「政府としては11日夜にはベント実施の腹を決めたが(東電が)なかなか実施しなかったので、午前6時50分に命令に切り替えた」と説明。「電力供給という(日々あまり変化がない)ルーチンワークに慣れた会社なので、何か大きな判断が若干、やりにくい会社なのかなと感じていた」と、東電の動きが鈍かったことを指摘した。

しかし・・・ルーチンワークか・・・現場の技術者を何と考えているのやら?ベントの許可を出したら最後は、現場が判断してベントでしょう。現場の判断では、まだベントの必要は無い・・・まだ、我々にやれることと時間が残されていると考えたので、ベントの許可から、ベントまでの時間がかかり、挙句の果てに素人の総理までやってきてベントを命じたのでしょう。

ある時期の報道に少し出てきた、自衛隊に収用させて自衛隊の管理下に置く等の恐喝があったのではないかと思われます。技術屋たちは、ここであきらめたのでは?地震からかなりの時間が経ち、現場で判断する人間が疲れてきていた・・・もう、どうでも良いと思うころあいだったのかも知れません。我々の努力は・・・政府の命令だ!・・・現場では理解できなかったのでは?・・・ベント、やれ!・・・本当にいいのか?・・・やっちまえってね。

との各、政府は何も責任を取るつもりが無いような答弁を展開し始めてきたようです。

東京電力の清水正孝社長が、福島第1原子力発電所が深刻な状況に陥った3月11日夜、出張先から東京に戻るため航空自衛隊輸送機で離陸した後、政府の判断でUターンさせられた問題で、枝野幸男官房長官と北沢俊美防衛相は26日の記者会見で「清水氏は陸路で帰京できたはずだ」として、政府の対応に問題がなかったとの考えを強調した。

乗せたけど戻した・・・政府の判断・・・とのこと、どうやら政府は無能な人間の集団であるような?経団連もなにやら文句をつけ始めました。

間違った陣頭指揮」で混乱=首相の震災対応を痛烈批判―経団連会長
時事通信 4月26日(火)19時0分配信
 日本経団連の米倉弘昌会長は26日の記者会見で、東日本大震災や東京電力福島第1原発の事故に関連して「間違った陣頭指揮が混乱を引き起こすもとに既になっている」と述べ、菅直人首相らの不適切な対応が国民の不安を招いていると痛烈に批判した。
 首相や閣僚が大型連休中の外国訪問を控えることについても「そういう(誤った指揮を執る)人は(外国に)行っていただいて構わない」と突き放し、一方で「ちゃんとした仕事ができる閣僚は日本にとどまって仕事をするべきだ」と語った。
 また、原発事故の補償に関しては「原子力損害賠償法を曲げて解釈することは言語道断だ。法治国家にもとる行為で、許してはならない」と指摘し、国が責任を負うべきだとの考えを改めて強調した。
 

正論ですね。ただ、気になるのが「間違った陣頭指揮」の内容です。原発に関する内容なのか?それとも、物資の輸送に関するものなのか?ちょっと不明・・・かなり怒っていますね。原発補償はどうなることやら?法はちゃんと規定しているのに・・・

この場合、政府に何らかの重大な落ち度があって、国民の財産を無為に使うことになる可能性があるからのような気がします。やはり・・・ベントを自ら指示しに行ったのは間違いでは?ベントによって得られること・・・水蒸気の圧力の喪失・・・電気なしで動かす冷却装置を止めることになる・・・電力が十分ではない、水蒸気として放出した分の水を補給する力があったか?無いのに、放出させたのか?気になります。

時事通信の伝えるところによれば・・・
小里貞利・元震災対策担当相インタビュー
 今は政党の違いを乗り越えて震災対応に当たるべき時だ。あまり批判めいたことを言ったり、揚げ足を取るようなことは控えたい。ただ、菅直人首相の対応で気になるのは、細かいことまで抱え込もうとしている点だ。首相は分野ごとに司令塔を置き、閣僚や各省庁を使いこなすべきだ。被災者支援でも課題は多く、例えば衛生関係は厚生労働省、教育は文部科学省とつかさつかさで責任を持たせて進めるべきだ。司令塔はいくつあってもいい。首相はそれを束ねる総司令塔として、どっしりと腰を据え、大骨の指示を出す役目だ。指揮系統をきっちりとしたピラミッド型に整えるべきだと言いたい。


こんな具合です。どうやら、首相は物事をかき回すだけで、大したビジョンも持たずに・・・ビジョンを持っていないから、怒鳴りまくることしかできないのかもしれません。心棒が強くなければ物事はうまくまわらないものですから・・・どうやら、器ではない人間を権力の中心に置いてしまったような?

原発事故、第三者機関で検証=来月設置目指す―菅首相
時事通信 4月26日(火)16時53分配信
 菅直人首相は26日午後の衆院予算委員会で、深刻な放射能漏れが続く福島第1原発の事故に関し「しっかり検証する体制をそう遠くない時期に立ち上げる。いろんな立場の人に参加していただく」と述べ、第三者機関を設置して原因究明に取り組む意向を明らかにした。社民党の阿部知子氏への答弁。
 時期に関しては「G8サミット(主要国首脳会議)があり、国際社会に対してきっちりとした姿勢を示す必要がある」と述べ、5月26日からのG8前の設置を目指す意向を示した。これに関連し、枝野幸男官房長官は26日午後の記者会見で、「第三者性(中立性)をしっかりと持ち、かつ専門的な知見を持った組織を検討しなければならない。どういうチームが組めるか検討作業が緒に就いた状況だ」と述べた。


さて、どんな具合になるやら?私のいい加減な推測によれば・・・
  1. 地震発生・・・原子炉は制御棒が入って停止、とりあえず非常用の電力は来て、原子炉は安定した状態に入った。
  2. 主電源の喪失・・・非常用以外の各種のモーターの停止、コンプレッサーの停止に伴って制御は人力へ、計器の表示が不安定になってあちこち人を送って確認・・・津波の到来・・・
  3. 主蒸気隔離弁が作動され原子炉が隔離・閉鎖され、さらに電力が失われたので、炉心の崩壊熱による蒸気を使用したタービンによってポンプは駆動される原子炉隔離時冷却系(RCIC系:Reactor Core Isolation Cooling system)のみが稼動・・・
  4. 使用済み核燃料プールの温度上昇・・・これにより、原子炉建屋内の放射線濃度が上昇、水に溶けていたヨウ素やセシウムなどが水にとけきれなくなって出てくるのでしょうから、通常とはちょっと違った状態になったのでは?これで、炉心状況が不明な中で、炉心融解の恐怖が・・・
  5. 水蒸気爆発の恐怖が政府を動かす。保安院から・・・ベントする必要があるだろう・・・ベントという新しい言葉が気に入って、使いたくて仕方ない人が登場・・・東電は、ベントも視野に入れて、原子炉の安定化に努めているとかの話があって、ベントこそが最後の手段で、それを命ずることができるのは・・・「私」しかいない・・・とか?
  6. ベント指示・・・指示に従わないなら・・・電力事業者の免許剥奪、自衛隊による発電所の収用などで、恐喝まがいのことでもしたかもしれません。
  7. ベントによって、圧力容器内の4割ほどの水が喪失・・・同時に燃料棒は高温の水蒸気にさらされ、酸化しその結果、大量の水素が発生・・・ウエットベントとのことですから、水蒸気は水にもどり、水に溶けない水素は圧力抑制プールへと導かれ、原子炉建屋を経て、排気塔に導かれるはずが・・・たぶん、非常用のシステムの電力の中には排気塔への送風機は含まれていなかったのでは?そのため、水素が充満し・・・水素爆発
  8. このベントによって原子炉隔離時冷却系を動かす蒸気が喪失、失われた水も十分に補充できず、燃料棒が損傷・・・
  9. 廃炉に向かって一直線・・・
たぶん、こんな具合なのでは?なんってね。一応、得られる資料を眺めると、こんなシナリオが展開されていたのでは?そんな気がします。技術者に対して恐喝まがいのことをすると、こうなりますという事例を積み上げたのでは?

そこで、小説にもなりそうなお話・・・
地震がやってきて・・・何をしたら良いかわからない人たちが集まって・・・なにかしなきゃ!首相聞きましたか?民間企業の社長が自衛隊機をチャーターして東京へ戻るって話を・・・何?民間人が?誰が許可した・・・気に入らん・・・早く戻せ!我々が権力者だ!

よし、あの会社を乗っ取るつもりで我々も行動する!保安院は何か言って来てたな・・・ベントだ?ベントって何だ?最後はベントする必要があるとか・・・ベントって、潜水艦がやるやつか?原子炉でもベントして浮上するのか?ベントというものは、重要なのか?・・・簡単には踏み切れない大きなリスクのある操作だそうです。・・・よし!ベントの指示で我々の指導力を見せ付けて、支持率を浮上させよう!キーワードはベントだ!東電の担当者を出せ!

ベントの必要はあるのか?ベントだ・・・ベントも考慮して安定化に向けての作業を進めています。まだ、ベントしていないのか?ベントを早急に行え!ベントだ!

何?まだ早いだと、まだ打てる手立てがあるだと・・・今の私に課せられた重大課題は・・・ベントしかない!ヘリを出せ・・・この時間ではヘリは飛ばせないとのことです。有視界飛行ですから・・・制限がかかっています。民間企業の社長が自衛隊を要請したのもそのためです。飛ばせといわれれば飛ばしますが危険です・・・

仕方ない、朝になったらヘリを飛ばす準備をしろ!ついでに、東電の担当者にベントは我々の視察の後に行うように・・・いや、現状をできる限り維持して、安定化を図るように告げよ!ベントの指示は私が出すのだからな。私が、救世主として空から舞い降りベントという重大な決定指示を与える!どうだ。

頭が単な政治屋なら考えそうなことでしょう。判断というのは、事実の積み上げと深い知識の上でなされるものです。その判断の基礎になったものが、5月26日前にはある程度明らかになるようですから、それを待つとしましょう。地位のある馬鹿な人は、あまり陣頭指揮をして、馬鹿さ加減を披露してはいけないともいえます。

現実が、私のいい加減な推測から大きく外れていて、政府の人たちも賢い、正しい判断をしていたと思いたいのですが・・・
(2011.04.27)

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