現在をうろうろ(423)

 平安南道北道の工業とそのインフラ(29) 新義州付近の戦前の産業インフラは・・・?

 さて、北中機械連合企業所に関する画像情報は極めて限られていますね。どうやら、楽元・北中はセットで考えられるけどなんとなく北中機械連合は裏方のような感じですね。北中機械連合企業所は・・・どんな工場群の総称なのやら?楽元機械連合企業所は楽元駅を中心とした、かなり狭い範囲と推測できますが・・・

 北中機械連合企業所はちょっと分散しているような感じです。そして、業務も多岐にわたっているという感じ・・・龍川駅を中心とした工業地帯を形成している・・・かつては北中駅と龍川駅の間でかなり複雑な引き込み線があったような感じです。そして・・・龍川駅から伸びる多獅島線との関係が気になります。この多獅島線は・・・昭和11年1月に新義州駅を起点として多獅島までの37.6kmのもので、揚市駅から(現:龍川駅)から南市駅(現:塩州駅)を追加したもので・・・かつての京義線(北朝鮮区間は平義線)は、南市駅(現:塩州駅)から・・・白馬線の方が、もともとの京義線であったようです。後に、この多獅島線が京義線へと組みこまれた感じですね。この線は蒸気・軽油併用の鉄道であったようです。ここの新義州から多獅島の線は昭和14年11月に運転営業を開始、この時点では揚市・南市間は工事中ですから・・・昭和16年には全線開通でしょう・・つまり昭和16年に向けて開発が進んだという事のようです。

 右の写真のような鉄道網がどうやら多獅島線であるようです。上の新義州から左下の南市駅=塩州駅、中央の3つの線が集まる揚市=龍川駅、中央左の5つの線が集まる場所が龍岩浦駅、ここに集まる5つの線のうち3本は工場への引き込み線のようです。そして、一番下の路線の先が、多獅島港駅です。龍川駅の脇のループになった部分が北中機械連合企業所の工場が集まっている所で、その北10km程の所に、楽元機械連合企業所があるという事ですね。

 昭和11年頃からこのあたりを巨大な工業地帯にする計画が立てられて、電力と鉄道が建設され、国策会社がこの地に続々と建てられたという事になります。工場群が動きはじめるのは電力供給が始まる昭和16年の夏ごろですから・・・工場の建設ラッシュが起こったという事ですね。

 中央に2つの機械工場群が・・・末端が問題ですかね・・・一応、この線にあった工場と思われるのは、鐘淵工業新義州葦人絹パルプ工場・三成鉱業龍岩浦精錬所・三井軽金属楊市工場・・・三井軽金属は、昭和16年に日本曹達系の西鮮化学を吸収した東洋軽金属が前身ですね・・・揚市工場がアルミニウム精錬を行うようです。揚市=龍川には、現在はアルミ精錬は行われていないようですね・・・・しかし、東洋軽金属は、昭和18年10月までに楊市に第一、第二工場を建設したという情報もありますから・・・

 東洋軽金属株式会社の設立の経緯は・・・東洋アルミニユーム株式会社と西鮮化学株式会社のアルミナ製造及びアルミニウム精錬事業の統合のために、昭和16年12月に東洋軽金属株式会社が設立されています。

 ただ、昭和18年10月での昭和19年度の礬土頁岩の行き先予定を見ると、横浜荷揚げの昭和電工、糸崎荷揚げの住友化学、黒崎荷揚げの日本アルミ、三池荷揚げの東洋軽金属、興南荷揚げの日本窒素、鎮南浦荷揚げの朝鮮理研、東岩瀬荷揚げの昭和電工(富山)、現地生産の華北軽金となっていますね・・・どうやら、新義州の周辺に礬土頁岩は出回っていなさそうです。昭和16年頃の構想では朝鮮での北支の礬土頁岩の利用が示されていますが・・・そうなると、アルミニウムの加工が中心なのか?マグネシウムの生産が新義州で行われていたみたいですから・・・製塩の際に出る苦汁からの電気精錬で・・・アルミ合金を作っていたか?

 このあたりがちょっと気になってチェックしていますが不明です。昭和17年以降のこの地域の資料が無いのでね・・・なんだか、アルミニウム関連の昭和19年前後の書類を見ていると気分が暗くなります・・・昭和19年の12月にはアルミ貨の全面回収とか・・・次に戦争を始めると、1円玉が消失する・・・その前に缶入り飲料が国策により消滅か、自販機も供出・・・それでも戦争ができる国づくりがしたいのかね?戦争が始まる前にはどこにでも自販機があって飲み物が買えたけど・・・なんって昔話をするようになるのか・・・まあ、電力統制になれば、自販機など真っ先に止める対象になるでしょうから・・・戦時体制に入ると、こんな具合に産業がひとまとめで消滅する・・・

 まとまった史料は見当たりません・・・どうも、このあたりの送電網に関して日窒の気配は無いし・・・なんだかちょっと不思議な感じがします。なんとなく・・・昭和16年までは開発予定があって・・・昭和17年あたりには既に半ばこの地域は諦めたか?新たな投資の話が出て来なくなります・・・さて、どうやら昭和17年あたりから、この周辺の新規の投資は凍結されたのか?ちょっと気になります。国立公文書館 アジア歴史資料センター 物動史編纂資料(第1) (物動計画運営より観たる大東亜戦争推移) 日本の優勢は・・・どうやらガダルカナルの頃までで・・・多分、実質的にはミッドウェー海戦の頃には、既に米海軍が優勢になっていたような感じですね・・・台湾・朝鮮・満州・南洋・南シナ海沿岸を押さえても・・・日本は戦争を遂行する資源の本土への還流が困難になって行きますからね・・・アメリカの潜水艦隊は弱いと言われながらも・・・実は強かったし商船の被害が大きかった・・・日本は貧乏だから潜水艦は魚雷で商船を撃沈する事をためらうし・・・これでは、戦争に勝てないですね。確かに、砲弾に比べると魚雷は非常に高価ですが・・・しかも生産力が低いから貴重な兵器になるから、商船如きに・・・しかし、通商破壊が一国の経済を揺るがす・・・

 日本のようにシーレーンに頼って生きている国がシーレーン防衛すらままならない。現在は日本人の船員の乗った外航船は僅少ですから・・・防衛すべきシーレーンは無きに等しい・・・日本が中国と交戦状態になった時に、南シナ海・東シナ海を航行して日本へ物資を運ぶ船は存在するのか?これだけで、日本が中国と戦争できない国である証明には十分だと思うが・・・船団を組んでイージス艦を数隻護衛につけて中国の玄関先を通過する事が可能か?中国の空・海軍力は調査済みなのでね・・・

 オーストラリアが中立を保って、中国との交易が中国船を用いて行われるとき、日本の艦隊はこの船団を阻止する事ができるか?この状況下だと・・・韓国は日本と直接の同盟関係は無いですから・・・韓国は中立を保ち米韓は韓国が中立を保つなら・・・米国も中立を保つしかない・・・さもないと、韓国が戦争に巻き込まれる・・・日本が中国と戦争ができる状況になるためには、日韓が同盟を結ぶ必要があるが・・・韓国有事を基本として組まれた枠組みの中で、日本が戦争を遂行できる可能性は・・・戦争遂行が不能で負けを前提をした戦い以外には無さそうに思えますが・・・勝つためには、資源地帯と・・・日本が原材料があれば・・・自活できる産業基盤があればなんとかなるでしょうが・・・防衛産業は温存されているようですが、戦闘機の開発で逃げ出す企業もありますから・・・日本は国産の化学肥料をどのくらい製造しているかとか・・・色々と気になります・・・有機農法では無理でしょうし・・・それでも、戦争をしたいのかね?戦争をするなら、勝つ見込みがある戦争をしなければならないのに・・・残念ながら、産業や社会インフラを考えると・・・日本に戦争遂行能力があるとは思えないのだが・・・

 資源外交をやっていますが・・・資源を運ぶ日本船は既にない・・・中国の潜水艦隊は左の写真の減磁ステーションで減磁装置のキャリブレーションを行うようになったので、今や優秀ですから・・・複数の原潜に対して、通常動力型の潜水艦で勝ち目があるか?2週間の潜航が可能とか言われる通常型の潜水艦・・・ケロシンと酸素を積み込んでの行動ですが・・・酸素の搭載量は?リチウムイオン電池は、鉛蓄電池に対してエネルギー密度が2倍以上あっても・・・低速での2週間は、戦闘航行での3日程度でしょうから・・・

 液体酸素は水よりちょっと重い液体ですが・・・気体で1リットル1.4g程度かな・・・1リットル1100gの液体酸素が気体になると780リットル程度の酸素になってくれますが軽油1kgを燃焼させるのに3.4kg程度・・・考えれば、物理的限界があるのでね・・・高速での長時間の航行は困難・・・原潜は高速での長期間の航行が可能・・・格が違いますね。日本の潜水艦に食指を動かしつつあるとされるオーストラリアが、どういった選択をするか?なんとなく、見当がつくが・・・

 一国の生産能力もエネルギーで決まる・・・省エネの限界だって分かりますから・・・それでも、戦争ができるとハッタリかね?政治屋には困ります・・・勝てる見込みのない戦争に国民を巻き込むのが好きなようですからね・・・

 さて、ちょっと気合を入れて、現在この周囲の送電系の調査をしていますが・・・どうなるか?・・・ああ、戦争と産業の関係などを眺めると、日本は北朝鮮のような国になって行くことになるのかね?日本も先軍主義の国になるのか?ただ、日本の政治屋は・・・社会インフラを考えるのは好まないようなので・・・民間など知らんで戦争を始めようと画策しているようにしか思えないが・・・どうせ、決定事項ノ強力迅速ナル遂行ヲ推進セントス・・・という掛け声に終わるのでしょう・・・国立公文書館 アジア歴史資料センター 昭和20年1月9日 軽金属生産増強緊急措置に関する件 臨時軽金属増産対策本部を設置して、早くやれ早くやれ、中央組織を作り本部会議を行い、部会で検討して、地方連結班を置いて地方組織との緊密な連携で推進に当たる・・・近頃の本部ブームに似ている・・・これって、あまり良くないパターンでは?

2014.09.11

  

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