現在をうろうろ(393)

 元山から平壌への道・・・元山平壌街道の沿線(13) 順川駅前のアルミニウム精錬工場?

 順川にはもう一つ化学工場がありますね。やはり、なんとなく石炭化学工業の気配がありますが・・・とにかく、駅前にある工場です。順川ナビロン工場って話もありますが・・・座標は・・・

 39°25'23.82" N 125°56'28.59" E ここですね。石炭化学工業か・・・なかなか面倒な代物です。この工場は何を作っているのかね?白いのは石灰石で黒いのは石炭で、カーバイドから、アセチレンを作って、酢酸でポリ酢酸ビニルを作って。こいつを鹸化してポリビニルアルコールを作って、ホルムアルデヒドを反応させるとビニロンになる・・・

 酢酸はこれまたカーバイドからアセチレンを作ってアセチレンを水和してアセトアルデヒドを作って、こいつを酸化して酢酸を作る・・副生物が色々と出るやつですね。蒸留して分離すれば色々と出てくる・・・さて、ここでは何をしているのやら?

 噂ではビニロンの工場みたいなんですが・・・しかし、不思議なのはカーバイドをここでも生産している雰囲気・・・白くて黒いこの雰囲気は石灰石と石炭の粉でまぶされていますから・・・カーバイド生産からスタートさせる意味があるのか?というものですね。しかし、なんとなく水酸化カルシウムを扱っている雰囲気もあるし・・・

 左の写真のように、原料の白い物質は、敷地内の地下から掘っているようです・・・4基のシャフトキルンがあるみたいですから・・・石灰石を採掘しているなら、このシャフトキルンで一次加工、生石灰;酸化カルシウムを作っていると思われます。

 次の工程は・・・右の写真のようにもう一回加熱していますね。その後、何かの工程を経て・・・なんだか、アルミ精錬の電精錬の雰囲気ですね?

 採掘されているものは・・・礬土頁岩か?それとも石灰か?・・・見分けはつきませんが、これは石灰窯でしょうから・・・でも?電解炉みたいなものがある?礬土頁岩・・・これならアルミニウムの原料になりますね。

 礬土頁岩からアルミニウムを作るには?どうするんだ?原料は、礬土頁岩と石灰石と燃料の石炭かコークスですかね?石灰窯で生石灰を作り石灰乳・・・礬土頁岩を焙焼して生石灰とともに鉄鉱と黒鉛を投入して電気炉で処理して、粉砕し、回収ソーダ液を加えて粗アルミン酸ソーダ液を作りこれに石灰乳を加えて、アルミン酸ソーダを精製して、石灰窯で発生した炭酸ガスを吹き込んで沈殿させて、分離・・・ここで回収ソーダと水和アルミナを作り・・・アルミナ焼成炉でアルミナを製造・・・アルミナと氷晶石を混ぜて電解炉に投入、粗アルミニウムができて、精製炉に入れてアルミニウム鋳塊の完成・・・

 う・・・分からないですが、なんとなくアルミニウムの精錬を一貫して行っている工場みたいな気がしてきました。少なくとも工場の構成からすると、ビニロンの工場ではないですね。そうなると・・・このアルカリを使ったアルミニウム工場と考えるのが良さそうです。なんだか、昭和16年頃からの工場の軍需化の流れの中で、我が国の誇る代用科学の精華のような工場に見えてきました・・・多分、満鉄の特許によるものではないかと・・・近代デジタルライブラリー - アルミニウム企業条件調査資料 参考にしたのはこの本ですけどね・・・どうも、定説では化学繊維工場ですが、これはアルミニウム工場であると、私の頭の中では整理しておきましょう・・・

 第二次大戦中には、アルミナの生産のためにロータリーキルンを保有する工場などは転用されていますし、ソーダ工業も全面的な転用みたいだし・・・日本は有事の際にはどのような工場が軍需へ転用されるのやら?

 現在の日本の製造業は生産施設の海外への移転が多くて、基礎物質の生産があまりないような感じですね。有事の際の、工場の転用も政府は考えているのでしょう・・・何しろ、普通に戦争を遂行できる国にしたいのですから・・・国内の基礎産業の育成には・・・やはりエネルギー問題がありますね。原発を動かして、国内炭の活用と石灰石を掘って石炭化学工業を再興する必要があるとか・・・結局はどれだけエネルギーを生産できるかにかかっていると思われますが・・・原発の夜間電力を投入してカーバイドを国策産業として奨励するとか・・・原油価格に対抗できるかの問題ですがね。原油が入らない事を前提として・・・東シナ海・南シナ海が封鎖された時を考えての産業構成を考える必要があると思われますね。

 ちょっと化学工業の復習もしないと・・・戦前の化学工業の柱というと、アンモニア・・・つまり窒素化学工業ですね。窒素と水素から作るアンモニアをスタートとするものです。窒素源は空気中に80%含まれる窒素そのものですね。酸素が問題なので、高圧をかけて液体空気にして、沸点の違いで窒素と酸素に分けます・・・窒素の方が高い温度で沸騰するので、窒素ガスを回収して、残りの液体酸素の利用も重要になります。また、炉で物を燃やし空気中の酸素を酸化物の形で捕集する手もありますね。そして、問題は水素の発生ですね。水素は水を電気分解するなどの非効率な方法で作るのではなく、高温下で水蒸気をコークスで分解すると一酸化炭素と水素の混合気体の水性ガスが発生します。これにさらに水蒸気を混ぜて酸化鉄触媒などを使って一酸化炭素に水蒸気から酸素を毟り取らせて二酸化炭素と水素の混合気体にして、加圧して水に二酸化炭素を吸収させるか、アルカリに二酸化炭素を吸収させて水素の純度を高めます。あとは、コークス炉から出るガスを圧縮冷却すると、メタンや一酸化炭素は液化されて、液化しにくい水素が残ります。こんな具合に、戦前の化学は水素と窒素を集めて、反応させてアンモニアを合成していました。・・・こんな知識は何の役に立つか・・・どうも、北朝鮮の工業は計画的であるので、東西にメインとなる工場を振り分けているような感じですから、興南と順川が対で他に無いとなると・・・知識はあまり役に立たないかね?少なくとも、液体空気の製造と分留の工場はどこかにあるようですから、そのうち見つかるかもしれません。

2014.08.27

  

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