現在をうろうろ(27)
  
 ちょっとシュンペーター・・・?

 久しぶりに経済理論が気になりました・・・先日、日銀のお金の仕入れ先というものの続きみたいなものです。・・・ちょっと、シュンペーターの理論が気になったんです。

 信用の創造と、それに基づく お金の誕生ですね。

 シュンペーターの生きた時代を理解していないと、シュンペーターの理論の本質が分からないのでちょっとチェックしておきましょう。


 Joseph Alois Schumpeter ヨーゼフ・アーロイス・シュンペーターは1883年2月8日 から 1950年1月8日を生きた人ですね。生まれは、オーストリア・ハンガリー帝国のモラヴィア生まれます。そしてウィーン大学で学び、法学の博士号を得ます。そして、オーストリア・ハンガリー帝国領の現ウクライナ西部のブコビナにあるツェルノヴィッツ大学で教鞭を取るようになり、数年でカトリック教会の庇護のもとにあるグラーツ大学の教授になります。1913年にはコロンビア大学客員教授になり・・・いつの間にか第一次世界大戦へと突入・・・

 そして、第一次世界大戦の終結で起こった政界再編のオーストリア革命で成立したオーストリア共和国の大蔵大臣を何日か勤め、マンションに2戸と厩舎に競走馬を得て乗馬と・・・辞任・・・ここで退職金代わりの株式会社組織の銀行の免許を得ています・・・グラーツ大学教授に戻りますが・・・当時のオーストリア経済は・・・まず、賠償金は払えないし領土分割で賠償は立ち消えなんですが・・・正貨がないから食料不足で・・・ハイパーインフレへと人々の思惑で追い込まれていきます。そして、それが一息ついたところで直ぐにウィーンのビーダーマン銀行の頭取になります。

 どうやら、ビーダーマン銀行は資金難で、復興プチバブルに乗れないので株式会社組織にするためにシュンペーターの免許が欲しかったのではないかと思われます。そして、頭取の肩書と報酬でシュンペーターはウィーンの上流階級の生活に入ります。ここで、シュンペーターはイノベーションを体得した可能性が高いですね。そして・・・ビーダーマン銀行が出資し、シュンペーターは幾つかの企業に取締役として名を連ねることになります・・・

 やがてシュンペーター自身がかつて予言したことが現実になります。インフレの進行と資本不足で、1924年のウィーン株式市場の暴落が引き起こされます。これで、シュンペーター頭取は多額の負債を抱え・・・イングランド銀行の傘下のアングロ・オーストリア銀行の資金が注入されます。どうやらこの時期イングランド銀行は東欧の金融にも関心があったようです。多分、第一次世界大戦での戦費で出て行った正貨の金の回収なども必要でしょうが、それでも多額の借款を行います・・・このあたりも面白そうなんですが・・・ビーダーマン銀行はアメリカ資本へ転売・・・まあ、シュンペーターの方へ話を戻さなきゃ・・・

 資金注入と共にシュンペーター頭取は解任・・・浪人生活が始まります。ここで日本の東京帝国大学が登場・・・シュンペーターと招聘交渉が始まりますが・・・ボン大学からの申し出を受けて日本は袖にされてしまいます・・・ボン大学教授になり・・・やがて日本でも講演・・・ハーバード大学の教授に就任・・・と真面目な学者の道を歩みます・・・まあ、こんなもので良いでしょう・・・

 何をしたいか・・・それは、20世紀をどのように理解するか?に尽きます。シュンペーターの学んだのは19世紀の静かな変化の少ない世界・・・社会に出たら・・・その静かな社会が崩壊し激動の時代へと変わっていた・・・20世紀はアメリカの世紀と呼ばれるように、1908年のT型フォードに見られるように大量生産の時代へと入ります。ヨーロッパですらそのイノベーションの波にのまれるわけです。技術革新が巨大な資本を生み出し、巨大資本の生み出す新世界ですね。

 第一次世界大戦、第二次世界大戦で更なる発展を手にして行ったアメリカ・・・シュンペーター実務者の時代ってその時代なんです・・・この時代のアメリカの国家予算は小さくて、大学の研究費などは・・・国の補助ではなく・・・ロックフェラーやカーネギーなど財閥による資金援助がその中心ですから・・・この時代のアメリカの研究者って凄いですよ・・・研究者という信用だけで多額の金を集めちゃいますから・・・これまたイノベーション・・・

 というわけで、シュンペーターのイノベーションてのが面白いなと思ってね・・・イノベーションって結局は人の心の中にしか存在しない何かを現実にすることであると思うわけです。ちょうど、研究者の頭の中にある何か・・・それに価値を認める人という構図ですね。ここには、まだ価値と呼べるものは存在しません。ですから、何かに価値を認めることが、お金の創造につながると思うわけです。まるで何もない所に夢が生まれ、その夢に投資することから、お金が創造される・・・近頃は本当に思惑だけの信用で本物の通貨の顔をしたコインが現れていますね。ビットコインは流通するし流通しているという思惑の産物のように見えてね。まあ、多くの人が価値の表象物であると夢見ることが通貨たらしめているようですけどね。

 さて、シュンペーターのもとに訪れたイノベーションは・・・シュンペーター自身では使い道の無い銀行の免許と言えますかね。そりゃ、自分で動いて出資者を募ってお金を集め、銀行を営業すれば良いのでしょうが・・・大学教授ですからね?自分で手掛けようと思いますかね?・・・シュンペーターの所に新しい組織の実現のための権利が存在し、シュンペーターの名で発動する権利がシュンペーターを企業者に仕立てた・・・その結果、銀行がその仕掛けで現金を運んでくる・・・

 免許に俺のシュンペーターの名があるから・・・俺が頭取だって?ふむ、あの紙がこんなイノベーションを引き起こすのか・・・免許を持っている俺は自分に起きたイノベーション前と後では俺自身には変わりはないが・・・前は俸給をもらって生活する教授先生、イノベーションによって・・・頭取という肩書を持ったお金持ち!・・・価値の創造は、何か良くわからないものに価値を見出し、そこにお金が寄ってくるということなのだと考えたかね?

 つまり、シュンペーターのもとに富の不均衡が生じた・・・勝手に流れ込んでくるぞ・・・お金が・・・何で、価値の無いと思っていた紙切れに・・・これだけ お金を吸いつける力があるのか?・・・銀行家がやっていることは何か?単に購買力という紙きれの仲介者ではなく、出資者に夢という商品を生産するものである!なんて考えたのではないかと妄想しますが・・・国民経済のという素敵な言葉のもとで、出資者に企業者の頭の中にしか無い富の夢というものを商品として開発し、資金の流れを作り出すことで、企業者の頭の中の富を現実の社会に引き出し、現実の富を生み出すのが銀行家の役割であると・・・

 この資金の流れを生み出す・・・富の不均衡によって資金の流れが起こっている状態が良い状態で・・・余剰な資金が夢だけで資金の無い所に流れ、そこで大きな富が夢から創造され現実になる・・・アメリカの大学でシュンペーターが見たものはこれなのではないかと思います。デビッド・O・ウッドベリーのパロマーの巨人望遠鏡なんかを見るとなんとなくね・・・ヘールって研究者は強盗並の手腕ですからね、夢を広げておいて、そいつを・・・お前さんたちは金を積まないことで壊すんだぞ!さあ、金を出せ!ぐらいの感じですからね。金の流れを作りだして、様々な分野の基礎研究に金を使い、研究を積み重ねて企業にも様々なノウハウの開発を行い・・・大学は金の卵を産む鶏だという夢を見させちゃうんですから・・・コーニング社は新しい低膨張ガラスを開発できてしまいますし・・・巨大なガラスを鋳造する技術とか・・・新技術を束で開発して行きますね。すばる望遠鏡の反射鏡もこの開発研究の流れですね・・・上手くいかなかった石英ガラスだってそれなりに・・・巨大天文台の夢を実現させるための様々な基礎研究が社会の富を増やして行ったのを、シュンペーターは目の当たりにしていたのではないかと・・・

 ふとね・・・我が国は・・・将来の国民ってのを担保に、国債を発行して、市中銀行に押し付け、中央銀行に納めさせて、市中銀行を購買力があると思われる紙きれの仲介者にしてるだけのように・・・そんな風に見えるんですね。三菱UFJ銀行はなかなかやるね、サントリーにその札束を集めてやったんだから・・・サントリーが日本のサントリーでなく、世界のサントリーになる夢のために・・・下がりつつある日本の土地でも担保にしてサントリーという会社に金の流れをつくった・・・

 銀行はそれぞれが、金を束にして富の不均衡を生みだし、それによる流れを作ることができるんです。シュンペーターの理論では・・・金の話がきちんとできる研究者は企業者=entrepreneurの最右翼であると考えていたのではないかと妄想しちゃうわけです。

 現在は国が不自然な資金の流れを生み出すだけで・・・経済が静止状態に近い状態にある・・・銀行の積極性が失われているから・・・資金は巨大企業を巨大化させるためだけに使われる・・・巨大化した企業は、定型業務をこなすだけの官僚的なシステムになり・・・社会主義的な様相を帯びてくる・・・資金はイノベーションのためではなく、組織を維持するためだけに使われる・・・で・・・STAP細胞が気になるんです。資金の流れができれば・・・夢が現実になるなら・・・銀行さんよ研究者の頭の中にあるもの夢を商品化して・・・まあ、株券のようなもので、市場での売買で投資の対象になるものかな・・・それでも売って金を束にして金の流れでも作ってやれるのでは?

 とにかく、国債なんかを中央銀行に運ぶだけの仕事で満足していたら銀行の価値は無いと思うんでね。STAP細胞のやつ商品化したら声をかけてくれ、そうしたら遊んでる福沢さんの束の1つでも出すからさ・・・って言えたらいいなと思います。手元にあった雉は、今頃どこを飛んでるのだろう?銀行や証券会社って、そんな風に夢を人の金で実現する能力を持てると信じてるのでね。

 さて、私のシュンペーターの理解は正しいのか?真面目に著書を読んでないから疑問ですが・・・読めばもっと妄想を抱いて本人の思想から外れそうな気もしますね。これも・・・遊び、だって金にならないんだもの!

2014.04.21

  

関係ないが興味深いもの
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