香取神宮をうろうろ(81)
 香取志 (15) 穀物の流れ・・・

 さすがに、石が無くなってきましたね・・・同じ種類の大きさやカットの違う石はまだあるけど・・・次は何をするかね?あと幾つか見栄えがする石があるはずだが・・・寒い季節だから暖かめの色合いのピンクサファイアなんって良いでしょう。29カラット近くある大きな美しい石・・・これが天然石なら・・・2カラットぐらいでも25万円位しますからね・・・だから、もちろん合成石・・・多分3000円ぐらいでしょう・・・天然だと多分数万倍?かね?

 まあ、これをペンダントにでもすれば良いのでしょうが・・・上品に見せるのが難しくなるような・・・まあ、ルースのままでもそれなりに存在感があるので、良いのかもしれません。

 ベルベットを天板に張った小ぶりのテーブルでも用意してその上に転がしておくとかも良いかもしれません・・・カルサイトの仲間も欲しいのだが・・・柔らかい石なので、あまりカットが期待できないし・・・なんとなく引かれる石なんですが・・・

 さて、森林管理や農耕によって富の蓄積の基本はやはり倉庫だろうと・・・だから神社は倉庫に似ている・・・庭前の儀式というのも、倉庫に納めるための儀式・・・実務と儀式が分離された所で様式化されその本来の意味が失われ別の意味が付会される・・・だから、様式化された儀式の中にある古き形を蘇らせれば過去が見える・・・

 さて・・・香取神宮の現在の本殿のサイズは28尺×34尺ぐらいですかね9m×11m・・・200トン倉庫サイズですかね?古い絵図だと拝殿は存在せず、中門のような構造物があります。右の写真のようなものです。ちょっと不細工だけど・・・

 正面に2つの扉、中門は左の扉の前にあるように見えます・・・これはどういうこと?

 さあ・・・これが神殿でなくて郷の倉庫として、この倉庫を運営するつもりで考えてみるとしましょう・・・穀物倉庫管理の基本は・・・倉庫令に示されています。近代デジタルライブラリー - 国史大系. 第12巻 137コマ 倉庫令 

 地租を受け入れる時に、乾燥して良い状態になっているものを受け入れる事になっています。つまり、納入に際して検査があるわけです。到着した順に、納入書を提出させています。多分、代書屋の予備検査があって、木簡を作ってもらったのでは?なんだか、現代の車検みたい・・・テスター屋でチェックしてもらって不具合がないか確認、代書屋へ行って書類を書いてもらって・・・ん!役所仕事なんか時代を越えて同じなのさ・・・

 納入に当たっては納入者と受領者が双方で確認して、算木に置いて数量を確認する・・・なるほど、そろばんをはじいて、それを示して確認する作業を行えと・・・こりゃ、納入に際しては多くの人間が立ちまわるから、門が必要だな・・・本検査及び納入数量の確認と記帳のためのスペースとしての中門が必要・・・そして、穀物は先入れ先出しが原則だから2つの扉を持つ倉庫は良いかもしれない・・・間口5間奥行き3間だから・・・左の図のような区画を考えて納入は右の扉を閉じてA・B・C・D・Eの順に納入、出すときは右の扉を開いてAから順に出す・・・

 これは、正倉へ納める話だが、民間の郷倉でも似た手続きではないかと・・・納入管理を行って、出庫用の札をもらって帰る・・・大人2人子供2人の核家族で、子供は半人扶持として・・・巻行器を単位として考えると・・納入は390、租税30、出挙の返し10・・・差分巻行器350、食い扶持になる33×(1+1+0.5+0.5)=99と定期預金みたいな残251かね?食事給付の木簡5枚と預かり251の木簡を1枚発行すれば良いか・・・預かり分は当座預金のように、手形決済をさせて期末に調整すれば良いかな?米を豆と交換、交換レート1:1。米と大麦を交換、交換レートは4:3とか・・・出庫管理に銚場が必要だね・・・律令での出庫関連は・・・大蔵は1季の間に用いる物の予定数量に応じて、予め量って出して置いておく事。所用に応じてそこから出給することになっていますから・・・もうひとつ建物が必要になる・・・じゃあ、上の中門・本殿・留守居の3つの建物の図はそのシステムを具現したものじゃないかね?

 納入は、検査して数量を確認して納入、出庫は季ごとに行う・・・あ・・・納入の1回の開扉、残り5回の開扉・・・1季分のものは5度の開扉の際にまとめて出して銚場の中に置いておく・・・ふと、香取神宮の本殿の開扉は5度じゃん?

 ちょっと本殿の開扉は・・・五箇度の大神事で正月の元三神事、三月神幸祭、四月御田植神事、八月新神事、十月相撲大饗神事だから・・・2か月ごと6回の開扉じゃなくて、1・3・4・8・10月の5開扉を考えればよい・・・4月は出挙のための開扉か?香取神宮の神事の構成がなんとなく見えてきたような?10月の大饗祭の神事が倉庫を満たし、満たした物での配当を約束する儀式・・・ここから神宮の1年が開始される?何かで読んだ・・・神事始・・・

 律令で規定される出庫との関連がどうやら神宮の本殿の開扉を伴う祭りと重なるような感じです。ざっと祭りを並べてみますか・・・相撲神事大饗神事は10月18日から始まり、色々準備段階があって10月30日の大饗祭当献備魚鳥切盛・大饗祭当大御饌護送・大饗大御饌神事、翌11月1日の相撲神事、11月4日に本殿開扉5日本殿を閉じることで終わります。律令の田令の規定にある田租納入は、9月中旬から始まり11月30日以前に納入を終えることに対応しているのではないかと・・・

 正月の開扉、4月じゃなくて・・・じゃあ3月の開扉は田植え用の出挙の種籾も出すのでしょう。4月が季ごとの開扉・・・7月のお盆は?なぜか8月に飛ばして最後の出庫で大盤振る舞いかね?8月の開扉の意味合いが不明?こりゃ、古い神事の詳細をチェックしないとこのあたりは良くわからない・・・神仏習合である種のコンタミネーションが起こっているだろうし・・・8月仲秋の祭りか?210日は享保暦以降・・・風鎮めの祭か?稲刈り前の大盤振る舞いかね?

 私だとどんな組み立てにするかね?10月18日から開扉準備、10月25日頃から開扉して、中門に24時間体制で受け入れを開始・・・検査して納入って時間がかかるし、XX時までなんてやると持って来たけど帰らなきゃいけない人も出そうだから・・・それに新穀だから水気もあるから倉庫の戸を開けておく方が合理的かな?なんって・・・11月25日頃までに納入完了し、同時に群衙の正倉への田租も送りだす・・・そして、田租を送りだした完済祝いと、納入と分配の象徴的儀式で食べて飲んで解散・・・神人共食へ昇華させれば祭天の儀式へと繋がっていくかな?ここで閉じられた扉は次の大饗祭まで開かれない開かずの扉で良いのでは?

 1月に第1回の開扉を行う、米の配給・・・1月15日満月の小正月には一晩中明るいので大騒ぎ!4月の定期開扉前に・・・日本書紀の孝徳天皇2年;646年3月19日貸稲だとさ出挙の前身になる奴だとか・・・3月に出挙のための種籾を取り出して分配かね?一応、出挙用種籾の取りだしの可能性のは、この神事での中殿へ供えるものが酒三獻、土器に米を盛るとあるから・・・

 ここで取り出した種籾は、しばらく水に浸して発芽させて、苗代に播いて苗を育て・・・手で植える場合だから、かなり大きくなった苗を植えるはず・・・だから、田植えの神事はそれより1ヶ月ぐらい遅れるのかね?そして、定期の4月季の開扉が続くのかね。次が7月が飛んで・・・8月になるのは何故?8月の神事は八月古神事初子の日にあって、八月新嘗が初丑の日・・・8月の新嘗とは何?古神事は玄米八升・・・内内陣の戸を開いて・・・酒七獻、六獻目に魚大豆、七獻を供え置く・・・大豆が上がっていますが・・・大豆は8月に播いたのかね?12月収穫?・・・3月の神事で土器に米を盛っていますから・・・8月で大豆を出してきたので・・・でも、大豆は新暦で7月に播き終わっているはずだから・・・旧暦なら6月・・・神事に大豆が現れるのは何故?玄米と大豆・・・年中祭禮大禰宜勤方にある内容なんですが・・・八月の神事のあたりで側高の新神事が行われますね・・・という事は八月の初丑が新神事・新嘗の日なのかね?普通は11月23日・・・旧暦なら11月の2回目の卯の日のようですが・・・伊勢神宮の神嘗祭は旧暦の9月11日に勅使に御酒と神饌を授け、9月17日に奉納した様ですが・・・

 旧暦の8月・・・現在の9月に収穫できるものか、9月に播種するもの・・・大豆ではない・・・小麦は10月ごろ、大麦は11月・・・旧暦8月は・・・なんとなく中途半端?暦か・・・近代デジタルライブラリー - 暦. 昭和18年 31コマ 官国幣大社例祭日 東京天文台の暦にある・・・神宮神部署と関連があるわけです。興味深い・・・古い伝統が・・・陰陽寮かね?

 明治6年に改暦でしたっけ・・・それ以前の暦でも眺めるか・・・8月・・・仲秋の名月、芋名月ぐらいしか思いつかない・・・でも大豆を供えてる、サトイモならね・・・でも、最初の子の日・丑の日ですから何なのか?年中行事を大急ぎで眺めていますが・・・米関係では・・・年中の祭典に用いる机米ツクエマイと言う。この机米を計る舛を金丸舛という、二升三合入りなり、三升三合入りもありとのこと・・・この2つのマスは何に使うのやら?3.5kgと5kgぐらいを計る舛・・・なんとなく、半年米を貸し付ける時に使う舛では?律令では60日ごとに8分の1の利息を取ることが規定されていて480日の倍返しを上限としています。23合貸して半年後に33合の計算になるのでね・・・もしかしたら、これが今昔物語だったか日本霊異記だったかに出てくる、穀物貸しの婆さんの使っていた大小の舛とか?23×1.125×1.125×1.125=32.748046875 利息制限法の規定内ですね。ん?これだと複利計算、複利計算はしてはいけない・・・23+23×0.125×3=31.625 まあ、大差ないから・・・60日ごとに利息を取ると約3合の利・・・23+3×3=32合か・・・近代デジタルライブラリー - 国史大系. 第12巻 168コマ 雑令 根拠令はこれですね。このコマの左端からの条文・・・香取神宮には色々な物が残っているような・・・この舛のことは祭器ならびに神饌名目考によるものです。

 8月の行事は八朔か、風鎮、仲秋の名月ぐらいしか思いつかないな・・・米に関する事はこのあたりが限界ですかね?8月に、この年の出庫は終わるわけですから、この時点で、倉庫に残っている米はAの位置に集めてしまえばOKかな?そうすれば、先入れ先出しが実現できる・・・
 
 留守居が倉庫番の詰め所なのかね?倉庫・・・神が宿り、神が食べ物を守ってくれるというなら・・・食べ物と神が結びつくような気もしますね。

 国造体制の基本になったのは、倉庫管理の技術という事になりますかね?池の浮島の上に栽培していた少量の水稲から、灌漑設備の整備された広大な水田が作られるようになって、飛躍的に収量が増し、それに伴って集落の共同倉庫建築が進み、倉庫管理の必要が出て・・・倉庫の鍵を預かるものの権威が高まり、その権威と公正さを示す儀礼が倉庫前の庭前での大嘗祭へと繋がる・・・こういったシステムが稲作地帯では広がっていた・・・と考えれば、そういった共同倉庫を中心に集まった集団をまとめる地方政権が、外来の優れた文化を仲立ちに・・・米や布を差し出すと、美しく染め上げられた布に化けて出てくるとか、大陸の高度な文化の産物を手に入れられるとか・・・そういった事で国造体制が作り上げられていったのではないかと・・・

 まあ、なんとなく、国造体制やら金穀貸についても妄想的な理解をしたような気がするのでOKですかね。合理的な、民衆が納得できる統治システムが、倉庫前の庭前での大嘗祭であると考えれば、妙に納得できますから・・・神懸り国家は成立しがたいと思うのでね。食べ物の前に、まやかしは太刀打ちできないと思うのでね。

 さて、香取志を続けるとしましょう。

2013.12.13

関係ないが、興味深いもの
近代デジタルライブラリー - 勧農新暦. 上 近代デジタルライブラリー - 勧農新暦. 下
近代デジタルライブラリー - 金穀貸借心得. 巻1
 近代デジタルライブラリー - 検索結果 金穀貸借心得
近代デジタルライブラリー - 改正公用文 公用文は興味深い・・・

参考になるもの。
東京大学史料編纂所 Historiographical Institute The University of Tokyo
電子資料館 | 国文学研究資料館 
近代デジタルライブラリー - 検索結果 明治神社誌料
 近代デジタルライブラリー - 明治神社誌料 府県郷社. 上 千葉県 534コマ
 近代デジタルライブラリー - 明治神社誌料 府県郷社. 上 茨城県 592コマ
近代デジタルライブラリー - 検索結果 日本地理志料 
国立国会図書館デジタル化資料 - 和名類聚抄 20巻 
大日本海志編纂資料 資料分類
近代デジタルライブラリー - 大日本神名辞書
茨城県遺跡リポジトリ
近代デジタルライブラリー - 仮名日本書紀. 上巻 204コマ 景行天皇
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
近代デジタルライブラリー - 検索結果 和漢三才図会
近代デジタルライブラリー - 和名類聚抄地名索引
近代デジタルライブラリー - 検索結果 名義抄
近代デジタルライブラリー - 検索結果 令義解
近代デジタルライブラリー - 検索結果 神祇志料
近代デジタルライブラリー - 検索結果 古事類苑
近代デジタルライブラリー - 検索結果 政事要略
近代デジタルライブラリー - 検索結果 大日本古文書
近代デジタルライブラリー - 大宝令新解

近いうちにやりたいもの
古文書(冊子・一紙・巻子・絵図) 日本銀行貨幣博物館 これって面白そう・・・特に、社会関係史料が・・・
近代デジタルライブラリー - 検索結果 徳川時代商業叢書
近代デジタルライブラリー - 検索結果 日本財政経済史料
近代デジタルライブラリー - 検索結果 大神宮叢書
近代デジタルライブラリー - 大原幽学全集

  










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