香取神宮をうろうろ(3)
 香取神宮の社殿・・・

 さて、香取神宮の主な参道は理解できましたが・・・桜の馬場の道もちゃんと見てこないといけないでしょうが・・・さて、本殿の位置関連の史料がネット上にありますね。それは 香取大禰宜家日記 1 - Google ブックス これですね。実のところは不断所に関する情報が欲しかったので、チェックを掛けたらこれが出てきました。

 だらだらと不断所について眺めているんですが、この日記はなかなか面白い・・・香取神宮って森林地主なんですね。そういえば、香取神宮の山の杉は赤身が強く、良い船材になったとか・・・香取神宮の材はかなり高い値段で取引されていたとか・・・以前、高瀬舟関連の史料をあさった時に出ってきましたっけ。

 こいつを読むのと並行して絵図に出てくる社殿の建物のチェックなどもしているんです。

 元禄13年、1700年に作られた現在の社殿の配置は右のようになると思われます。これが、廃仏毀釈になるまでの間の様子ですかね。

 ちょっと気になるのが・・・この図を作成するのに使った図には、経蔵が描かれています。という事は、愛染堂も描かれているはずですが、それに相当する建物が見当たりません。仮御本殿の位置にあるのが、多分、磐裂神・根裂神を祀るアサメトノなのでしょう。

 一応本を当たると、楼門を入って左側に神楽殿があったとされていて、その奥に愛染堂があるとされています・・・愛染堂は、アサメトノとバッティングするのか?それしかないような・・・

 アサメトノ・・・アイソメ・・・何か似ているような?アイソメトノ・・・もしかして、アサメトノは愛染堂の事では?神道としてはアサメトノで、ここに愛染明王が置かれて、仏教では愛染堂とされているのか?

 左の図で、楼門を入って左の方には神楽殿、仮御本殿、匝瑳神社か?ぐらいしかありません。多分・・・破却されて無くなっているのは、仮本殿ですから・・・これがアサメトノこと愛染堂でよさそうな感じがします。

 廃仏毀釈で無くなったものは、金剛宝寺の伽藍と楼門内の境内の経蔵と愛染堂とのこと・・・近代デジタルライブラリー - 仏教遭難史論 によれば、破却されたものの内容が、少々変な感じ・・・

 近代デジタルライブラリー - 日本民俗学. 〔第1−4〕 隨筆篇 この本に面白い事が書かれています。香取神宮の社務所にいた神人との会話です。神人に対して礼を厚うし、辞を低うして、「当香取社に、古くアサメ社という摂社があったというが、現在ではどうなって居りませうか」と尋ねると、その神人は、文字を知らぬと云うので、紙と筆を借り、女偏に盛と書いて見せた。すると、やゝ不遜の態度で「当社の摂末社には、左様なものは御座らぬ」と言い放ったばかりか、「全体、そんな事を何処から聞いて来た」と反問するのであった。私は、「香取文書纂」や「続群書類従」などを見ると、アサメ社の事が記してあるので承知した。と応えると、今度は、その神人が沸然として「そんな古い事は判らぬ」と怒ってしまった。ってさ・・・これって、聞いてはいけない事を聞いて、答えが得られない時の典型的なパターンじゃないかな?

 アサメトノは仮御本殿で愛染堂とも知られていて、それは廃仏毀釈の折に破却してしまった・・・非常にデリケートな内容を含む話だから、知ってるけど知らないし、聞かれても面白くない、えい怒っちゃえ!って感じですかね?

 とにかく、同じ場所に2つの異なる建物は建てられないので、仮御本殿=アサメトノ=愛染堂で良いのではないかと思われます。

 室町期の社殿配置も同じように作図してみると、右のような感じになるのではないかと思います。

 香取神宮にとっては、愛染堂と経堂は色々と厄介事の種であったような感じです。さて、 香取大禰宜家日記 1 - Google ブックス こいつを眺めていると面白い事に気付きます。

 私はてっきり愛染堂は不断所に付属しているものかと思っていたんですが、どうやら金剛宝寺の物のようです。この日記の中に出てくる不断所はどうやら、金剛宝寺と接している、道から少し下がった所にあり、不断所の前に店を作ったりしている・・・そんな事が読み取れるよな?不断所はどうやら奥宮と神宮の間あたりのようです。諸神塚は金剛宝寺のもの?のようですし・・・不断所は芝居興行にもかかわりがあるような?それから・・・

 宮中の役人が不断所へ使いをやって、諸神塚火番所の前から商人が店を3つ開いて道をふさいでるって文句をつけさせていたり・・・諸神塚=雨乞塚ですから・・・火番所って・・・まさか、右の写真の奴ですかね?佐原第3支団第2分団第1部の消防団の建物かな?場所的にはあっています。

 火番所って言うと、離島での有事の際に烽火による危急を知らせるための番所ってイメージですが・・・消防署のような物があったのか・・・この火番所ってのも詳細は不明ですから、ちょっと気にして資料をあさるとしましょう。

 わ!良い本を発見・・・

近代デジタルライブラリー - 房総叢書 紀元二千六百年記念. 第8巻 紀行及日記 この本の中に、香取神宮の社殿や参道が書かれていますね・・・これも読み解くと良いかな・・・いや、こいつを先に読まねば!

 とりあえず、アサメトノは自分の中では解決という事にして、この本を読み解いていくとしましょう。そのあとで、元禄13年の造営に関連した資料を眺めることにしますね。

2013.06.13












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