東北をうろうろ(9)
 田沢湖で・・・・

 ちょっと鹿角の市街でどこへ行くか、同じ道を行ったり来たりしましたが、とりあえず盛岡へ・・・少しでも家に近い方角へ車を向けないと飛んでもない期間の旅になる可能性があるのでね。目的地のない旅というのは危険です。何しろ、近頃自分の住処はどこ?なんってやっていますから。

 夜中に、道の駅とか駐車できる場所で10分とか長くて2時間程度の睡眠で走り続けてしまいますから、これが問題です。ときどき、ポメラに雑文を書き散らしたり・・・空が白み始まると、どこへ行くか?具体性が必要になってきます。このまま中尊寺に向かうと、多分7時前についてしまう。拝観は?早くて8時・・・9時過ぎあたりを目標にすると・・・まだ、早すぎますから考えるわけです。地図を眺めて・・・田沢湖でも行くか・・・十和田湖と景色はあまり変わりはなさそうだが・・・なんって考えるわけです。

 とりあえず目標は田沢湖へ・・・十和田湖も田沢湖も非常に深い湖です。十和田湖はカルデラ湖、田沢湖は?火山・地殻変動・塞き止め・・・とにかく、成因は不明とのこと・・・何しろ、標高300m弱の水面、そこから400mほど下が湖底なんですから、湖底は山の中でも海面下なんですから・・・案外、日本のヘソかも?造山運動や火山噴火に取り残された場所?湖底を掘ると、日本が海の底にあったときの様子が見られるとか?

 いや、仙北平野の北に田沢湖を囲む山があってその周りに平地がぐるっと取り巻いているから・・・中心火口が田沢湖で、その周りの山はかつての巨大な火山の山頂部分で、巨大な陥没カルデラ・・・規模は阿蘇山や姶良のカルデラが直径20km程度ですから、それより少し小さな15km程度の大カルデラの中かな?阿蘇の外輪山と雰囲気が似てますからね。

 でも、火山灰とかそういったので調べているのでしょうから・・・何か、色々と疑念があるのか?研究者がいないのか?田沢湖の周りに鉱山は・・・秋田県の鉱山のたくさんある地域より東側だから大したものはなく、積極的な探鉱が行われなかったのか?玉川毒水なんってのもあったような?玉川温泉の強酸性でさまざまな有毒物を含み、さらに放射能汚染された温水、生物の生育に非常な害を与えるものが、田沢湖に流し込まれ・・・希釈され利用・・・そういえば、北投石なんってものもありましたね。このあたりは放射線量が基本的に高いのでしょう。今回の旅行にはガイガーカウンターは持っていきませんでしたからどのぐらいの放射線レベルなのか不明ですがね。

 さて、田沢湖に向かう途中、道の駅で福島ナンバーの古典的なキャンピングカーを見かけました。なんとなく、2年ほど前にサーファーが借りて乗ってきた車に似てる・・・世界を走り回ってきたキャンピングカーに・・・こういった遭遇ってあるものなんですね。

 田沢湖に向かうと、山々には雪が残り・・・八甲田のあたりより雪は多いような?さすがに山脈、豪雪地帯に近づいている感じがします。とにかく、田沢湖に到着・・・有名なのはたつこ像ですね。金色の像があったはず・・・以前にも日没の頃に眺めましたが・・・

 田沢湖を右手に見ながら車を走らせます。辰子堆とか湖底にあるとか、そういったものを眺め、水芭蕉が生えてる場所があるとか・・・のんびり車を走らせていきます。すると、朝日の中に燦然と輝く像がありました。



 以前来た時は、走る車から眺めただけでしたが、今回は車から降りて、周囲も散策しました。早朝で、人影は皆無・・・逆光でどんなアングルで写真をとるか?ちょっと考えるわけです。まあ、考えても大した写真にはならず・・・たつこ像は観光絵葉書風になるだけです。

 このたつこ像、辰子姫の伝説がモチーフとなっていますが、西洋風ですね。腰から下はギリシャ的な雰囲気もありますが、どうもキリスト教系の雰囲気を漂わせる作品と感じられます。うつむきかげんだと・・・なんとなくそう思ってしまいます。

 この像の周りには、モチーフとなっている辰子姫の伝説に関しての看板等はありませんでした。やはり、何かガイドブックがないと旅行の楽しみは半減するのかもしれません?そういえば、兼好法師の仁和寺の法師の話もそんな感じですね。仁和寺の法師が、石清水八幡宮を参拝しようと出かけるのですが、極楽寺と高良神社を参拝して石清水八幡宮を参拝した気分で帰ってくるという話です。まあ、山を登ってまで参拝するのが億劫だったのかもしれませんがね。何か、山に登っている人がいるぞ・・・まあ、ここまでで満足したから、OK!ってね。

 旅というのは、ある程度の満足が得られれば良いのでしょう。そして、ちょっとがっかりすれば、もう一度出かける気力に変わるのかもしれません。

 私も、こうやって撮ってきた写真を眺め、その地へ思いを馳せると、もう一度、別の観点で訪れてみたいと思いますからね。

 さて、伝承によれば・・・田沢湖のほとりの神成という集落に辰子という名の娘がいました。この娘は非常に美しい娘で、困ったことに、その美しさが永遠でないことを自覚し・・・村の後背に位置する院内岳の大蔵観音様に、百夜の願掛けをします。すると、観音は山深い泉に導きます。この水を飲むと辰子は激しい喉の渇きを覚え、この渇きを癒そうと辰子はむさぼるように水を飲み、龍へと姿を変えてしまいます。自分の身に起こったことを恥じた辰子は、田沢湖に身を沈め、そこの主として暮らすようになります。家に戻らぬ辰子を探す母はやがて、龍に変じましたが、もとの姿の辰子と湖畔で夜に再会します。同じ世界に住めない二人を悲しむ母が辰子との決別でしょうか?湖に投げた松明が、水の中に消えるとクニマスに姿を変えたとさ。まあ、こんな感じのようです。

 この像のある場所、潟尻には浮木神社があります。湖水の中に立つ神社・・・潟尻明神、明和6年に秋田藩士が「かんさ宮」と名付け、田沢湖も「かんさ湖」と呼ばれるようになったとか?そのようなことが書かれていました。

 まあ、地域の信仰の形としての神社ですから、何かの神を拝む場所という場所でしょうから名前のない神でも良いのかもしれません。

 田沢湖ビールなるものがあるようですが、開店前の店しかありません・・・飲みたい気分なんですが・・・というより、この数日間、飲んでないんです。まあ、基本的に飲む習慣はないし、一人で飲む趣味もないし・・・お土産に、地名入りのものは面白いので、興味はあるのですけどね・・・

 田沢湖からどこへ行くかが全然決まっていなかったので、なんと田沢湖を2周半回ってしまいました。しかし、その間に興味深い・・・というか、香取神宮の本殿構造に示唆を与えるものを発見してしまいました。(やや、おおげさ・・・)

 というわけで、次も田沢湖をめぐって・・・としましょう。 

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