アンティークな?蓄音機とSP盤(4)

 トーンアームを分解してみて分かったことは、どうやらかなり複雑な形状をしていること、これはサウンドボックスの角度も考慮して様々な逃げを行っていることが判明・・・ゴム板で新たなインシュレーターを作りながら考えるわけです。これだけよく考えられているなら・・・原因は別の所にあるってね。正規の部品ではないのは、ダイヤフラム、適当に拵えたやつで、初期の形状が不明でいいかげんに作ったやつ・・・このダイヤフラムの位置の0.5mm程度差でこのぐらいのトラッキングエラーが生じそうです。そこで、インシュレーターは後回しにして・・・というより1つ作ってみたら・・・精度が低くてきちんと組みつけられないんですね。修正するのは面倒・・・もうひとつ最初から作りなおそうかと・・・それから、精度が上がらなかったのは、愚かにも、ゴムを計測してその結果で作ったからなんです。それと・・・精度に対する気合が不足というより、穴あけポンチで目分量というよくない方法をとったのでね。穴あけポンチはセンターを出せないというだけの話です。型紙を作るとか、専用のジグを作るとかしないといけないことが分かったというだけの話です。

 それと、注文した針が届いたので、ダイヤフラムの位置のチェックをしたというわけです。分かったことは・・・古いダイヤフラムのアルミが残っていて、そのためダイヤフラムの位置がちょっと左に寄っていたことが判明・・・要するに、右の図のようなものですね。Aが正しいと思っていてBの状態になっていると思った・・・実はダイヤフラムの位置がずれているから針が寝ていた・・・ダイヤフラムの位置を正規の位置と思われる場所にしたところ、まともに音が出るようになったというわけです。

 何かいじるたびに新しい発見と出費が増えます。これが問題・・・それから・・・蓄音機の音が気に入っちゃったんです・・・これの方が大問題なんです。今のオーディオシステムだって悪くないんですが、なんとなく違うんですね・・・そう、よい録音のギター曲・・・確かに良いのですが・・・安物のギターを自分で弾いているときの音との差って言うか・・・生々しさの違い・・・

 この差の原因は・・・箱鳴りなんでしょうが・・・共鳴箱の振動、近頃のスピーカーは低能率で、箱は鳴らないですから・・・付帯音が無い、なんとなく薄い板で作った後面解放のエンクロージャーのチープな生々しい音に似ているような・・・倍音成分の豊かな・・・私は、別に原音に忠実になんって考えませんから・・・心地よい音であれば関係ない・・・

 こりゃ、蓄音機の動作原理あたりから、よく考えていじり倒すしかないような・・・現代的なピュアオーディオとは別の・・・豊かに鳴らせるためにというやつですね。なんとなく、ホーンとか設計したくなってきましたね。こりゃ、動力部を1台見つけてサウンドボックスから先の音響系を自作して遊ぶのも面白いかもしれませんが・・・なんとなく、これを始めると行きつく先が分かっていますから困るんです。

 多分、しばらくは蓄音機のメカニズムをいじって遊ぶはずです。次は、ゼンマイを巻くのが面倒になって、電蓄の機関部を手に入れることになるでしょう。そして、しばらくすると、セラミックカートリッジをいじり始めて、MMカートリッジ、そしてMCカートリッジなどを経て、結局現代的なシステムへとなるのがね。

 結局は、現用システムに戻ってしまう・・・現用システムは・・・ピュアオーディオではなく、ボーズのスピーカーをメインとしたシアター系のシステムですから・・・スピーカーが沢山あるやつ・・・サラウンドシステムなんでね。自宅のメインシステムは、未だに真空管アンプですから、たった6W程度のシングルアンプシステム、プリアンプはサイテーションIVの回路の自作ですけど・・・6L6をメインアンプにして・・・心地よい音を求めて辿り着いたもの・・・実は、ただ音楽が流れていればそれでよいというやつですかね?そして・・・いじらなかった蓄音機をいじっている・・・そりゃ、サウンドボックスだって、実はずいぶんと作ったんです。面白いから・・・紙コップとかで・・・そこから、その一点で出る音の生々しさを・・・そう、ステレオシステムではなく、一点から出る再生音を聞いてですかね。

 そして・・・こいつを追求すると、バイノーラル録音ってやつに辿り着く事も知っていますから・・・普通の2チャンネルのステレオが、ある意味疑似ステレオであって・・・なんとなくそれらしく聞こえ・・・聞き手のまわりにスピーカーを沢山置いて音場を築き上げ・・・結局はバイノーラルという個別の頭のサイズに依存する2チャンネルにたどりつき、それはコマーシャルベースに乗らないことから・・・普及せず・・・ということになるのでしょう。だから、音の出る場所がただ一点のモノラルが妙に生々しく聞こえるような・・・そういえば、ジュークボックスも魅力的な再生システムですね。

 私は、一応ステレオ録音時代のジュークボックスの音しか知りませんが・・・普通のステレオ装置の2つの離れたスピーカーではなく1か所の2つのスピーカーから、それなりに空間を支配する生々しい音を流していたような気がします。

 ・・・ん・・・ジュークボックスのスピーカーって後面開放型が基本でしょうね・・・ああ、まずい・・・ずっと昔に実験したシステムを思い出しました。ワンポイントステレオマイクを使った生録を行っていた・・・昔々の事・・・マイクの位置から音を出して音場が再現できないかというやつ・・・逆は真ならずで面白かったけど上手くいかなかった・・・上手くいかない理由も分かっていましたが、色々とやってみたなと・・・ジュークボックスを眺めて、仮想の1点から音が出ているとして、その点から広がる音をスピーカーで再現するとか・・・

 こりゃ、ジュークボックスを自作するのも良いかなと・・・チェンジャー部分は必要としない・・・いま、音楽を聞いていますが、オートチェンジャー部はPCがやってくれていますからね・・・コアキシャルスピーカーなんってものも思いだしましたね。まずいな・・・カーショップへ行かねば、コアキシャルスピーカーは今ではカーオーディオの世界のものでは?コアキシャルスピーカーで、近頃はチャンネルデバイダーを内蔵したAVアンプがあって・・・となると、久々に・・・でも、チャンネルデバイダーを内蔵したAVアンプは高価だから・・・RCとオペアンプでバンドパスフィルターを組んで、安物のデジタルアンプに流すか・・・2台のデジタルアンプを注文して7.5k円程度か・・・駆動部はアンドロイドか何か安いOSを組んだタッチパネルのPCというかミュージックプレーヤーで、安物のモニターを付けて・・・音楽を流し続けるか・・・正月休み向けに、安物のコアキシャルスピーカーを買い込んで・・・手持ちの真空管やトランスでアンプを組むか・・・

 あれ?蓄音機はどこへ行く・・・そう、残念ながら、蓄音機は過去の再生機でしかないということになるのでしょう。そして、それは、非常に面白いものだということです。どうも、蓄音機の音の魅力に取り憑かれたようです。

 とか書いていると、ジャンクの蓄音機が到着しました。こいつにはコロンビアのコピーのサウンドボックスが付いているんです。こいつが目的・・・全体にボロイのですが、こいつと比較してみました。針の取り付け角は予想通りでした。そこで、いいかげん修理のNo.15のダイヤフラムをこいつに合わせつ修正します。本当は新しく作りたいのですが・・・プレス加工は・・・ちょっと困難、ヘラ押しとかヘラ絞りなんっていわれる技法で作成することも可能かもしれませんが・・・そこまでやる気力が無いのでね・・・

 とにかく補修してみました・・・再生音はOKです。おかしなノイズは無いし綺麗な再生音です。狼なんかこわくないWho's Afraid Of The Big Bad Wolf とか楽しい歌が生々しく・・・Disney - Who's Afraid Of The Big Bad Wolf 1933 Disney Free Download & Streaming Internet Archive これとは違って私の所のやつには歌は入っていないのですがね・・・歴史的な音源は色々な所にあるというわけです。だから、別に自分で所有する必要もないのかも知れませんが、蓄音機の音の生々しさの魅力が・・・

 というわけです・・・なぜかSP盤のレコードの枚数が100枚を越えてるし・・・困ったものです。洗うのが大変・・・収納ケース付きの大量のものです・・・福袋みたいで楽しいんです。童謡なんって絶対に買わないけど、楽しいですから・・・浪曲などは買い込んでまで聞く気は無いですが・・・あれば興味深く聞くわけです・・・川田晴久のドレミファ物語なんって洒落ていますし・・・しかし、この音の差は何?蓄音機の振動系は非常に硬い気がします。それに対して、電気仕掛けのものは、極めて軟弱・・・なんとなく、電気仕掛けのモノラル再生との差を考えてみるのも面白いかと・・・

 さて・・・どうやら、ジャンク品で購入した蓄音機のサウンドボックスは予備で使えば良いという事になりそうです。というわけで、ジャンクの蓄音機も動かしてみました・・・オートストップ機構が不良、ガバナの調整が良くないために、ガバナが開くとおもりがフレームにぶつかって異音がする、全般的に汚いという事のようです。オートストップ機構は給脂してはいけない場所に給脂が為され、シャフトをストップさせるための部品の曲がりの部分が真っ直ぐに伸ばされていて爪がストッパーに触れることができないという不具合ですね。オートストップの部品はペンチでつかんでまげてOKといっても、問題は、オートストップがうまく働かない・・・給脂が問題のようです。そして、ストッパーのアームとトーンアームの移動検知のフォーク状になったアームとの間のガスケット紙が不良のようできちんと機能しません。何か良い代用品を探さないと・・・まあ、これでも普通に手動でストップは利くし、最後にアームが大きく動いた時にオートストップはかからないけれども、大きく内側に入ればちゃんと止まるのでとりあえずOK、ガバナの調整は簡単ですから・・・とちょこちょこと調整すると、まともに動くようになってしまいました・・・見てくれをよくしてやれば・・・完動品として売り飛ばせるね・・・それぞれの部品の動作原理が理解できていれば、調整だけできちんと動くのに、ただのジャンクになってしまう・・・まあ、それだから・・・私も気軽に買える・・・しかし、格段に高性能な製品が安く手に入る世の中・・・蓄音機を新たに買い入れる意味はあまり無いような・・・ただ、蓄音機について来た音盤がね・・・面白い・・・

 オートストップは、ガスケット紙を切りぬいて作ればよいのでしょうが・・・どんな厚さのものを使えば良いか分からず・・・適当に・・・偶々ティッシュペーパーの箱が空いたので、これを奇禍に・・・ボール箱からドーナッツ型の紙を切りだして入れるとOK!もちろん油は抜きました。また、音盤を1枚聞いて・・・OKでした。これで、このジャンク品は完動品になってしまいました・・・どちらをメインで使うか迷う事になります。

 音盤を聞く楽しみ・・・その意味では、蓄音機は音盤を再生するための手段ですから・・・メインはソフト=音盤となるのかね?

 そうなると・・・ネット上に無いような音源を探して聞くとか・・・しかし、知らないものを探すのは大変だし・・・

 時々オークションで、盤がまとめて出てきたら、福袋を買い込むように、何が出てくるかワクワクしながら入札するとか良いかもしれません。というより、現在所有しているSP盤はすべてこの買い方・・・さて、どこに行きつくか・・・困ったものを買い込んだ気もします。

(2013.11.29)














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