ネットの中をうろうろ(34)
  中朝国境に何が・・・(34) 興岩駅から

 さて、鉄道から外れましたから、地名が良くわからなくなっていきます。これがちょっと問題・・・地図を探さないと・・・8 間島問題 2の4コマあたりが、見やすい地図です。定界碑の位置が入っていますが・・・地名があまり入っていないので、現在の村落名を一致させるのが困難なようです。

 地図の探索と並行して、日帝時代の税制なども調べ始めました。どうやら、施行規則レベルの話になると、どうやら法律の条文に日帝時代の残滓がたくさん残っているような気がするからです。それは、タクシーに関する規則・・・「客さんを燃やして煙にする。」 この言い回しが、北朝鮮と韓国で同じということは、同根の法制度が運用されている・・・継承されたのは日帝時代の施行規則なんでしょう。施行規則って、基本的に皆が納得できそうなレベルの話だから、日帝残滓でもあまり関係ない、たとえ共産主義だって同じということなのでしょう。というわけで、法律の文言にハマっているというわけです。そして、農民搾取の法律に転用できるのは・・・農業法ですから・・・そして・・・はじめてしまいました。


 相変わらず、共和国の法令に目を通していますが朝鮮民主主義人民共和国農業法は難解です。興味深いのは 「第4条 朝鮮民主主義人民共和国では、農業の経理形は、社会主義的な財政形態である。農業の社会主義的な財政形は国営経理と協同経理に行われます。  国は国営経理の指導的役割を高め、協同経理を成熟された条件と可能性、協同団体に入っている構成員の自発的意思に基づいて徐々に国営経理に切り替えるようにする。」 という遠回しな表現が入っていますね。2002年の修正の入った法ですが・・・この時点で、実は「協同団体に入っている構成員の自発的意思に基づいて徐々に国営経理に切り替えるようにする。」というやつがある・・・つまり完成していないということのようです。

 自発的に、利権を手放す人間はそれほどいないと思うのですが・・・自作農が、自分の土地を手放して国家の小作または農奴になるなんって・・・「第5条 農業生産と管理の主人となるのは、農業労働者である。国は農業労働者の意思と要求を尊重し、創発と積極性を引き出し、農業生産と管理に主人らしく参加するように導く。」・・・素晴らしい言葉に見えるんですが・・・斉天大聖と称えられた孫悟空を思い浮かべてしまいます・・・主人であると言われても、所詮は国家の手のひらの上での話ですから。国家経理の中に組み込まれたら・・・自由であるということは、自らの処分権限を持つものを多く持つことに他ならない・・・国家に隷属したら主体性など、簡単に消し飛んでしまいます。

 さて、農業を国家が支配するための施策は何か・・・ちゃんと法にはそれが書かれています。「第15条の種子の生産に第一義的関心を向けるのは、農業生産を拡大のための重要な方途である。農業指導機関と種子管理機関、原種場、採種農場、繁殖動物場、養樹園、種卵場のような種子の生産供給機関、企業所は、種子の生産供給システムを立て直し、生産性が高く、地帯の気候風土に吹かれて純度の高い種子を適時に生産供給しなければならない。種子を生産供給する機関、企業所は、種子の生育条件を確保し、退化を防いで種子の保管管理を定められた通り、その質を保証しなければならない。種子を生産供給する機関、企業所は、種子の生育条件を確保し、退化を防いで種子の保管管理を定められた通り、その質を保証しなければならない。」 これは当たり前・・・この次が問題・・・「第16条 種子は、国に登録されて検査で合格したものだけ利用する。しかし、穀物の種子は、国に登録されて検査に合格された場合でも、その地帯の試験栽培で良いと評価されてあった場合に植える。種子の登録と検査は、当該機関がある。」 さあ大変!・・・これって、出挙体制を確立するための方策じゃん?

 つまり、収穫期には全ての生産物を収公する、だから、種子は政府の管理するものを使え。勝手に種子を保管することは認めない!どうせ、持ってても食べてしまって無くしてしまうから良い種は全て供給する・・・喜べ! しかし、日本の公出挙でも年利50%と高利が認められていたというか・・・収奪したかったんでしょうね。で、国府や郡家などの地方機関は春になると種籾を百姓へ強制的に貸与し、秋になると50%の利息をつけて返済させますからね。いらない物を押し付けて略奪するつもりか?

 しかし、この税率はどのくらいなるのやら?一般的な品種で、1粒の種もみから1200〜1500粒になるという・・・いい加減な記憶・・・50%の利息で・・・たとえば10万円の種もみを購入、返却する際は15万円、売上は・・・発芽率80%で8万円の投入、1000倍として8000万円、15÷8000×100=0.19%ぐらいか・・・これって超凶作でなければそれほど高い利率ではなさそうな?計算があっているのやら?合ってるのなら、利稲は高額な税ではなさそうな?農業の利益率ってよくわからん?しかし、稲の生産性の高さは凄いと思う・・・一粒万倍日なんって暦にありますね。万とは言わないまでも1000倍を超えるのだから・・・

 朝鮮総督府の発行した本の中に、中国国境に近いところの白菜は立派で、毎年中国側から種を買い入れて栽培しているなんって記述があったから、収奪の手段としているわけではないかも?施行規則が分からないので、これも不明です。

 他には・・・「第35条 農業指導機関と国営農牧場、協同農場、該当機関、企業所、団体は、土地整理計画を立てて小さな区画の田、斜面の畑、空き地のようなものを整理しなければならない。整理する農地は規格砲填兵、機械化砲填兵にする必要がある。」・・・なんだ?機械化砲填兵って?訳語があるということは・・・砲填兵って兵科があるのか?Googleで検索すると・・・砲填兵装・・・なんって言葉で軍艦関係で出てくるが・・・これって何?「ほうてんへいそう」?砲熕兵装では?マニアックなサイトで平然と繰り返し使われている・・・これは書き換えの文字なのか?原語で砲填兵に当たる語を検索すると・・・分からん?中国の大昔の布銭もそうだし、画像検索で、どうやら耕耘機の類も出るしこれだと・・・標準的な機械耕作や機械化耕作にあうようにするとなるのか?別の用例では・・・農産物砲填兵売買標準契約書なるものがあるから・・・韓国のサイトに・・・解説としては「農水産物流通および価格安定に関する法律の改正(2012.2.22。)に応じて、農林水産食品部は、農産物の砲填兵売買時に活用できる標準契約書(農林水産食品部告示2012 -181号)を用意しました。農産物砲填兵売買時に活用しててください。1。砲填兵売買時の書面による契約をしていない場合は過料賦課対象となる品目は、キャベツ、タマネギ(農林水産食品部告示2012-180号、施行日:2013.1.1。)であり、農林水産食品部告示で指定されていない品目は、過怠料賦課対象ではない(今後の項目の指定を拡大する計画である)2。標準契約書は、推奨事項であり、標準的な契約書を使わなかった過怠金が賦課されるものではない。」と来てますから、委託契約栽培の話の中で使われている・・・耕地整理をすると、その土地は標準的な委託契約となり、機械化耕作を行わなければならないになるのか?いや、どうやらこれは・・・砲填兵=圃田のようですね。すると、整理する農地は規格圃田、機械化圃田にする必要がある。と訳しておくのがよさそうです。まさか、区画整理事業を行うと、委託契約しかできなくなる圃場になるとは思えませんからね。可能性は無きにしも非ずで、これなら、収奪システムに合致しますから・・・でも、そこまではやらないでしょう。

 いずれにせよ、この第35条も実際には十分に効力を発揮していないことが分かります。右のような区割りですから。山の中の開墾地のようですから、極端に小さな土地はあまり見かけませんし、もともとが牛耕でしかも2頭を縦列にして耕作したりもしたようですから、このあたりの麦や高粱の畑作では、あまり短い畝を作る風習が無いのかもしれません。

 やっと、お目当ての条文がありました。「第46条 協同農場の農業の土地と灌漑水利施設、脱穀場、家畜たち、倉庫建設などの農業生産と関連した基本的な建設計画に予見して国の資金とする。協同農場は、物質的土台が強化されるが応じて中小規模の基本建設を自己資金ですることができる。」 この条文によると、協同農場は原則として国営の作業場と倉庫を利用することになるようです。可能性としては・・・牛馬耕であったものをトラクタに置き換え、トラクターは国有、トラクターを使いたかったら、協同農場制にして国営の作業場と倉庫を使うこと!個人での倉庫には国有のトラクターは置けないとすれば、自作農の協同農場化は可能と思われます。

 これを補強する条文があるようですね。「第40条 機械工業指導機関と農業指導機関、国営農牧場、協同農場、該当企業所は農業をはじめとする農業設備と農機具、付属品を需要に生産を保証し、農業設備、農機具の補修整備を適時に質的にしなければならない。農業労働者は農業設備、農機具をバッチリカバーして保管管理しなければならない。」 バッチリカバーして・・・こいつは何?これはちゃんと日本語に翻訳されているのか?Google翻訳で別の翻訳語をチェックするとバッチリとつましいが出てくる・・・無駄のないように扱ってか?

 まあ、日本の農協も似たような縛りをやってる所があるようですね。ネットの中をチェックしてみると・・・農協の組合員ですが、農協から次のような行為をされました。このような行為は許されるのでしょうか?米の販売の一部を農協を通さずに販売したところ、農協からこれまで利用してきた育苗センターやライスセンターの利用は認められないとして、利用させてもらえなくなった。農協から種子を購入しようとしたところ、肥料を併せて購入しなければ販売できないとして売ってもらえなかった。独占禁止法に引っかかるやつですね。農協か・・・戦前は?農協の前身は農業会らしい・・・この時代の農政は?決戦時の農業構造などを眺めていると・・・戦時の物不足の中では、農業機械の消耗品などを考える時、農機具の共同利用を考える必要があるとか・・・自給肥料の積極的な活用・・・こういった事が述べられています。

 なんとなく・・・戦中の統制経済をそのまま継承しているのでは?気になります。日本国内では、硫安などの流通がかなり組織化されていたようです。戦争がはじまると、そのルートに流れる硫安が減少していきますから、当然収穫も低下していったようです。硫安と軍需の関係は・・・どうやら、原料のアンモニアの問題でしょう。爆薬の原料の硝酸の増産で、アンモニアが硝酸工場へ流れて行ったということのようです。統制経済って興味深い・・・重要産業指定規則中ヲ改正スこんなのを読み始めたりすると・・・工業にも気が向いていきます。

 調べて、知れば知るほど・・・調査範囲を広げなければならなくなる・・・軽い気持ちの軽い観光気分で始めたものが・・・困ったものです。機械翻訳もなかなか有用な気がします。しかし・・・気になるのは、朝鮮語と日本語の関係ですね。これだけ自然な訳が出てくるということは・・・文法がほとんど同じ・・・単語の対欧関係もきわめて良好?法律に関するものは・・・

 本を眺めていたら、いつの間にか年が明けました。今年はどうなるのやら?気になります。総理大臣が変わると、気分が変わるのか?株価は順調に伸びて行って・・・忙しい日々が続きましたが・・・具体的な景気対策は何一つ為されていないのに?国は借金をさらに背負って・・・借金は何かに上乗せされて回収される・・・その何かはもちろん税金ですからね。負の連鎖・・・多分、一番効果的なものは・・・できないと思うけど・・・減税して、減税した分の賃金をカット、手取りは変わらないようにすることでしょう。実体経済と人件費のアンバランスが解消されないと・・・国内市場だけなら問題はないのですが、国際市場との兼ね合いから、残念ながら日本は突出してしまっていますから(たぶん)・・・

 工業製品の利が薄くなった今、日本は何の産業を育成すべきか?多分、食品では?世界最高品質の加工食品、海外に直営農園を持つとか・・・ある意味、囲い込み・・・古臭い言葉ですが、海外に契約農園を置き、現地で一次加工、日本に持ち込んで二次加工、そして世界市場へ・・・中国などをターゲットにすればOKかな?中国北部、朝鮮、ロシア・・・日本海貿易を振興する上でもよさそうな気がするが・・・

 工業製品だと・・・高付加価値商品などあまり思い浮かばない・・・欲しいものは・・・100インチを越えるくらいの、LEDのような自ら光を放つ素子で構成されたロール状にすることができるモニターかな・・・一人で配達できるような荷姿になるやつ・・・液晶プロジェクターの代わりになるようなものがね。あとは、安価な電力ぐらいかな・・・結局、工業製品はかなり発達して、人間の五感をほぼ満足させる商品が出揃ってしまったということなのでしょう。視野角からして、PCのモニターも32インチぐらいまでしか、必要としなさそうだし・・・PCは動画配信もOKなインフラがあり、商取引にも対応できているわけだし・・・私も、インターネットを利用して仕事をしているし・・・家を出なければ、モバイルなんって下らない・・・大きなものを小さくして運ぶ技術が重要なだけ・・・

 物を所有することで得られる触覚、情報家電によって視聴覚は満足させられるようになった今、味覚、嗅覚に対応するもの・・・味覚・嗅覚に対応するものは食品でしょうね。必要なのは・・・最高の料理ですかね?冷凍食品だって、解凍技術が良ければかなりのレベルに達した今・・・そして、動画によって世界各地の料理法が見られる時代ですからね・・・食材の需要はますます増加するのではないかと思われるわけです。やはり、最後は食に行きつくような?料理人の貸し出しとかも出るかもしれない・・・いや・・・

 時間貸し店舗と言うのも面白いかもしれない・・・ネット上で、自分の料理を自慢し・・・時間貸しの店舗で仲間にふるまう・・・ネットへその様子をアップロード・・・新しい料理番組のパターン・・・遠方に出かける必要もなく、近所で気軽に行ける場所に料理スタジオがあって、そこで技を競う・・・気の置けない仲間とともに・・・

 つまり、次の時代は遠方に出向かなくても、多くの欲望が満たされる時代・・・別に買い物にハワイに行く必要はない・・・純粋にハワイの雰囲気を楽しむために、ハワイの風を感じるためだけに出かけるとか・・・旅行の意味も買出しという要素は薄れる・・・さあ、北朝鮮は、基本的に自分の居住地を離れることは困難・・・そこにインターネットで情報を流しこんだら・・・地域社会での満足+物質的な豊かさ・・・工業製品が、発達を遂げた後の導入となると・・・

 地域社会が強固な場所で、インターネットで得た情報を話す相手は地域住民・・・知らぬ人の無い村落・・・話題は共有される・・・勉強会が行われ、集まって討論することが当然のように行われている場所・・・こういった場所を情報化したら?そして、人の往来は制限されていても物流が飛躍的に良くなったら?予想されるのは・・・自分の満足のためにより、全体主義的な考えから・・・自分の地域社会のために・・・討論と新技術の実践では?情報の共有の速度がどの程度であるか、地域社会の変質にかかる時間は・・・社会実験として面白いのは、1つの村落の全戸にインターネットを導入して5年ほどの期間、人の往来の制限を加え、ほぼ無制限の物流を行ってみたら、どのような村落になるのか?基本的に閉鎖された社会に、通信と物流を保障したら・・・重工業は無理でも、基本的な化学工業まで生み出してしまうのでは?そんな気がします。

 金があれば・・・農業会社を設立して、日本国内には二次加工場+検査機関・・・海外に契約・直営農園を開いて、食料の支配でも行いたい気が・・・先物取引で穀物をいじるより、同じ資金を投入するなら・・・現物及び生産手段を押さえておけば、市場の動向とは関係なく・・・何しろ、気にすべきは最終生産品で、事実上の工業製品ですからね。製品の質を高め、検査機関の価値を高め、検査を標準化すれば・・・検査機関を格付け機関へと成長させていけば・・・こちらの方がもうかるかも?

 いずれにせよ、資本が無いのでね・・・

 さて、北朝鮮事情はどうなっているのやら?インターネットの世界から隔絶された所が、ある日その仲間入りしたとき・・・こいつは一大事件だと思うのですけどね。私の生きている時代に、大きな変化とその結果が見られそうな・・・案外、国内向けのネットワークはかなり普及しているとか?いつ国外に門戸が開かれるか?という状態にあるのか?

 インターネットは便利で・・・火田の現状とか、興味深い文献がごろごろしています。火田民・・・焼き畑を行う漂泊の民・・・治山事業の邪魔になるため定住促進・・・咸鏡北道はこの火田民の多い所とのこと・・・習俗に手を出すと反感を買いますから、どのような施策が朝鮮総督府によって行われていたのかも気になるというわけです。

満州国も知りたいし・・・先は長い・・・と言っている内に、三が日も過ぎて・・・気を取り直して観察しましょう!

(2013.01.05)
















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