ネットの中をうろうろ(33)
  中朝国境に何が・・・(33) 南村駅から興岩駅へ 続き

 さて、どうも足踏み状態です・・・この国家はどのように運営しているのか、法的な側面が見えてきてしまったので、ちょっと条文を眺めるとします。土地所有に関する法律があまり見当たりません・・・さまざまな法の条文の中に埋め込まれて理解が困難なように仕組まれている?考えすぎか?

 朝鮮民主主義人民共和国の国家予算法の中に、興味深い条文があります。「第3条(国の予算収入の構成) 国家予算収入は、中央予算の収入と地方予算の収入に分ける。中央の予算収入は、中央予算の所属機関、企業所、団体の支払、地方の予算の収入は地方予算の所属機関、企業所、団体の支払とする。」 つまり、中央政府の支配する無産階層から集めることになります。地方の予算はその地方でということになります。地方自治が気になるのですが・・・郡を単位とするような条文が現れますが・・・道は?とかは・・・さまざまな条文を眺めていますが、ちょっと不明・・・

 ああ、前提になる別の組織を考えれば、この国の全体の統治構造が見えそうです。漠然と中央と地方を分けているわけはないですから・・・この国を運営する行政組織以外の組織って言ったら・・・政党内閣・・・政党は朝鮮労働党・・・朝鮮労働党規約に支配組織系があるはずです。支配者の規定が・・・支配者の一員になるには、入党から始まるので・・・「入党しようとする者は、入党請願書と党員二人の入党保証書を党細胞に提出しなければならない。金日成社会主義青年同盟員が入党するときは、市、郡青年同盟委員会の入党保証書を提出しなければならず、それは党員ひとりの入党保証書の代わりをする。候補党員が党員として入党するときは、入党請願書と入党保証書を提出しない。」 この規定によると、党細胞と言うのが末端の組織であることが分かります。そして、「党細胞は総会で入党請願者を参加させて入党問題を審議し採択された決定は市、郡党委員会の批准を受けなければならない。」 市、郡党委員会ってのが批准・・・市は中央の直轄市・特別市のことでしょう。そして郡、これが党細胞を取りまとめている。都と農村の部に分かれている・・・

 直轄市・・・平壌だな、ここはWikiPrdiaによれば・・・「十三道制では平安南道に属するが、同国の行政区画においては、道に属さず平壌直轄市として道級の直轄市となっている。」 道・・・は条文の中に現れない?

 再びWikiPediaの道庁所在地の項目に「北朝鮮の場合、道庁にあたる機関は道人民委員会と呼ばれるため、厳密には「道庁所在地」という言葉は用いられない。ただし、便宜的に北朝鮮の道人民委員会の所在都市を道庁所在地と呼ぶことがある。」従って有名無実か?

 ああ・・・馬鹿でした、憲法に規定がありました。「第137条 道(直轄市)、市(区域)、郡人民会議は、地方主権機関である。」だよな・・・ということは・・・北朝鮮は合衆国に近いのか?基本的には経済は完全な地方分権制で、それを政治的にまとめるのは党となるのか?下部行政組織は日帝時代のものと大差はなく・・・その上に庄屋仕立て?で中央政府・・・中央政府のコアになる部分は道に相当する平壌市と・・・

 もうひとつ情報・・・WikiPedia朝鮮民主主義人民共和国の地方行政区画によれば・・・「日本による植民地統治期、朝鮮の地方行政区画は 道 - 府・郡 - 邑・面 - 洞・里 という構造をとっていた。「解放」以後もこの行政区画に基づいて人民委員会が組織されるなど枠組が残ったが、朝鮮戦争下の1952年に行われた区画再編によって邑・面級の行政機関が廃止され、直轄市(平壌)・道 - 郡・市 - 邑・洞・里 の3段階となった。この際、郡が細分化されるとともに、洞・里の統廃合が進められた。この際、郡事務所が所在する里を「邑」と呼ぶようになった。」

 ふむ・・・論理的帰結は、中央政府は直轄市と市を直接支配している。直轄市と市は都市化工業化されて、基本的な住人は工場労働者で、それを食わせるために周辺に直轄の農業地域が存在する。ああ・・・なんとなくわかった・・・金成柱(金日成)は「絶対服従する30%の核心階層だけが生き残ればよい。後の70%の動揺階層、敵対階層の人民は死んでも良い」と言い放った理由・・・絶対服従する30%の核心階層つまり、工業労働者及び農奴というプロレタリアートとそれを直接支配する階層・・・つまり、これが中央政府の支配の限界では?

 政府直轄民の数は23906000×0.3=7171800 717万人ってなるから・・・水田耕作小作地帯の人口をチェックすればOKですね。平安道+黄海道としちゃうと・・・、黄海北道2,113,672人、黄海南道2,310,485人、平安北道2,728,617人、平安南道4,051,706人、平壌直轄市3,255,388人これ全部ではちょっと多すぎるな・・・WikiPediaの平壌の項目に 「2011年2月には食糧難により、勝湖区域、江南郡、祥原郡、中和郡の4つの郡・区域を黄海北道に編入し、約2630平方キロメートルの市域面積を約半分にして市域人口も50万人ほど減らしたとされる。」ってことは黄海道は関係ない・・・ということは、外国人が比較的入れる・・・平安北道2,728,617人、平安南道4,051,706人、平壌直轄市3,255,388人・・・・ちょっと古い1993年の平壌2741260人平安南道2866109人平安北道2404490人かな?総人口の30%は 21213351×0.3=6364005.3
 2741260+2866109+2404490=8011859 雰囲気としてはよさそうですね。この地域には150万人ほどの敵対階層がいることにすれば・・・数字なんって魔術のような物さ!それとも、近頃は敵対階層が増えて来たのか?

 人口増加も気になりますね。平壌付近では人口爆発が起こっている・・・そして、飢餓の噂・・・日本も維新後に人口爆発が起こっています。その際の引き金になったのは・・・化学肥料の投入による生産増加に伴う人口爆発・・・しかし、急激な人口増加は、天災による飢餓を生み出していましたっけ・・・多分、これと同じでは?天災及び輸送力や供給力の限界で・・・

 WikiPediaの平壌の項目に 「2011年2月には食糧難により、勝湖区域、江南郡、祥原郡、中和郡の4つの郡・区域を黄海北道に編入し、約2630平方キロメートルの市域面積を約半分にして市域人口も50万人ほど減らしたとされる。」こいつが気になりますね。つまり、地域自活が確認できたことになると言ってもよさそうです。この郡を渡す、そちらで何とかせよ!

 ということは、地方には共産主義支配とは思えない暗部があるのかもしれない・・・だから、咸鏡北道はそこそこ食える地域に見えるのか?そして、地方を支配するために、道を解体して郡単位として単一の郡では大きな富にならないようにして・・・分割統治・・・圧倒的に大きな直轄地を取り巻く工業化・軍事化した地域を構成し強大なものとし・・・富及び人的資源の分断によっての支配か?強力な食管法と移動手段そのものを持たせないことで、地域自活を原則とする。そして農業の工業化の意味するところは?

 共和国憲法の「第28条 国家は、都市と農村の差、労働階級と農民の階級的差をなくすために農村技術革命を促進し、農業を工業化、現代化し、郡の役割を高めて農村に対する指導と幇助を強化する。国家は、協同農場の生産施設及び農村文化住宅を国家負担で建設する。」この条文の意味するところは・・・土地は工場のように政府のものにして、農民を無産階層の農業労働者として管理したいということかもしれません。

 個々の人民の格差は・・・都市労働者の方が自作農より低い生活しかできないということになりそうです。確かに、工業化・現代化によって、個人所有の生産財は減少・・・給与所得は多くなっているが・・・穀物不足で穀物価格が高騰すると・・・都市労働者のアドバンテージは無くなって貧困だけが都市に残るということか?

 そういえば・・・日本の終戦後の都市住民の行動がそれに相当するのか・・・「買い出し」・・・買い出し列車で画像検索をかければ消費行動が見える・・・それから闇市・・・農村部には発生しないものと言えるわけです。

 それと同じことが起こりつつあるのかも?工業製品が安価なものになると、工場労働者の給与水準は下がる・・・たとえば粗利が10000円の商品が大量生産で安価になり粗利が1000円まで落ちたら?そして、十分に普及したら・・・耐用年数も延びたら・・・工業製品など、ある程度の質のものができてしまうと、それで満足する期間が長くなりますから・・・1993年ごろのPCは日進月歩で、私なんかもずいぶんとパーツを買い込んでいましたね。毎月のように新しい高度な製品が出続けて行きましたから・・・そして、気分では1998年ごろから、普通に文書書きなら不満の無い速度になり、2005年ごろにはどのPCでもハイエンドのゲームやムービーを扱う以外は、どんなPCでもあまり関係なくなり、PCのゲームが廃れ?インターネットで動画がフルスクリーンで見られるようになった段階で、どんなPCでもいいじゃないか?なんって、私には思えてしまっています。

 工業製品の価格が下がってしまうと・・・しかも、自動化が進み・・・人手があまり必要とされなくなってしまうと・・・工業製品を売っての粗利は減少の一途・・・新規需要でなければ・・・大儲けはできない・・・よって、PCなんかでは儲からない・・・TVに於いてもそう・・・何しろ32型が2万円台前半・・・しかも、インターネットで中間マージンをカットして売ってるんですから・・・これじゃね。しかも、10年ぐらいは持ちそうな製品になってしまってますから・・・工業は能率化できるが・・・そして、工場を平屋から多層階にすれば、同一面積で何倍もの生産が可能・・・

 しかし、農業はこれができない・・・品種改良と肥料と・・・地積・・・というより、日当たりですからね。植物工場なども考えられていますが、太陽の代わりに照明器具を使うわけですから、無料の太陽エネルギーと比べると・・・確かに、閉鎖型の完全制御型植物工場だと生産管理は楽ですが・・・2階は太陽利用型+1階は夜間照明型・・・原子力を推進すると余ってしまう夜間電力の受け皿としたり・・・そういえば、電気自動車も夜間電力の受け皿+昼間電力のサポートの構想の結果かな?なんって・・・原子力は廃絶の方向だから、夢の夢だね・・・

 よって、これからは農産物が高騰、工業製品関連の仕事は流行らなくなりそうな?穀物価格が高騰すれば、当然資本が農業に流れ込み、農業労働者の収入は上がり、大土地所有なら大金持ち・・・大きな資本は、土地を買い占め、工場労働者は無産化階層の農業従事者へと転身、新たなプロレタリアートが作られる?何しろ、農産物は完全な消費財ですから・・・工業製品のような物余りとは、ほぼ無縁・・・昔から、農業生産の限界で人口は制限されていて・・・これからは、人間の住む空間と農業空間とのアウフヘーベンによって・・・レーベンスラウムが決定する?・・・自分で笑っちゃうな・・・なんと、古臭い表現・・・いや・・・咸鏡北道はそうなっている?

 工業化によって生まれた都市社会は、工業による新たな価値の創造によって豊かになり、それ以前の穀物などの農業生産品の価値を貶めることによって、農村から食料を収奪した・・・その結果、都市には食料があふれ、多層化され巨大化した住宅が立ち並び、電気・ガス・上下・水道などの社会インフラが整備されることによりさらなる集住が可能になった。・・・やがて、海外から高付加価値商品を買い込むことと、農村から収奪する食料が限界に達すると・・・食料の不足は当然のことながら、食料の価値を高める・・・結果として、都市貧困層は飢えることになる・・・富の流れが変化し始める・・・飢えた都市貧困層は農村に向かうが・・・基本的に農村の供給量は限界に達しており、天災などによる減収も見込まれるので・・・余剰は確実に蓄積に回すから・・・都市貧困層を吸収できない・・・よって、脱北かいな?・・・対するは工業への新たな価値の創造の夢・・・宇宙ビジネス!

 さあ、ネット上の旅を続けましょう・・・統制経済の全貌が見えるかも知れません。

 文献調査の方が興味深かったのか?興岩駅まで来ちゃいました。というより、畑はあるが、居住地が見られないので・・・ただ、農業倉庫付き作業場のような気がする建物群が、いくつか見られただけなので・・・農業倉庫ではなくタコ部屋かもしれませんが・・・判断できないので諦めました。

 右の画像が興岩駅の近辺の様子です。駅はB、Aが南村方面です。Cが豆満江に注ぐ支流の河口、Dに橋がかかっています。中心集落を中心に画像を拾ってきましたが、南村駅の周辺よりも建物のバラエティーに富んでいるような感じです。座標は 42°08'50.02" N 129°07'53.34" E です。

 もちろん、この周囲には、規格型の住宅が並ぶ場所がありますが・・・規則的な並びは、なんとなく面白くないので・・・

 ちょっと興味深いのは、この対岸の中国の邑の様子ですね。この場所にそっくり・・・この場所に至るまでは、中国側の方が今風な建物が立ち並んでいましたが、ここに至って、同等か、整然とした区画の様子は朝鮮側が勝るようにも見えます。

 対岸の発展が、互いに影響を与えていると思えます。しかし、このあたりから先の中国側は、かつての満民族の聖地、人が立ち入ることを制限されていた地域と思われます。さあ、どんな景色が見られるか・・・ちょっと、楽しみです。

 国家の統制と統制から外れた部分か・・・まだ及んでないのか?その答えは、この先の国境線上にあるかもしれません。何しろ、この先は・・・鉄道輸送の無い場所ですから。そして、匪賊たちの世界だった場所ですからね。

(2012.12.24)
















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