ネットの中をうろうろ(29)
  中朝国境に何が・・・(29) 茂山から南村駅へ その3

 北朝鮮のロケット関係の報道を眺めると、情報分析が稚拙なのではないかと思われるものが多々ありますね。ロケットを技術としてではなく、軍事としてとらえているなら・・・情報分析の失敗・・・だまされたということは・・・戦いに負けたことを意味するのでは?情報戦に負けた・・・何を報道したいのか?・・・ふと、かつて流行った自分探しの旅の意味が分かったような気がします。旅に出て見も知らぬものを眺めて、そこに見えて来たものと言うのは・・・自分が好きだと自覚していなかった、自分の内面にあった嗜好の現れ・・・多分、旅を通じて自分の好きなものやりたいものを見出すことであると・・・さあ、私も衛星写真を眺めて何が自分の中に見出せるのか?安上がりな旅を続けるとしましょう。

 画一化されたものが多いのですが・・・右の写真のような、ちょっと違ったものを眺めると、これは何?と思うわけです。座標は 42°11'13.78" N 129°11'08.66" E です。対岸の平野を見渡す事の出来る良い場所・・・しばらく逗留したくなるような場所です。なんとなく寺院に見えるんですが・・・大きな建物の右の白い奴・・・塔のように見えます。浮屠か?浮屠であるなら仏教寺院ですが・・・そのさらに右には墓があるようですし・・・

 左上の道沿いの小さな建物は何?倉庫かな?とにかく、この建物群の存在意義は何か?となるわけです。屋敷の谷につながる部分には土手があり・・・大雨の時に水の流れを変えるためか?そこには細長い建物がある・・・まるで、花火師の仕事場みたい・・・とか・・・

 対岸の芦果村も美しい・・・近頃の中国は美しくて・・・この丸い・・・サークルは何?サークルの上の白い建物は軍事関連の施設ですかね?そのさらに上の方に射撃場がありますから・・・サークルは低い舌状台地のようです。巨大な地下要塞が隠れている雰囲気はありません。

 ある論文によると・・・この地域の北朝鮮の脱北者対策は、100m間隔の監視所が設置され、兵士2人が二交代制であるとのこと・・・ふむ?すると、防衛ラインを眺めていた場所では、確かに60m間隔で半地下の哨所が置かれていました・・・およそ3kmの長さに渡って・・・従って哨所の数は、30〜50箇所、これを120人から200人で監視・・・少なく見積もった方でも管理職を含めて200人程度・・・3勤1休制なら・・・180〜300人・・・ふむ・・・交代時間は何時頃か?二交代制?この勤務体系はかなり困難・・・日勤・夜勤・明け・公休だろう・・・どんなローテーションになるか?憲法では労働時間は8時間・・・勤務の一斉切り替えだと目立つよな・・・8時に衛兵交代が行われる・・・3kmの河畔で・・・交代時間には総員が河畔に現れる・・・見てみたい!中国がこういったツアーでもやってくれたら行きたいと思うのですが・・・脱北者及び国境観察ツアー・・・

 論文によれば、「北朝鮮側の国境警備兵が単身による越境者を発見しても,直ちに拘束することは稀であった。不法越境を試みる住民に対して,帰還の意思とおよその日程,および氏名等を確認した後に,渡河を黙過する場合がほとんどであった。その目的は,不法越境者を中国に行かせた後,彼・彼女らが持ち帰る金品の一部もしくは全部を警備兵が収奪するためである。したがって,出入国の際には,同一の渡河ポイントを使用し,同一の瞥備兵(警備チーム)を選択することになる。」さあ、勤務体系が問題になるやつだ・・・国境警備兵A・B・C・D・E・Fの6人の勤務体系を考えると・・・ローテーションを組むのが簡単な固定ペア3組にするわけないから・・・どんなシフトを組む?さらに、180〜300人の30〜50箇所の哨所の組み合わせを考えたら・・・その組み合わせのサイクルは・・・考えるだけで嫌になる・・・管理職は辛い・・・真面目にローテーションを組んだら・・・同一の渡河ポイントを使用し,同一の瞥備兵(警備チーム)を選択することは可能か?それをしないと、誰が誰を監視するという命題の解決がなされていない・・・さらに「北朝鮮当局による国境警備隊員に対する処遇が劣悪化したことに加え,除隊年限を引き上げた」とされていますから・・・その上、「除隊後には進学か職場斡旋を選択することができたが,除隊年齢が引き上げられたことで進学が困難となり,深刻な経済危機で職場の斡旋が事実上不可能となった。」となれば・・・除隊直前まで賄賂で荒稼ぎをして、除隊とともに脱北がエリートコースになっちゃう・・・芦果村情報では国境警備員は「除隊するまでに10万元(北朝鮮ウォン)を貯めると公言する」とのこと・・・さあ、この論文の信憑性は?

 「北朝鮮有数の戦略都市である戚境北道の茂山郡では,約12万人の住民の内, 8割近くが一度は不法越境の経験を有するとされる。」なんってのも書かれていますね。さあ、一生に1度の不法越境で月に何人が越境すると考えられるか?前提としては、国境警備員の最短ローテーション4日の越境として・・・除隊期間までに賄賂で10万元を稼ぐには、通行料を持ち込み物品の価値の50%としたら・・・密輸の規模は年間どのくらいになるか?また、賄賂を取る国境警備員は決まっていて退役までに給料と賄賂で10万元の稼ぎになる国境警備員は何人になるか?なんって計算問題もよいかもしれません。正解を問う計算問題とするなら、もう少し条件をつけないといけないね。・・・ただし、北朝鮮の平均寿命は69年とし、すべて平年365日とし、越境は自らの意思で行うものとする。越境では、2週間の拘留リスクを考え、1ヶ月分の給料と考えられる128ドルの持ち込みとして計算せよ。国境警備員は10万元稼ぐとあるが、この金額は10万ドルとし、期間は7年であるものとする。10万ドル以下の端数は切り捨て、1人に満たない場合は「いない」としてのべ何人の収賄者がいると考えられるか。・・・これで条件のヌケはないか?作ったけど解く気はしませんね。8割の経験者って・・・これは管理していないということを意味しますから・・・国境がコントロールされていないことになっちゃいます。これだけが現実なのかもしれない・・・12万人の8割で不法越境の件数が出て・・・1件当たり128ドル、69年間の密輸総額が出る、69で割ると年間の密輸額が出て・・・だよな?年間10万ドル規模か?賄賂の額は1年で目標の半分だから・・・

 馬鹿みたい・・・社会は基本的に末端であればあるほど、合理的なシステムで動いている・・・だから、逸脱の許される上層部へ成り上がりたいのでは?

 さて、面白い風景は・・・先ほど見ていた寺院のような建物から・・・例の山頂の広場のあたりに通じる道がありますね。山頂の広場は何か重要な意味があるのか?この地にかつて山岳修験があったか?朝鮮寺の構成は・・・本堂と、七星堂か七星神・山神・海神をまつる三神閣に、賽神場に、行場の滝、依代としての神竿、地蔵堂などがあるか・・・七星・・・妙見信仰か・・・宗教はわからん・・・

 山の中を直線に続く何か?道か送電線か、それとも断層か?何かは不明・・・案外全て正しいかも?断層の壊れた岩石は浸食を受けやすく・・・道になり、直線の道だから・・・それに沿って送電線が張られた・・・古代の烽火台と結ぶ通信不能の時の走破するための直線道路としても使われたか・・・利用できるものは利用するという結果か?

 プレスの利いたズボンの折り目のような鋭い稜線・・・かなりの森林資源・・・

 この寺院のような建物がある場所は、非常に美しい場所で・・・深い谷には巨木がたくさんあります。この風景は対岸から見えるでしょうね。

 行きたくても行けない場所か・・・衛星を打ち上げられるロケットの成功で、さらに遠のいた感じ・・・報道を眺めると色々と出てきますね。中国が北朝鮮に侵攻するとか・・・

 報道のなかでロケットを評する文言として、「米ロッキード・マーティン社の関係者は同紙に対し「赤ん坊の衛星打ち上げ機」と評した。」ってのがあります。この原文は何?この批評は・・・

 日本だと、赤子の手をひねる・・・所詮赤ん坊・・・とかだけど・・・ファラデーだっけ?の発言を踏まえてのか?

 あるとき、ファラデーはご婦人に訊ねられました。「電気の研究がどんな役に立つのですか?」と、「生まれたての赤ん坊は何の役にたちましょうか。」・・・何に成長するか今はわからない・・・というやつでは?・・・「とにかく生まれたのです。これからどのように育っていくのか楽しみにしています。」という意味なのでしょう。文化的な背景の差というのは難しいと思うのですが・・・

 さて、「赤ん坊の衛星打ち上げ機」は・・・健全な成長となるか・・・それとも、報道関係者から望まれている?核ミサイルとなるのか?報道での用語がロケットではなく、ミサイル・・・今回のミサイルで打ち上げた「衛星」は・・・ってやってますから。

 基本は見たいものしか見えない。見たくないものは見えない・・・ということでしょう。そして、多くの場合・・・より多くから望まれたものがよく見え、より多くから望まれたものへと成長していくことになるので・・・今後が怖い気がします。歪んだ化物に成長しないことを祈ります。

 この山の迫る細い部分を通り抜けると平野が広がります。中国側では、大掛かりな道の付け替え工事が行われています。既に完成していることでしょう・・・大型車両が楽に通れるような高規格の道に変わりつつあるということですかね。

 衛星写真を眺めながら、[朝鮮総督府]調査資料. 第26輯 朝鮮の小作慣習って本を眺めています。どうやら、咸鏡北道ってちょっと特殊な感じ・・・朝鮮の中でも自作農の割合が大きかった・・・小作が少ない・・・それが間島で、革命勢力の基盤になった可能性が考えられますね。かなり昔から裕福だったのか?咸鏡北道の自作農は66%、続いて咸鏡南道の44.9% 自作農が少ないのは全羅南道の5.5%京畿道の8.3%、小作の多いのは全羅北道の69.1%、京畿道の56.3%で、少ないのは咸鏡北道の7%、咸鏡南道の16%・・・稲作地帯は大土地所有の小作制、大麦もろこし地帯は自作農ってことかな?自作農と地主+小作の差は何か?ちょっと気になります。

 さらに窮農の数が出ています。多いのは全羅南道の27533戸、慶尚南道の25567戸、少ないのは咸鏡北道の256戸・・・咸鏡北道は人口が少ないだけか?貧困層が少ないから・・・革命だ!って騒げる?銃の所持の割合が高いとか・・・経済的な自立ができなければ、革命などは考えられないと思うが・・・そして、米作を基準にして、このあたりの作況を考えるのはよろしくないのでは?主食の麦やもろこし、トウモロコシは畑作、商品作物の米が洪水で全滅しても飢えない・・・ということか?

 もろこしなどは、旱魃OKでは?食料の米依存度が高いと、付加価値性の高い商品であるが、旱水害やられると・・・財産をなくす・・・肥料代も馬鹿にならない・・・

 ふむ・・・ふと、大原幽学を思い出しました。潰百姓の起こる原因と、その救済・・・分相応の生活をし、ちゃんとお金をためること・・・物の値段に注意し無駄なものを買わないようにする。できれば、共同購入した方が安い!肥料は買わずに作ると困ることはない。人がたくさん集まって、結束して貯金すれば・・・信用事業だって起こせる。性学による社会の教化活動・・・さらに、耕地の整理・交換、家の移転による村の改善・・・農民や商人の組織化・・・生活改善・・・うまくいけば・・・まわりから好意を持たれ、いつの間にか、うらやましがられる・・・よって、腹を切ることになる。後には国家主義モデル・・・共産主義のモデルにも転化できる・・・米と言うのは危険な作物であるようです。

 米作を至高のものと考えると、北朝鮮の治水の悪さは目を覆うばかり・・・麦・もろこしを中心に考えると、大儲けはできないが困らない・・・ということか。米はある意味投機的な作物。食文化の違いで、咸鏡道は豊かであると思われるというわけです。

 朝鮮で小作争議が爆発的に起こったのは・・・大正12年、大正13年の旱魃、14年の大水害・・・地主の小作農減免及び、治安維持法の施行で小作争議は沈静?大正9年から昭和2年までの期間に咸鏡北道での小作争議は皆無・・・米作では、旱水害で人心は乱れ、自作農は小作に転落。高度な農業は金がかかる・・・

 余計なことを考えていたら、先に進みません・・・やっと、南村駅に到着・・・村名は興南坪村という表記が現れます。

 この場所には面白いものがありそうです。何しろ、ここはうれしことに建物の種類が色々とあります。ピザパイの一切れのような形の区画に建った家屋とか・・・何かちょっと違うぞってね。

 でも、ここの文献による情報は見当たりません・・・さあ、何を見るかな?人間の生活は興味深いものです。

(2012.12.14)
















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