ネットの中をうろうろ(18)
  中朝国境に何が・・・(18) 會寧から遊仙へ
 
 會寧から中朝国境沿いに線路が続いています。どうやらこれは会寧炭鉱線のようです。会寧青年駅からおよそ11km離れた遊仙駅(かつての鶏林駅)を結ぶ鉄道路線でしょう。さて、鶏林・・・慶州の方が有名なんで検索が困難・・・炭鉱の情報から・・・鶏林炭鉱は會寧線鶏林駅から2km、鳳儀炭鉱は會寧線鳳儀駅より軽便鉄道で4kmの所にある。豆満江流域経済事情によれば、この會寧炭鉱線は、會寧から鶏林への引き込み線とのこと・・・

 さて、會寧を出て2km弱で、本線から分岐する線が現れます。1本は工場へ、そして、石炭ヤードと思われる引込線があります5機のクレーンが設置されています。特に目立ったものはなく、2002年から2008年までの間に建物の小さな更新が行われていますね。撮影日は12月26日、影はほぼ真北に伸びていますから、影の長さからクレーンの高さが計算できますね。この日の太陽高度は北緯42度だから90-42.3−23.4=24.3°影は29mです・・・三角関数を使って・・・先へ行きましょう。

 石炭ヤードらしき所から3kmほどで、何か分からない建物があります。座標は 42°25'35.60" N 129°41'29.52" E です。一般的な民家ではなく、樹木に囲まれた区画の中に、さらに樹木があって・・・

 この川沿いの建物につながる道は、900mの真っ直ぐな道で、これまた学校だか役所だか?そういった建物の前へ続いています。この川岸には、およそ90mごとに塹壕とか散兵壕と呼ばれるような施設が連なっています。およそ4kmの防衛線か?2個中隊ぐら最低でも必要かな?

 ああ、この施設はどうやら変電所のような?構内に鉄塔が立っているようです。そして、ここにつながる鉄塔が平野の中に見られますから。すると、ここで、鉄道に電力を供給しているということですかね?どうも、国境だと軍事基地を思い浮かべてしまいますが・・・とにかく、道路とか電柱の並びとか、何らかの関連を見出したいのですがね。しかし・・・この鉄道は電化しているのか?それもちょっと不明・・・門型の構造の架線ではなく・・・電柱からの片持ちなのかもしれませんが・・・ちょっと不明。

 この周辺をチェックしていると、不思議な図形というか地形というか、人工物のようなんですが・・・見た瞬間・・・吊革につかまる手?と思ってしまったものがありました。

 こいつには悩みます。座標は 42°24'30.92" N 129°42'48.93" E このあたりです。さあ、これは何?2002年には数軒の建物と苗代がここになりますが・・・2008年12月には建物は無く、この吊革のような形・・・畑の作物の刈り残しではないようですし、建物を撤去して藁とか積み上げているのか?

 この形にする必然というのが・・・理解のかなた・・・アートなのかもしれませんが・・・・幅は5mほど、高さは平屋の家屋の半分弱ぐらいですかね?

 ふと・・・なんで、収穫時期に巨大なスローガンを衛星に対して発しないのか?なんって思ってしまいました。もしくは、農民が適当に刈り残しを作って、この国から逃げたいとか、やることもできるような気がします。冬なら、三列縦隊ぐらいで、衛星から識別できる人文字が作れそうな気がしますが・・・

 軍事衛星だって、観測と軌道要素の計算で通過時刻が分かるでしょうから、軍事衛星に対してのマスゲームとか・・・色々な宣伝方法があると覆いますが・・・お前が見ているのは分かってる!とかね・・・しかし、これは何?向きを変えて眺めても・・・不思議な形・・・

 さて、先へ進みます。特に駅らしい駅はありませんね。そして、遊仙駅かつての鶏林駅に到着します。この街はちょっと面白い形をしています。山と鉄道の関係で楕円形の町に・・どうやら街を一回りするようなエンドレス線を作ろうとしたのかもしれません。

 この炭鉱は、明治42年に坑道が開かれますが、小規模の露頭での採炭になりますが、大正8年に事業が拡張され、会社組織となります。この頃の石炭の運搬は、會寧までの手押しのトロッコで行っていたようで、大正12年に会寧からの引き込み線になります。

 ちょっと気になるのは、ここには転車台はありませんし、デルタ線も無いのですから・・・蒸気機関車の時代は・・・バックで空の貨車を会寧から押してきて、帰りはまともに走っていくとか?それで。引き込み線という名称で紹介されているのか?そして、そのまま運用され続けてしまったということですかね?

 さて、この太い豆満江に流れ込む支流の沿いには炭鉱があり、トロッコでつながっているとのこと・・・しかし、線路が見つかりません・・・鉄道橋のあたりにわずかにそれらしきものがあるのですが・・・およそ、2km上流に鉱山が存在します。

 なかなか立派なボタ山ができています。谷を埋め尽くすような形で長辺は200mを越えます。捨てに行くのが大変なような気もしますね。

 この手の砂利山は・・・基本的には円錐形になりますが・・・この手の安息角はどのくらいなんでしょう?そして・・・北朝鮮の燃料事情が悪いのなら・・・こういったボタ山にも、それなりの石炭が紛れ込んでいる、それを拾う子供がいてもおかしくない・・・ぼた山は・・・積み上げただけの安息角に支配される山、1つの石炭を抜き取ると・・・その上の小石が落ち、連鎖的に崩落・・・生き埋めの人間の出来上がり・・・そういった事故対策などは行われているのか?ちょっと気になります。

 北朝鮮の鉱山は右の写真のように、職住接近ですから、エネルギー事情が悪ければ・・・ボタ拾いは横行するに決まっています。日本でも、ボタ拾いとか、鉄道沿線での石炭とかコークス拾いとかあったようですから。

 エネルギー事情が悪ければ・・・かなりの距離を拾いに来る人がいてもおかしくないような?鉱山と無関係と思われる周辺の大規模集落は無いので・・・このぼた山に関しては不明と言うしかないでしょう。

 さて、トロッコの軌道はどうやら、河川の浸食によって失われ、補修されずに終わっているような感じです。朝鮮の河川はなぜこんな流れ方をするのでしょうかね?気になります。河川の利用について、何か特別な事情があるのか?それとも、川というものは動くものであると理解しているか?

 遊仙の鉄橋の下流の河川敷を眺めると・・・河川敷の中に立派な道が・・・そして、流れの中に何かが置いてある・・・つまり橋の代わりに石とか置いているのでしょう。踏み跡は河道に対してどのような影響があるのか?ちょっと気になります。そして、この石を置いたような橋は、流れが変わると少しずつ動かされていくのでは?下流で動きがあれば、それは連鎖的に上流へと伝わっていく・・・

 川沿いを歩くというのも良くあるパターンですね。比較的歩きやす場所です。海岸なんかもそうですね。主要な道は無いけど交易は盛ん・・・理由は波打ち際の湿った締まった砂の上を歩くのは楽だから・・・

 山がちの朝鮮北部では、道は基本的に川沿いか、尾根道になる。川沿いの道は流れに応じて流動的なものであると割り切っている。平地は・・・直線に進むというのでは?

 GoogleEarthの標高データが信頼できるものだとすると、このあたりで、勾配は1000mについて10mほどありますから、かなりの急流です。川が動き出すと・・・かなりの速度で動いてしまうということなのではないかと思います。

 一応は、河川改修の努力はしているようです。右の写真のように、河道を付け替えるために溝を作っています。この事業の成果はいかなるものになるのか?

 ふと・・・衛星写真を3日単位ぐらいで累積更新してくれたら・・・こういった河川の動きの研究に都合が良いのでは?安全保障のためなんってより、もっと役に立つような気がしますがね。植生の変化とか・・・ここまで見えれば、調査対象にする河川は山ほどあるし・・・

 そういえば、日本にあって、この国にないものがありますね。どうも、今まで集落を見ていて・・・不法投棄と思われるものが皆無・・・ごみ処理はどうしているのか?まあ、オンドルって各戸に焼却炉があるわけですから、木質系のものは燃料に化けてしまうのでしょう。

 金属は?缶詰とか缶入り飲料などがなければ金属って・・・あまり廃棄されない。電気の普及率はそれほど高くないから、鉄を使った家電製品は少ないか・・・ガラスは?液体系の食品が量り売りなら・・・ほとんど出ることは無い。ビールとか炭酸系の飲料は、かなり古くから入っているから、今も継続して存在しているとしても、瓶は基本的にリサイクル・・・結局はゴミもまた、流通によって決まるということなのかもしれません。しかし、會寧市ではごみ処理施設というのが見落としたのか・・・無かったような?

 案外、電球などは、切れたら持って行って代品を受け取るとか・・・そういった社会システムが知りたい・・・今度は、ちょっとゴミ捨てに関しても気を使ってみましょう。

 遊仙の町は衛星写真では色の無い街に見えますが・・・実はなかなか瀟洒な感じ、地上からの写真はこんななんです。庭先でもトウモロコシや高粱を作っているようで、緑にうずもれた街になっています。ひなびた鉱山街って雰囲気ですが・・・人々は生きていますね。

 小さな川に架かる橋は、土橋のようです。衛星写真では崩壊しているものが、この一群の写真の中ではきちんと架かっていますね。牛や人に引かれる荷車なら・・・1トンに満たないものでしょうから、旧式な土橋でも良いのでしょう。しかし・・・どの都市も屋根職人が不足しているのか?屋根瓦は何とかできないのでしょうか?ちょっと、施工や直しの楽な瓦でも開発するか、日本の瓦のコピーでもするとか・・・地震が少ない国のようなので・・・手抜きでも日本の桟瓦ならそれほど不具合は出ないと思うのですけどね。

 どうも、ときどき理解しがたいものが現れます。右の写真はどうやら草刈りを行っているのではないかと思われるのですが・・・どういった思惑から、このような動きをするのか?最小限の動きで最大の効果を上げるための工夫なのか?それとも、きれいに全部刈るのは良くないのか? 座標は 42°25'21.27" N 129°38'48.38" E ここですけど・・・あれ?これって、似たようなものを見た・・・対空陣地のような感じのものが、テーブル状の台地の上にあったやつ・・・


左のやつ・・・どうやらこれも牧草の刈り取りをやって、牧草の塊が、対空陣地のような並びを作り出しているのではないかと・・・この座標は 42°24'44.08" N 129°42'56.67" E です。どうも、対空陣地とは思えなかったのですが・・・なんとなく疑問が解けました。

 しかし、なんだか月を眺めているような気分になってきました。この衛星の写真は色の再現性があまり良くないような?何か理由があるのか?別に、強烈な色彩が欲しいのではないのですが・・・

 さて、遊仙の探索はこんなものでしょう。正午ごろなんで・・・鉱山は食事かな?

 他に興味深いのは右の写真です。河原の2本の堤防は何?多分、この河原を耕地に変えるための工事と思われますが・・・水制なんかも並べて・・・本気のようです。しかし、この幅まで縮めるとどんな影響が出るか?やりたいことは分かりますが・・・国境って、どのように決めているのでしょうか?川の流れが変わっても、定められたものだとすると、川を挟んでその先に領土があることになったりするのでしょうか?どこまで細かく境を定めているのやら?こうして川の流れに手を出して大きく流れが変わり、陸地に国境線ができちゃったら・・・これまた面倒な気がしますが・・・

 とにかく、かなり本気で治水に取り組み始めているような?それとも・・・昔からやっているけど、この川は手強いということなのでしょうか?これも、気になりますね。

 さて、川を遡ることにしましょう。
(2012.11.29)

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