ネットの中をうろうろ(13)
  中朝国境に何が・・・(13) 三峰から會寧へ さらに続き
 
 なかなか會寧に着かない・・・ふと、司書の仕事は今後どうなるのか?ちょっと気になります。文献が電子化されると、全文検索が行えます。それに、重要な文献は多くの人が参照するので、それなりにネットの上にも文献リストが出来上がって来ています。まさか・・・司書過程をとって、本の埃払いと、本棚の整理かい?それとも、コンピュータの利用がうまくない研究者のサポート?いま、この遊びの中で分かったことは、インターネットって知の革新なのだと・・・一番大きな影響を受けるものは・・・案外、教師なのかも?昔々、学生の頃・・・私の強みは、平凡社の百科事典を通読していたことでした。とりあえず、詳細ではないが、広い知識を持っていました・・・しかし、原典ではなく・・・しかし、今では、百科事典で調べて原典に当たるのではなく、原典そのものがネット上にあれば、そのまま文献研究が・・・関連する書籍もあれば、完結してしまう・・・インターネットが今や百科事典を凌駕してしまった・・・ということかも知れません。一応、私の、今使っているコンピュータにも、平凡社の百科事典が入っていますが、こいつは・・・使ってないんです。何しろ、国会図書館があるんですから・・・まあ、こんな1945年より前のデータを使って、現代を分析しているんですからね。

 とにかく、會寧にたどりつかねば・・・

 ただ、何も特徴のない村落でも、人というのは道以外のところも歩いて、踏みわけ道を作っています。これが面白くて・・・この踏み跡は何のため?集落から川へ行くようなやつは、洗濯でしょうからそれほど気になりませんが・・・川に洗濯、昔の日本でもありましたね。これって、素晴らしいと思うんですが・・・そして、村落の裏山に入っていく細い道・・・大抵は墓地、時には小さな建物・・・祠ですかね?共産圏に祠があるのか?気になるところです。

 さて、右の写真・・・2002年には存在していて、2008年には消滅しています。この建物が気になるのです。座標は 42°35'45.15" N 129°45'30.10" E です。

 人の踏み跡は、理由があってのことですからね。下の方の建物は駅舎、右のプラットホーム・・・集落の北の端のちょっと離れた場所。さあ、この建物は何?なんってね。

 とにかく、駅舎の前の ・ に消える場所に行っています。正式な道路は、この ・ から周回の生け垣の右端まで、そこから左のとおりに出る道です。さあ、何だろう?

 駅前にある ・ は何やら重要そうです。左の道路に接している生け垣から ・ へ直行するのは多分、道路利用者でしょう。しかし、ここより北から歩いてくる人は無さそうなんです。

 可能性があるのは、集落から苗代へ行く近道・・・理由は・・・この写真の時期が4月で、苗代作業があるが、それ以外はなさそうだから、2008年の映像に、この踏みわけ道がないのは、収穫後で通る人がない、耕作期間中は、ショートカットができないからでしょう。駅前にあるものは何?可能性があるのは、頻繁にチェックに行かなければならないもの・・・多分、郵便ポスト?北朝鮮の郵便ポストは青とのこと・・・ここまでしか、ネットでは情報がつかめない・・・

 踏み跡からすると、この建物は結構邪魔?標準的な2軒長屋・・・片側が郵便官吏とすると、社会制度が変わったか?それとも、新築中?案外、駅の反対側の何かの施設跡のようなところに、新たな建物ができていますから、移転したか?

 さて、先へ進みましょう、郵便ポストはどんな形状か?壁に付けられているのは確認、自立型はどんなのだろう?

 さて、次の駅、新鶴浦駅こりゃ駅というより・・・待避線と待機線から成るような駅ですね。待機線は現用ではない・・・

 案外、この駅は駅ではなかったかもしれません。たんなる貨車の引き込み線のような役割・・・駅になった今でも、集落としては発達が見られませんから・・・単に、転鉄手のいるだけの場所ですかね?

 腕木式信号機でも設置されているのでしょうか?

 6軒の建物と集会所みたいな建物、駅舎・・・付属家屋・・・ここでの生活はどんなものなのか?今までは、基本的に一つの完結した集落を見ていましたが・・・6軒、12世帯・・・どんな毎日が送られているのか?

 生活の単位としてはちょっと小さいのでは?まあ、海岸の小屋の近くには両親と30過ぎの子の家族が、まわりとの交渉もなく生活していたりしますから・・・人間というのは・・・こういった単位でも問題ないのでしょう。

 私は、あまり好みませんが・・・そう・・・役割があり、仕事があればOKですが・・・

 社会制度はどんな風なのでしょうか?かなり気になります。ここで生まれて、ここで育ち、ここでまわりで耕作して、毎日を過ごし、そして、死んでいく・・・それでも悪くない・・それしか、知らなければ・・・ということだと思います。この小さな空間が世界の全てなら・・・

 地上の楽園は何?私も、かつてユートピアを研究しましたが・・・最低のユートピアしか見つけられませんでした・・・最低のユートピア、それは、食べて寝て、食べるための仕事が保障され、その仕事が、社会の中で価値のあるものであるという自覚が持てるもの・・・食べるのに、最低限な仕事って・・・それほど重くない・・・必要なのは、誰かにその仕事が認められていること・・・でしょう。右の世界だけで生きるのなら・・・

 結局、これ以上の物を考えると・・・複雑な価値観の中で、多様性の中で分析不能・・・複雑系か・・・仕事がどのように認められるのか?それは、気分の問題・・・人間の気分は・・・移り変わるものでね。

 その変化は・・・なかなか厄介・・・結局、ここでストップ・・・いまだに、これ以上のユートピアは見出せませんでした。生きることについての不安の無い世界・・・最低限の生活が保障される世界・・・確かに、共産主義の根底の原則か・・・最低限であり、究極の生活保障・・・分かっているが、私のような移り気な人間には・・・面白くない、最低のユートピア・・・

 久々にトマ・スモアを読みたい気になりますね。そのうち読むとしましょう・・・ラテン語が読めれば良いのですが・・・相変わらず限界が・・・

 でも、これが、全ての世界であっても、そのすべてを理解するには時間がかかるし・・・季節の変化によって、さまざまな変化を目にすることができます・・・農夫・・・悪くない・・・しかし、18から80まで耕しても、その経験は・・・62回の反復にしかすぎません・・・62回が多いか少ないか?

 ときどき、引いて右のような世界を見る時・・・自分の認識する世界というのはどんなものなのかとね。

 私は・・・シラノと同じで・・・月に行きたい・・・さてさて・・・飲み過ぎだな・・・

 しかし、この新鶴浦駅のあたり、明らかに朝鮮側は・・・この駅ができるまでは、案外人の住まない場所?案外、対岸の中国側の支配下にあった?そんな気がします。そして、山には道がほとんどなし・・・なんとなく、秩父からちょっと入ったあたりを彷彿とさせます・・・あの土地が欲しかった・・・でも、管理できそうもなくて諦めましたがね。眼下に秩父の街が・・・

 しかし、トマス・モアのユートピアに近いのかも?確か、30家族を一団として、公選制で1人代表者を選んで・・・と積み上げていくやつですが・・・家々は皆同じで・・・律令国家を上からの支配で組み立てるのではなく、下から組み立てているだけの差であるとも言えなくはない・・・ユートピアの人間が必ず従事しなければならない仕事は農業・・・

 なんだか、気が重くなりそうなので・・・これは、そのうち・・・

 ここの森林資源はなかなかのものです。この鉄道自体も、この森林資源を目当てにしたもののようですが・・・この森林を管理していたのは?日本だと大山守とか・・・農耕地の無いところに、建物があるとね。

 改めて、律令を眺めると・・・これって、共産制?って思える条文がずいぶんとあるものです。というより、支配の根源、生活の保障・・・

 ふと、北朝鮮の社会体制って・・・江戸幕府に似ているような?庄屋仕立て・・・なら、律令体制が色濃いのか?なんってね。ちょっと・・・トマス・モアの考えた理想郷と、律令を足して2で割ると何ができるか?北朝鮮か?いや、共産主義って・・・前貨幣経済封建制社会と資本主義社会への急激な移行に於いて生じる、調整的な社会じゃないかな?金の使い方を全ての国民が覚えるのにも3代ぐらいかかる・・・貨幣経済を元にした資本主義社会・・・次は何になる?また余計なことを考えている・・・

 さて、隣の高嶺鎮駅は・・・あれ?その少し手前の座標 42°33'34.08" N 129°44'11.05" E の河原に360 Citiesが置かれてますね。山容からすると、中国の国境側から撮影されているようです。この山々は朝鮮の山々です。無粋な国境のバラ線・・・越えるには毛布が必要です。

 後ろには、トウモロコシ畑があります。左のように草むらの中にトウモロコシの穂が揺れています。

 バラ線がなければ、どこにでもある、のどかな風景・・・近くに、写真がある・・・撮影者: 冥想 さん、色々な所へ行ってる・・・私も行きたい・・・滄州鉄獅子、ふむ凄いものがあるものだ・・・滄州鉄獅子

 このあたりまで朝鮮側には平野はほとんどありませんが、次の高嶺鎮駅に近づくと平野が広がってきます。平野が増すと集落も大きくなります。しかし・・・案外、トマス・モアの思想で作られた国みたいな・・・家は画一化されているから、家に金をかけるという虚栄はない、各地域の中央には倉庫があって、各人の生産品を倉庫に納入し、その総この中にあるものを自由に持って帰ることができる。手形や金は必要としない・・・前提になるのは、豊かにものがあること・・・ここが欠けているのでありますね。

 しかし、モアののべる理想郷を律令は法として定めています。モアのユートピアって・・・なんだか儒教的・・・ああ、モアの社会と律令をくっつけるとどんな社会システムになるか?興味あるテーマです。

 確かに、モアののべる社会は、商品経済への過渡期の思想かもしれません。原始共産制・・・しかし、貴族地主階層には貨幣経済が浸透しているわけですから・・・この格差を埋めるには・・・貨幣を否定するか、貨幣経済の伸長を促す・・・日本は・・・蓄銭叙位令711年を選択しています。蓄銭叙位令が廃止されるのは800年ごろ、皇朝十二銭の、隆平永宝が発行されたすぐ後です。このとき、隆平永宝1枚に対し旧銭10枚の交換比率が設定されているようですから・・・すでに貨幣経済が成立しているということでしょうか?和同開宝が708年およそ100年で貨幣経済の基盤が成立・・・ただ、貨幣の不足によって米や布の現物通貨が横行、宋銭の大量輸入によって、本格的な貨幣経済に移行する?和同開宝が作られてから、銭の改鋳の度にデノミ、旧貨10枚は新貨1枚・・・こんな、経済成長率だったのか?そして、皇朝十二銭の最後、乾元大宝963年の鋳造を止めます。乾元大宝以降は私鋳銭の時代・・・そのための布石か?鉛貨に近いものを発行?そして、延喜式の時代へと移行・・・藤原氏の時代への移行期・・・貨幣経済の伸長の中で・・・経済発展に遅れた関東が平将門を首謀者として、貨幣経済の排撃の戦いに出たか?それに対して、純友は・・・交易で金儲けをして、瀬戸内海の覇権をかけての戦いか?なんてね。

 さて、高嶺鎮駅ここの山の中、駅から2kmほどのところに耕作地がありますが、家が無いんですね。やはり、農繁期だけ人が来て仮小屋でも営んで耕作しているのかもしれません。案外、月山の「ぬま小屋」のようなものを作っているのかもしれません。もう少し解像度が高ければ、土台になる石組や、小屋の材料を積み上げた「ぬまにおう」のようなものが見いだせるかもしれません。そう・・・わが国の情報収集衛星の画像はどの程度なのか気になります。

 まあ、画像処理を駆使すれば、ある程度は見えないものも見えてくるので・・・そして、金生駅へと・・・ここからは、鉱山への引き込み線がありますね。しかし、お遊びで画像解析をしながら、進んでいますが・・・作業時間と進捗度からすると・・・高解像度の衛星画像を解析するには、ずいぶんと時間がかかりそうな気がします。全世界を、毎日チェックするとなると・・・どれだけの要員が必要になりますかね?軌道周期94.4分、軌道傾斜角97度、軌道高度490km・・・1日に地球を15周か・・・じゃあ、解像度1mクラスの衛星写真カメラってどんなの?地球の赤道長は4万kmって4000万mでこれを15で割って260万mが1回の撮影の余裕を見て300万画素*300万画素=90000万画素?ってことかな?それより3000km四方って・・・右の写真の黄色い線が2500kmぐらいだから・・・このくらいの範囲を1m単位でチェックするのにどれほどの時間がかかるやら?陸地だけでも半分、海を航行する船舶なども眺めたら?

 軌道傾斜角も考えると・・・頭が痛い・・・概要だけでOKとしましょう。まあ、メルカトル図法の世界地図の上に線を引けば、運用形態は分かりますね。まあ、イメージできたからOKです。

 地誌調査をやるわけじゃないにしろ・・・毎日、これだけの範囲のチェックを行うのはなかなか大変では?ああ、担当地区が決まっていて、その地域の地誌について理解していて、重要調査ポイントと、そこへの交通路をチェックしてるのかね?農業などの調査なら、スパンが長いから・・・しかし、どんな知識を持った分析官が見ているか?それが問題ですね。


GoogleEarthの画像でも、学校の生徒も影が伸びていれば識別できますから・・・どんな事実が明らかになってくれるのか?ちなみにこれは三峰の小学校と思しき場所。

 朝礼を全校生徒でやっていれば、この地域の子供の数がわかり、世帯数は家の数からわかるし、人口統計だってでっち上げられるし・・・運動会でもやってくれれば特に・・・写真って読み取り方の問題だから・・・そして、見る人間の意識の問題ですからね。

 高度な訓練を受けた画像解析のプロは、どのような能力を持っているのか気になりますね。

 さて、次の駅は・・・金生駅、座標は 42°28'40.34" N 129°44'43.61" E ですね。この駅から、炭鉱への引き込み線があります。この炭鉱は、盛んに採炭中のようです。この炭鉱を眺めているんですが・・・受電設備が・・・あっても良いような気がして探しているのですが・・・変電所ってかなり特殊な構造物ですから・・・

 ありました、ちょっと画像処理をすれば高圧線の鉄塔と変電施設らしきものが見出せます。高圧線の鉄塔を強調するための補正を考えれば、かなり簡単に送電網をたどることができそうです。

 もし、これが、標準的な変電所なら・・・このゴチャとしたものを覚えればこっちのものさ!なんてね。GoogleEarthに画像処理の基本機能がついていれば凄く便利なのに・・・クリップボード経由で画像処理ソフトへ持っていて、色々といじくりまわして探すのは、やや面倒・・・しかし、これで・・・古代の官道かと思ったやつは、送電線を引いた痕であると判断できそうです。

 北朝鮮では、送電線を架設するのにヘリコプターは使わないのか?送電網はいつ作られたのか?Mi-4や6、8あたりがあるわけですから・・・

 だいぶ目が良くなってきましたね。鐘城の送信用の鉄塔かと思ったやつはどうやら鐘城の変電所への引き込み線の分岐のようです。

 座標は 42°29'57.97" N 129°47'20.18" E ここです。しかし、2002年と2008年の写真では座標がおよそ30mほどずれます。これは何?測地系が違うか?まあ、それほど厳密なことをやってるわけではないので・・・しかも、この解像度のものを無料で使ってるのですから・・・わが国の情報収集衛星は役に立っているのか?私にとっては、逆立ちしてもその画像を見ることはできないので、むちゃくちゃ高価な代物ですね。こうなると、素人も脳みそを使うと何ができるのか?チャレンジしたくなりますね。

 隊列を組んで護送されている人々は見られるだろうか?さあ、橋を渡って會寧です!

(2012.11.23)

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